雑誌「週刊TVガイド 1985/8/31号」にタコヤキラーメンのCMの撮影風景がありましたので引用します。
-------------------------------------------------------
ダンプのカワイイ素顔に
CMマンが大カンゲキ。
「お嫁さんにほしい!?」
おおっと、泣く子も黙る極悪非道の女子プロレスラーの星、ダンプ松本が、なんとスッピンでブラウン管に登場!! これは驚き。まるでフツーの、いやそれ以上に純朴そうなオボコおネエちゃんではありませんか。リングで見せるあの憎々しいコワモテとのあまりのギャップに、 日本国中ビックリ仰天!!
撮影に立ち会ったスタッフのひとり、 佐藤浩氏(ニッポン・ムービー)は、「メークを落として現れた時は、みんな感嘆しましたよ。"オー!!!"なんて声が上がったりして。態度も素顔と同じです。ディレクターから指示やNGが出ると、"ハイスイマセン"の連発。普通の人よりずっと純粋な人でした」と大感激。
最もスタッフを泣かせたのは、ラーメンを食べるシーン。普通のタレントには胃袋を気にせず何コも食べるなんてほとんどムリだが、ダンプはガンガン食べる。連続NGにめげることもなく20コも30コも「大好きですから」と食べる。しかも、 おいしそうにパクつくために、熱さも気にせず、いっぺんにガバッと口に入れる。 スタッフが心配してもヒト言、「ぜんぜん平気です」。絶対に熱いハズなのに・・・。
「謙虚、さわやか。気持ちが洗われるようでした」とは別のスタッフの弁。
普段のダンプは、声まで違う。意外なくらい高いのだ。セリフは、凄みのきい たリングの声をねらったが、なかなか低くならない。そこで気合いを入れた役作り。カメラに向かいチェーンをぐるぐる回すうち、狼男のごとくリングの悪役に変身!「オンナは、怖いんだぜ!!」。
-------------------------------------------------------
当時のCM撮影シーンが細かく描かれている資料です。
ダンプの性格がそのまま出ています。NGが出ると「ハイ、スミマセン」と謙虚。
ラーメンを20コも30コもガンガン食べても「大好きですから」と熱いのに平然と食べる。
スタッフの「謙虚、さわやか、気持ちが洗われるようでした」というのは本当なんでしょうね。普段が「怖い人」というレッテルが貼られているので、その分のギャップというのもあるのでしょうが、それにしてもスタッフもびっくり仰天だったようです。
最後に「買ってくれよな」「頼んだからな」のセリフは、声がなかなか低くならずにチェーンまで振り回して、声を低くしたとのこと。面白いです。
この現場にいたスタッフの人たちは、最初は「ダンプ松本が来る」というのでビビッていたのかもしれませんが、最後は絶対に楽しかったんじゃないかと思います。
写真を拡大してみます。
(もう23個目だというのに、懸命に笑顔で食べるダンプ。そのけなげさにスタッフは感動した。)
(「買ってよな。頼んだからな!!」こんな過激なセリフをCMで言えるのはダンプだけ)
(まるでタコ焼きみたいにホッペをふくらませ、ひたむきに食べる!!)
(食べてくれるのはありがたいが、"お湯をかける青年"は汗ダク!!)
(プランナーのねらいどおり「怖いけどカワイイ」ダンプ。でも、カラダは迫力満点)
(即席麺の元祖は昭和33年に登場した「チキンラーメン」。業界は年間生産量43億食にまで成長したが、ここ数年は横ばいで画期的一発が欲しい時、CMキャラクターにダーティーイメージのタレントを大胆起用した理由もうなずける)