7/10(土)The Zombies @ 下北沢 GARDEN
下北沢のGardenというライブハウスで、The Zombiesのライブを観てきた。
Colin Blunstoneのライブが、billboard live なのになぜライブハウス!?と疑問ではあったが、とりあえず現地に行ってみると、周りはパチンコやコンビニ、カラオケばかりで、とてもZombiesがやる会場のように見えない。やはり同じような声がちらほら、「これ違うゾンビーズなんじゃね!?」なんて声も聞こえてきた。
それでも時間になり、会場入りするとLittle Boy Blueなる4ピースの少年バンドがいきなりの前座でZombiesとは何一つ共通点のないパンクロックまがいのことをし始める。
「ぶちかませ!!」とシャウトするボーカルの訴えも虚しく、オーディエンスの誰もが彼らの早期退場を望んでいるのか、無反応。次第に、観客の誰かが、「つまんねえぞ!」と言い出し、最後には、「さっさとステージから降りろ!」とダメ押しの一言を言われて終了。
その次のバンドは、一応大人なのか少年バンドとは違い、3曲くらいでさくっとやってステージを降りた。それも超絶技巧なリッケンバッカーでモッズっぽいことをやって、さらにZombiesのインスト曲をカバーして好印象を与えてステージを去ったのだった。来ているオーディエンスは年齢は様々。それこそ20代から60代まではいるだろう。だから、文化祭レベルの少年バンドなんざはまったくズレてしまうんだわな。それなりにクラシックロックの対するリスペクトが感じさせられるバンドかやたらプログレッシブなバンドじゃないと受け入れられないと思うよ。
さて、Zombiesである。
始まっていきなり下記の3曲。
1. Sticks and Stones
2. I Love You
3. Can't Nobody Love You
まったく予期していなかった、ファーストアルバムからのR&B曲。
好きさ、好きさ、好きさ、はやるだろうと思っていたけど、その他2曲はまったく
予想外。そして、新曲が始まる。
4. Breathe Out, Breathe In (new song)
これもいい曲だ。オールディーズ臭くないところは重要である。
残念だったのが、Rod Argentの声がツアー周りで完全に壊れてしまっていて、MCをやるのもやっとで、コーラスや自信のボーカル曲は一切できなくなってしまったとこか。しかし、僕らには天性のボーカリストColin Blunstoneがいる。そして彼のソロでのヒット曲に入る。
5. What Becomes Of The Broken Hearted
この曲はコリン曰く、ヨーロッパ各国でヒットしたと言うんだけど、あまりコリンの曲という気がしない。もちろんカバーではあるのだが、それ以上にコリンが歌うことで、またオリジナルとは別の一級品に仕上がっている曲も多いと
思うんだが、この曲だけはただのカバーに思える。そういう意味であまり思い入れはないかな。
6. I Don't Believe In Miracles
しかしこの曲は別格である。
この曲は、ラス・バラードが作ろうが、コリンのために生まれた曲としか思えない。
彼がこの曲に歌えばそれでもう彼以外の誰にも真似できない一級品なのである。
60代後半に入っても、彼のボーカルは変わらず伸びが良く、ハイトーンは昔のまま維持されていた。
7. Any Other Way (new song)
そしてニューアルバムから、コリン作のAny Other Wayである。この曲は大好きだ。
UKロックらしさ、特にAlan Parsons Projectみたいな感じ がする。この曲実際はコリンのソロ作の「The Ghost Of You And Me」に含まれていたが、どういった経緯でZombies名義で採録されていたのかは不明ながら、バンドサウンドになってさらに曲の良さが引き立った。
今回、ニューアルバムはヨーロッパ等のツアー中に全て売り切れになってしまったとかで、過去のタイトルやロッドやコリンのソロ作が並んでいたが、どれも律儀にサインがされていた。さっそく購入したのは言うまでもない。
続いて、名盤Odesssay and Oracleの再演である。
8. Care Of Cell 44
9. This Will Be Our Year
10. Beechwood Park
11. Time Of The Season
ビートルズのサージェントペパーズ時期の同じスタジオ、同じエンジニアを使用して、同じ雰囲気を持ち込んで制作したとの紹介で始まった自身の名盤「Odyssey & Oracle」から3曲が続く。どれもビートルズの名前を出す必要もない名曲揃いである。
ロッドの声がひどいせいか、リストから削られてしまった2曲(A Rose For Emily, I Want Her She Wants Me)は残念であったが、この4曲だけでも感涙ものだ。
特に、Chris White作のThis Will Be Our Yearなんて、永遠のクラシックソングだと思う。
まあ、そうは言っても一般的には認知度は異常に低いのだけど。MCでも言っていたが、9はFoo Fighersに、10は、Beckがカバーしているらしい。最後の11で、僕はロッドのオルガン、コリンのボーカルという完璧なバージョンを目にして大変満足した。やはりこの曲はロッドのキーボードが決め手だ。
11. Play It For Real (new song)
12. A Moment In Time (new song)
