ジャズ誌でロリンズの訃報が大きく伝えられたページで、忘れかけていた名前を見つけた。5月15日没ベングト・ベルガー、5月18日没ギュンター・ハンペル、6月3日没ジェイムス・ブラッド・ウルマー。奇しくも大きな括りではあるがアヴァンギャルドなスタイルでフリージャズ界を賑わしたミュージシャンである。
ベルガーはドン・チェリーとの共演で知られるスウェーデンのドラマーだ。2012年録音の「Beches Brew BIG」はタイトルの如くマイルス「Bitches Brew」にインスパイアされた作品で、今尚マイルスの影響力の大きさを知らしめ、それを進化させた音楽性に驚異する作品だった。ドイツのヴァイブラフォン演奏ハンペルは、セシル・テイラーと共演歴があり、サックスやフルート、ピアノもこなすマルチプレイヤーである。フリージャズの名門レーベル「ESP-Disk」からリリースされた66年録音の「Music From Europe」は傑作として名高い。
そして、ウルマーは70年代にオーネット・コールマンのバンドに参加して頭角を現したジャズ界のジミヘンと呼ばれたギタリストだ。80年代にはデヴィッド・マレイをはじめサム・リヴァース、ファラオ・サンダース、ジョン・ゾーンと共演しフリーの中心にいた。理論派のデレク・ベイリーや攻撃的なソニー・シャーロックとは違い、ファンク色の強いスタイルなので馴染みやすい。最高傑作といえば80年の「Are You Glad To Be In America?」で、60,70年代とは違う形でフリージャズの方向性を示した。
享年。ベルガー83歳、ハンペル88歳、ウルマー86歳。コールマンやチェリー、セシル、アイラーに感化され、それを昇華させ、更に独自に発展させたそれぞれのスタイルは次世代に受け継がれていくだろう。賛否両論が渦巻く中、大きくジャズの流れを変えたフリージャズは半世紀以上経った今も生きている。
