1985/2/25 WWWA世界タッグ 雑誌記事③ ムック「女子プロレス物語」、週刊ゴングより | 時系列でみる! 極悪同盟 ダンプ松本 ファンブログ

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極悪同盟(特にダンプ松本さん)のプロレスを時系列で整理します。思い入れのある雑誌処分のためブログに残して廃棄します。「テーマ別」で時系列で閲覧することができます。妄想で書くこともしばしばですが1年(+α)かけてやる予定です

下記の2/25のWWWA世界タッグ王座については、様々な雑誌で記事になりましたので、色々と見ていこうかと思います。

 

 

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★雑誌「週刊ゴング(1985/3/2号)」より


2月25日、大田区体育館は興奮のるつぼと化していた。WWWA世界タッグ選手権試合60分 3本勝負、長与千種&ライオネ ス飛鳥のクラッシュギャルズ とダンプ松本&クレーン・ユウ の極悪同盟との対決は、昨年か ら血の抗争を展開しているだけに、それを見守る4500人の 大観衆は異様な殺気を持ってい た。もちろん、当事者であるク ラッシュ・ギャルズと極悪同盟の間にも、試合前から火花の散らし合いがあった。


大観衆がざわめく中、極悪同盟が先制攻撃を仕掛ける。ルー ル無用の凶器攻撃に長与の額が 割れた。レフェリーのジミー加山が必死に制するが松本、ユウの耳には何も入らない。そればかりかクラッシュ・ファンの悲鳴がレフェリーの存在をかき消し、極悪同盟の悪の魂に火を着けるような向きすらあった。
 

極悪サイドには謎の覆面マネジャーがピタリと付き、クラッシュはまんまと罠にはまり、長与がユウにつかまり1本目を失った。
2本目はわずか5秒で長与がユウをフォールしたものの、極悪同盟には全くダメージがない。 3本目は加山を押しのけて悪党の阿部がレフェリーにつき、 暴れ放題の極悪同盟に勝利をもたらした。WWWA世界タッグ 王座は松本、ユウの手に...。

超満員の大観衆が目を疑うような、クラッシュ・ギャルズの惨めな敗北だった。
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★書籍「女子プロレス物語」より

 

 

「よし、このまま一気にベルト取りだ!」。中野が極悪らしい戦いをやり、控室で満足の笑みを浮かべたダンプはメーンイベントのクラッシュ戦へ闘志をむき出した。
床を押しつぶすような不気味な極悪の入場曲に乗って、右手に竹刀、左手にクサリをつかんだダンプは、ユウを従え肩を揺すって入場した。花道のファンに凶器を振り回し、悲鳴で逃げ回るファンで場内は騒然となった。
この騒乱入場を「ダンプのごあいさつ」と放送する志生野アナ。だが、勢いに乗ってダンプが解説者席まで襲い竹刀の洗礼を受けると、志生野アナも解説の宮本氏も「きょうのダンプは違いますね」と驚いた。リングに上がっても放送席をニラみつけるダンプ、場内のファンはベルト奪取の恐るべき執念を感じとったのだろう。一瞬凍りついたような静寂が支配した。

 

そんな中、 ローリングソバットの入場曲に続き、クラッシュが登場すると、4500人の超満員のファンは総立ちでクラッシュ・コールだ。リング中央でニラみ合うクラッシュと極悪同盟、リングは一気に緊張感を高めた。そしてクラッシュにとって悪夢のゴングが高々と鳴った―――。
 

耳をつんざく黄色い絶叫を受け、ローリング・ソバットの入場曲に乗って登場したクラッシュ。だが、そのリングコスチュームの「風林火山」の空手着は、いままで着ていたものとは違っていた。
千種の背には″昇り竜″が、飛鳥の背には″下り竜″の刺シュウが入った空手着を着ての登場だった。

 

実はこの空手着はクラッシュが昨年暮れの女子プロ大賞授賞式ぜ「来年は風林火山の年にする」と宣言、新春シリーズで初めて風林火山の空手着を使ったのに感激した私が、1月15日の新入オーディションの日にテレビ局の楽屋でプレゼントしていたものだった。

二人にこの″二つ竜″を刺シュウして贈った理由はこうだ。私が極真空手の現役時代、大の仲良しであり、ライバルでもあった添野義二氏と極真空手の″竜虎″と言われていたことからきている。その折に私の看板となったのが「竜」だからだ。キックボクシング時代のリングでは、この竜をあしらった自のガウンをスポンサーからプレゼントされてリングに上がっていたものだ。
そのことを雑誌記者から聞いていた千種が、ことあるごとに私のことを「極真の竜」と呼んでいたので、「風林火山宣言」を機に竜の空手着のプレゼントを思いついたのである。

