
北海道日本ハムファイターズが札幌ドームを使用する最後の年にまさかノーヒットノーランを見れるとは思わなかった。8月27日の対福岡ソフトバンクホークス戦に登板したコディ・ポンセ投手だ。1回2死からデッドボールを与えたものもその後は尻上がりにコントロールが良くなり、バックもこれぞプロという華麗な守備で盛り立てた。
さてポンセといえばメキシコの作曲家にマヌエル・ポンセがいる。ギター協奏曲「南の協奏曲」や「ロマンティックなソナタ」、「南国のソナチネ」で知られるが、ジャズファンにつとに有名な曲は「小さな星」の邦題が付いている「Estrellita」だろう。ヤッシャ・ハイフェッツの編曲でヴァイオリン曲として知られるこの美しいメロディーを1952年に取り上げたのはチャーリー・パーカーだ。数テイク残されているが、繊細なテーマの構築と大胆なアドリブに唸る。ストレートは大胆に、変化球は繊細に・・・まさにポンセ投手のピッチングのようだ。
カバーはそれほど多くはないが、63年6月にソニー・スティットがインパルス盤「Now!」にアルトで吹き込んでいる。テンポはパーカーとほぼ同じでハンク・ジョーンズのトリオがバックのワンホーンだ。そして何を思ったか同年の12月に今度はプレスティッジ盤「Primitivo Soul!」でテナーに持ち替えて録音している。こちらはパーカーに倣ってコンガを入れたラテンタッチで、テンポはかなり遅い。先の録音に満足しなかったのか、曲に思い入れがあったのか、はたまた楽器選びにこだわったのか、今となっては分からないが、どちらもソロは素晴らしい。
ファイターズが来季から北広島市の新球場に移るとドームはサッカーと僅かなイベントだけになる。8月30日の北海道新聞に来秋からドームで全道高校野球を開催すると載っていた。少しでも穴を埋めたいようだ。ファイターズがドームを見限った理由の一つに選手の足腰に負担のかかる人工芝がある。日没や天候の心配がないとはいえ発育盛りの高校生の怪我が心配だ。野球を知らないドーム関係者に呆れる。