雪の中のテールランプ | 気ままに・・・

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ブログ再開!うちのおこちゃま達が見ても大丈夫なブログに今度はするぞー!!

ごめんなさい。広告ペタが多いため、ペタの設定をできなくしました。

高校2年生の頃の事。


地元では、珍しく大雪が降った。


電車の止まる可能性があるために、学校が早くに下校を促した。


降り積もるにしたがって、音が少しずつ吸収されて、遠くの方へ追いやられたような感じをおぼえる。


駅では、ポイントの氷つきを防ぐために燃やされたランタン。


列車が去って行った後にぼやけて見える赤いテールランプ。


冷たく光る真っ青な信号。


全ての風景を詩的に捉えることができた、あの頃の感性を今も持っているのだろうか?



雪に埋もれて行く田んぼ


白く 白く


その日、帰宅するとしばらくして電車が止まった。


そんな晩に限って、あいつから電話がある。


泣きながら「会いたい」って言う。



何があったのか解らないけど、情緒不安定なあいつに時々そんな事があった。


雪の中燃えるランタン


にじむ赤いテールランプ


冷たい青い光


遠くに追いやるような音を吸い込む雪


止まった電車


「行けない」


「行けない」


「嘘だよっ・・・」と言って、いきなり切られる電話


「行けない」

「会いたい」


交錯する想いは、雪の中に消えて行く。



東北に引っ越して10年程度経つ。


雪には慣れたけど、凍った路面では転倒する。


あの時の不可解な電話の意味も、ちゃんと今では解る。


解らない事は、雪を見ると切なくなるこころ。


去っていく赤いテールランプのように、尾を引きながら雪の中に残り続ける。