「すごいですね」
「ラクになりました」
「効果ありました」
そう言ったあと。
「あれ、本当にそうだったかな」
と思ったことはありませんか。
私はあります。
しかも、
心理を学び始めていた頃の私がそうでした。
当時の私は、
心理セラピストとしてやっていこうと思っていました。
技術も学んでいました。
だから、正直に言うと
「なぜそうなるのか」が気になるタイプでした。
心の傷とか。
昔からの反応とか。
そういうものは、
そんなに簡単には変わらない。
時間もかかる。
痛みもある。
丁寧に扱うもの。
私はそう思っていました。
自分自身が、そうだったからです。
そんな時でした。
ある人が言ったんです。
「誰のトラウマでも一瞬で治せます」
しかも、
100%。
科学的。
誰でも。
一瞬。
今こうして書くと、だいぶ強い言葉ですね。
でも。
当時は少し違いました。
「そんなことある?」
そう思いながらも、
その人から受けた人たちが、
「本当に効きました!」
と言っている。
実をいうと、
みんなが納得している中で、
一人だけ止まるのって、
意外と難しいんですよね。
少しずつ私の中で、
「本当かもしれない」が大きくなっていきました。
今思うと、
信じたかったんだと思います。
早くラクになりたかったし。
もし本当なら、
遠回りしなくて済む。
そんな気持ちも、
たぶんありました。
結局、
私は受けました。
そして、
その人から"術"を受けた時、
少しラクになった気もしました。
……いや。正確に言うと。
ラクになった気がしたかった、
の方が近いかもしれません。
終わったあと、私は言いました。
「ありがとうございました。
本当に効果ありました。」
でも、
一人になった時、
少し変な感じがしました。
胸の奥に、
小さい引っかかりみたいなものが
残っていました。
そのあと、教わる側になりました。
技術は、一瞬でした。
説明よりも。
理論よりも。
「はい、入りました」
そんな感じ。
私は思いました。
「これで私も使えるんだ」
嬉しかったです。
でも。
しばらくすると。
また同じことで悩み始めました。
「あれ?」
と思いました。
治ったはずなのに。
効いたはずなのに。
もう一度、
自分にやってみました。
でも、
変わりませんでした。
何度も試してみましたが、
やっぱり変わりませんでした。
その頃には、
その人は、
グループからいなくなっていました。
説明もなく。
気づいたら、いませんでした。
その時
「騙された」
というより先に来たのは。
「なんで、あの時あんなに信じたんだろう」
でした。
たぶん人って
苦しい時ほど、
正しい答えより、
早い答えを探すんですよね。
私はそうでした。
だから、
SNSで見かけた方法を次々試す。
「効いた気がします」
と言って帰る。
本当は少し引っかかっているのに、
「考えすぎかな」と流してしまう。
そういうことって、ありませんか。
私の場合一人になった時、
「効いた気がする」
そう思おうとしているのに
なぜか、胸の奥が少し重かったんです。
でも。
その違和感を見るより、
信じた方がラクでした。
「効いたことにした方がいい」
そんな感じがしたんです。
だから、見ないことにしました。
今思うと、
あの時に無視したのは、
術の効果より、
自分の感覚の方だった気がします。
それ以来、
私は一つ、
自分に問うようにしています。
「どういう理論なんだろう」
と。
理解できると、信用できる。
理解できないと、やっぱり少し止まる。
それが正直なところです。
だから今は、
「一瞬で変わります」
よりも
「なぜ、その反応が起きているんだろう」
を見ています。
セッションでも、
変化そのものより先に、
違和感を消した瞬間。
体が止まった瞬間。
言えなくなった瞬間。
そこを一緒に見ています。
遠回りに見えるんですが。
結局、そっちの方が、
あとで戻りにくかったんです。
もし今、
誰かの言葉を聞いて、
「すごそう」
「でも少し引っかかる」
そんな感じがあるなら、
その違和感、
すぐ消さなくていいかもしれません。
答えを急がなくても。
まずは。
その感覚が、どこで消えたのか。
そこを見る方が先かもしれません。
ではまた!
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