陶芸家の高鶴 淳一(こうづる じゅんいち)先生を紹介する第2回目の今回では、まず「栞」を紹介します。毎年8月に先生の窯場「薪窯(しんよう)」を訪問しますが、作品を購入する都度、この栞を多めにもらいます。そして、先生のことを少しでも多く知ってもらうため、周囲に配布しています。
栞をめくると、こんな文章が書かれています。「李朝風の力強くおおらかな作風」「素朴で味わいの深い色を出す」「古上野、古高取の復元に加え現代にも通じる斬新さのある作陶」とありますが、正にこの通りの作風なのです。
ちなみに「光宗(みつむね)」とは、先生の息子さんのことで、同じく陶芸家です。
最新の陶歴はこちらをご覧ください。前回も書きましたが、九州地方の展覧会である西部工芸展において昭和50年に朝日新聞社金賞(最高位)を受賞していますので、外部からの評価ももちろん高いわけです。
こちらは昔の作陶展のパンフレットですが、作品が掲載されていますので、ご覧ください。轆轤目が力強い水指や茶碗ですね。
今回は、私のコレクションのぐい呑をいくつかお見せします。
まず最初は、椿灰釉粉引ぐい呑です。白化粧の掛け残し部分がアクセントになって、そこから本来の陶土の色が見えます。椿の木の灰釉は透明釉ですが、窯変により、赤く発色します。
ちなみに、酸化焼成した桐灰釉ぐい呑は、このように茶色に発色しています。
最後は、鉄釉ぐい呑です。釉薬の鉄は先生が自ら山から採取してきた鉱物から抽出して作ったものを使用しています。茶色い鉄釉が一般的ですが、先生の鉄釉は黒く発色しています。
ガスや電気より薪で焼成すると、釉薬の陶土への染み込み度合いが強いとおっしゃっていました。だからこそ、色合いに深みが出るのでしょう。
今後もコレクション作品を順次紹介していきます。