どちらもニューアルバムから。1曲目はその前の二人のシーズンの余韻が強すぎて、あんまり印象ない。その次のナンバーは、コリンが「自分は書いてないけど、この曲はBrilliantだ!」と自画自賛するソング。円熟したロックナンバーといった感じかな。ロッドのキーボードの調べが美しくて、壮大な曲だ。この曲と、前述したAny Other Wayが入っているだけでニューアルバムは買う価値は絶対あるはずだ。
13. Whenever You're Ready
14. Tell Her No
ニューアルバムに続いてプレイされたのが、13のWhenever You're Readyである。
僕のZombiesの中で1、2を争うベストソングである。ヒットはしなかっただろうけど、ロッドの最高傑作の一つだと密かに思っている。次の曲は言わずと知れたアメリカでの大ヒット曲である。そしてカラオケにもたまにある。
15. Old and Wise
ここから、1967年に解散してから、2011年の今に至るまでの軌跡をコリンが軽く説明。
そして、Alan Parsons Project での楽曲、Old and Wiseをプレイ。この曲は彼のお気に入りのようで、彼のソロライブでも当然やっていた。素晴らしい楽曲だし、今回はさらにギターソロがブルージーで良かった。
16. Say You Don't Mind
コリンの有名な1stアルバムの最後を飾る曲。
この曲も伸びやかなファルセットがないと歌えない曲ながら、彼は衰え知らずなので問題なさそうだ。正直この曲に関してはソロライブのときの編成の方がよかったかな。ちょっとロックっぽくなり過ぎていた。どちらかと言うと、ダニー・レインのオリジナルに近いアレンジだった気がする。
17. Hold Your Head Up
そしてプログレバンドArgentの登場である。
ベースも元メンバーだし、ロッドは当然元リーダーである。ここからバンドはいきなりZombiesではなくなり、Argentと化した。そしてプログレッシブな、「Hold Your Head Up」の始まりだ。コリンがボーカルということを除けば、昔はこういうバンドであったのだろうと予想できる雰囲気を持っていた。
この曲が、Chris Whiteの作だというのもイメージできない。彼はいつだって良質なポップソングを量産していたイメージがあるから。そしてArgentというバンドはもちろん過去に聞いたことはあるのだが、その妙にパワーロックしているとこが馴染めず、そのまま忘れた存在でいた。しかし、いまこうやって耳にすると、鉄壁なリズム隊とロッドが取り付かれたような顔で、永遠と続きそうに長いオルガンソロを奏でる様は、かっこいい。その場にいたみんな度肝を抜かれたように立ち尽くしてしまっているかのようであった。この曲だけで、10分あったのではなかろうか。
18. She's Not There
そして、Zombiesの代名詞ともいえるナンバーの登場である。
さきほどまで、一瞬バンドがArgentになっていたのが再びZombiesに戻り、そしてショーも終盤である。相変わらずこの曲でもロッドが即興でオルガンを弾きまくる。この姿は彼らが1965年前後のときとあまり変わっていないだろう。つまり、コリンとロッドは35年以上経っても、変わらず同じ仕事ができるのである。僕らが、今後35年経って過去にやっていた仕事を評価されて再演を求められることがあるだろうか。ここだけは、音楽とか芸術の持つパワーには誰も太刀打ちできないところだ。今やっている作業が来年には古くなる仕事をしている人には時間をまたいでその仕事の価値を留めることはできない。
19. God Gave Rock and Roll to You
再び、Argentである。KISSで有名になったナンバーらしいが、僕はArgentナンバーしか知らない。
70年代の王道ロックであり、当時のロックアンセムかな。僕は今回Billboard Live Tokyoや、Blue Boteでなく、普通のライブハウスであることに当初疑問を抱いていたのだが、それは間違っていた。彼らは、今も現役のライブバンドであり、あの1時間ちょいの、2ステージ制のいわゆる、"ショー"には彼らは似合わない。彼らは未だにアツくロックするオヤジたちだからだ。
オーディエンスが、God Gave Rock and Roll to Youのフレーズを歌い、そこから雄たけびのようなギターに乗っかるように、コリンが叫び、ロッドが取り付かれたようにプレイする様はロックそのもの。
僕は、過去数年Blue Noteで静かにショーを楽しむことばかりに慣れてしまっていたことを今回気づかされた。彼らは、60代後半、僕のオヤジくらいの年齢だ。それが2時間近くアツくアツくロックする様は何か自分自身に足りないものを鼓舞される思いだった。
そして、ラストソング。
20. Summertime
ガーシュインのスタンダードナンバーだ。
Zombiesのメンバーが最初に集まってやった曲とのこと。
最後はしっとり名残惜しいように、それでいて十分充たされた思いでライブは終了したのだ。
間違いなく、ここ数年間で僕が観たベストライブだった。それがZombiesであったことにも驚きだ。
本来ならば彼らくらいの立場であれば、さくさくと1時間ばかりやってはい終わりとなってもおかしくない立場だ。それが、よくわからない少年バンドを前座にして、下北沢なんていう街で2時間近くロックしたのだから。拍手はいつまで鳴り止まなかったのも当然だろう。