先日、馴染みのジャズ喫茶で「Art Pepper Meets The Rhythm Section」がかかった。小生より年上の先客が、録音サウンドがすばらしいだけで、出来はごく凡庸の星3つだと言う。しかもSJ誌の4つ星が平均という緩さではないと付け加える。「Penguin Guide to Jazz」は4つ、「AllMusic」は5つ星を付けた傑作に異論を唱える人は珍しい。

 

 理由を訊いてみた。ガーランド・トリオとペッパーとのお互いどうしのリスペクトが感じられない。場当たり的な録音で準備不足、初期のDiscovery盤やIntro盤の瑞々しく、イマジネーション豊かな演奏と比べれば一聴瞭然とか。更にレパートリーも魅力不足という。音楽、特にジャズは好みにより評価が違うのでなるほどと思ったが、人気盤なのは日本人に熱愛される「You'd Be So Nice・・」がトップに入っているからだと分析していた。この曲がB面3曲目あたりに収録されていたら話題にならなかっただろうと。

 

 笑止千万。往年のプレイヤーを担ぎ出しアルバムタイトルに日本人好みの「Autumn Leaves」や「Golden Earrings」、トップに「Softly, As in a Morning Sunrise」、「It’s All Right with Me」、A1もB3も金太郎飴のアドリブ、音が良いだけガッツがない録音の何処ぞのレーベルとは違うのだ。こちらはレスター・ケーニッヒのContemporary盤だ。録音が良いのは当然のこと。技師はロイ・デュナン。内容が申し分ないのでA1に持ってきただけで、仮にB3の「Star Eyes」が頭でも人気と評価は変わらないだろう。

 

 「Left Alone」、「Blues-ette」、「Scene Changes」、「Cool Struttin'」、「We Get Requests」・・・人気盤が必ずしもそのミュージシャンのベスト盤ではないが、毎日ジャズ喫茶でかかるそれらのレコードでジャズの魅力に触れた人は多い。今の我が国のジャズ文化の発展はこれらの愛されるアルバムがあったからである。