2024年10月27日に「黒岩静枝さんの歌手生活60周年と「DAY BY DAY」40周年を祝う」のタイトルで記事をアップした。その稿で「次の大きなコンサートは3年後の傘寿と決めている」と結んだのだが、去る8月2日に「80歳の私を、迎えにゆこう。」と題されたディナーコンサートが札幌パーク・ホテルで開かれた。

 

 予定より早いのは建物の老朽化により来年春に取り壊しが決まったことによるものだ。開業は東京オリンピックが開催された1964年で、札幌で宿泊といえば一番に挙がる由緒あるホテルである。昭和天皇に皇族各方、元内閣総理大臣の佐藤栄作、各界の著名人が宿泊しているし、ステージにはかつての大スター美空ひばりや石原裕次郎も立った。読者の方々も来札の折に利用したことがあるも知れない。

 

 62年のキャリアで何度も歌った会場は熱気であふれていた。その数450人。これだけ集めることができるジャズシンガーはざらにはいない。改めて彼女のファン層の厚さと人気を再認識した次第である。銀座スウィングをはじめ各地のコンサートで満席になる黒岩さんだけあり東京から多彩なゲストが駆け付け、地元のジャズミュージシャンや、黒岩さんのレッスン生がステージを盛り上げた。大成功である。

 

 跡地は大規模な国際会議場と米ホテルチェーン「ヒルトン」が富裕層向けのホテルを建設するという。2023年に伝説的なディスコ「キングムー」が解体され、今年3月にはディノスシネマズ札幌劇場の後継館「サツゲキ」が閉館した。時代は変わったといえばそれまでだが、消えゆく札幌の昭和は寂しい。