の寂で食べて帰 | dunmingaaのブログ

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保育園のお迎えは、いつも一番最後になった。
琉生は御遊戯室の窓から、何度も門の方を眺める。その場所が迎えに来る母親の姿を、一番早く見つけられるからだ。

「あっ!お母さんだっ。い~ち。に~い。……」

琉生は姿が見えてから、すぐに数を数えはじめる。保育士香薰按摩と二人で17数えたら、母親がぱたぱたと飛び込んでくる。
琉生はこうして数を覚えた。

「遅くなって……すみません~っ!」

息を切らせて走って来る母のスーパーのパートは、一応保育園のお迎えに間に合うように、四時までと決まっているが、雑用が多く、なかなか思うように退社できなかった。
母親が来るころには、お友達はみんな帰ってしまっている。大勢のお友達がいる時には、狭い御遊戯室も、琉生の帰る頃には広く見える。
琉生は帰りの支度をして、ひよこ色の帽子をかぶり、絵本を抱えていた。

「ごめんね、琉生。お母さん、一生懸命走っ窩輪到期んだけど、今日もお迎えびりになっちゃったね。駄目だなぁ。」
「お母さん。走ってお腹すいた?」
「ん~、お腹すいちゃった。琉生、帰ったら何食べようか?」
「しろくまちゃんのホットケーキ。」
「琉生はいつも絵本のホットケーキね。晩ご飯にはならないな。他にはない?」
「にんじんの入ったホットケーキ。」
「それもホットケーキだよ。そうだ。お給料出たから、お外ろうか。」
「ラーメン?琉生くん、好き。」

手をつないで歩く二人は、夕暮れの商店街れたラーメン屋で、一つのラーメンを分け合って食べた。

「琉生ちゃん。久し振りだね。今日はママのお給料日かい?」

色あせた暖簾をくぐると、馴染みの女将が声を掛けて来る。

「おばちゃんっ。こんにちは~。」
「琉生ちゃんにあげたいものがあるから、ちょっと待っててね。」
「……ちくわの天ぷら?」
「定食の残りだけど、コロッケもあるdermes 投訴んだよ。いなりずしも。」
「きゃあ。琉生くん、コロッケ好きっ。おいなりさんも好きっ。」
「おばさん、いつもすみません。」
「いいんだよ。どうせ昼定食の残りなんだ。売り物にはならないよ。他にも酢の物や煮しめなんかが色々あるから、持ってお帰り。」

これはちょっと焦げたから、サービスしちゃう、と、いくつも皿に入れてくれる唐揚げに、琉生は目を丸くしている。
母は頭を下げ、人の良いラーメン屋の女将はにこにこと笑いながら、大きな唐揚げにかじりつく琉生を温かい目で見つめていた。