 

昇り、下りの″二つ竜″は日光東照宮の彫り物が有名だが、気性が激しく情熱的な千種を、天を駆け昇る竜に見立て昇り竜。沈着冷静、グラウンドレスリングに強い飛鳥に″地固め″を期待して天から舞い下りる下り竜。二つ竜が一体となって日本列島に雷鳴をとどろかす。そんな私の思いがプレゼントした竜の道着にはこめられていたのだ。
 

「二つ竜が分裂する時がクラッシュブームの終わる時」。この道着を贈る時の私の言葉であったが、二つ竜を刺シュウした思いは話さなかった。そして、このプレゼントを機に昇段。二段の黒帯に、竜の道着はペアで十万円。サラリーマンの私にとっては痛い出費であったが、「アスカ」「チグサ」コールの絶叫の中で、二つ竜の道着のリングコスチュームに驚いたファンのどよめきに″痛さ″も忘れてうれしさいっぱいになった。
しかし、
そんないい気分に酔いしれる私は谷底に突き落とされるほどのショックをダンプから受けた。
クラッシュがリングに上がってニラみ合って間もなく、何秒もたたないのにダンプがハサミを持って千種を奇襲。アッという間に千種は額を割られて大流血。その血がしたたり落ちて、プレゼントした道着を真っ赤に染めてしまったからである。
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この本は相変わらず脚色が多いです。テレビ放送を見た限りでは、ダンプたちはクラッシュよりも後から入場していますし、「ダンプのごあいさつ」で放送席は竹刀の洗礼は受けていないと思います。(^^;

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二つ竜の風林火山の空手着。私は氏家リングアナのコールでクラッシュがカッコよく脱ぎ捨ててくれる場面を想像していた。それが、コールの前のダンプの奇襲で血に汚されてしまったのだから頭にくる。しかも初めて着用した記念すべき日にだ。


試合開始のゴングはそんな極悪同盟の暴走の中で、選手紹介のコールもなく打ち鳴らされた。さらに、このところの極悪パワーはコミッショナーをも巻き込む勢いがあり、クラッシュがハンディを背負ってしまう出来事があった。
 

従来ならWWWA世界タッグはジミー加山が裁くのが通例。ところがこの一戦にリング制覇をかける極悪同盟は強引に阿部レフェリーを推薦。これが植田コミッショナーの裁定でメーンレフェリーをジミー加山、副審を阿部レフェリーという変則レフェリーが認められてしまったのである。
 

「ベルトはどんな手段を使っても取る」。極悪同盟の勝利への策謀は、この阿部レフェリーを副審に加えたことで、ほぼ成功したようなものだった。千種をハサミで奇襲した極悪ペアはやりたい放題の凶器攻撃で暴れまわった末、ユウが千種とのリング下での乱闘からの生還。11分29秒、リングアウト勝ちで一本目を先取した。しかし、クラッシュは空手殺法ざ極悪ペアの動きを止めた後、ツープラトンの脳天クイ打ちでユウをマットに沈めタイにした。
 

だが、三本日はあまりにも鮮やかな極悪の陰謀にクラッシュがはまって超満員ファンの怒りが爆発した。
セコンドについて極悪メンバーがリングを囲む。乱戦の最中に、覆面マネジャーがレフェリーのジミー加山を突如襲って場外へ投げ飛ばし、リングはレフェリー不在となった。ダンプは凶器攻撃でフラフラになった千種をつかまえると髪の毛を切る暴挙に出て会場は悲鳴と怒号で大混乱(
これが後にダンプとの髪切リマッチに発展する)。


そして気力のなくなった千種をロープに振って、ラリアートを爆発させてフォールに入った。この機を待っていたように副審の阿部レフェリーがスルリとリングに入ってカウントスリー。
極悪ペアの手があげられてしまったから、場内は騒然となった。
「左足がエプロンに出ていた」と訴える千種のアピールも認められなかった。ここに、クラッシュは″8・25後楽園″で王者になって、わずか6カ月で天下を明け渡したのである。

 

「もう一回やらせて!」。超満員のファンの絶叫を受け、コミッショナーヘの直訴も実らず、リターンマッチは次期シリーズで認められただけ。熱狂的なブームを支え、栄光の道を走るクラッシュにとって大ピンチの転落劇。新たな試練に直面したのである。

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クラッシュの道着(昇り竜、下り竜)は山崎照朝さんのプレゼントのようです。素晴らしいプレゼントですが、これが速攻で血に染まったので、山崎氏がムカついたようですね・・(^^;。