幾度も大きな波が各地を襲い、
その度に各地の「装置」は、壊れていった。
いま、
倭の国で、民が住める地は、二つだけである。
ひとつは、静かなる国。
大長老 民(たみ)シュートの命を受け、「装置」を止めた地である。
いまひとつは、和と歌の国。
この地の民は、「装置」を自ら調べ、危険極まりないモノであることを突き止めた。
いにしえの太古より、守り続けた大切な地。
なんとしてでも子孫に残そうと考えた。
それゆえ、爺(じい)ミントーが「装置」の建造のもたらす恵みを、いくら説明してもムダであった。
いくら財宝を積み上げても、民の心は動かされなかった。
大きな波の災厄で亡くなった方々の死を、ムダにしてはいけない。
そう考えた、年老いた民(たみ)シュートは最後の仕事に取りかかった。
二度と、同じ過ちを繰り返さないために、戒めの石碑を造るのである。
生き残った地だけではなく、大きな波に襲われた地、すべてに。

石碑には、願いを込めて、このように刻み込んだ。
「大きな波の災厄の碑」
高き住居(すまい)は児孫(こまご)に和楽(わらく)、想へ(おもえ)惨禍(さんか)の大津浪(おおつなみ)、此処(ここ)より下に 家を建てるな。
大きな波は此処まで来て部落は全滅し、生存者、僅かに 前に二人後ろに四人のみ 幾歳(いくとせ) 経る(へる)とも要心あれ。
「装置」の建造やいかに。
「倭の国に伝わる話」は、まだまだ、続く・・・。
ちなみに次回は恋バナします。