
トム・クルーズ主演の映画「ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション」を観た。スパイ物は「007」に一歩譲るとしても二転三転するストリーと、派手なアクションは娯楽映画の王道を行くものだ。冒頭、ロンドンの中古レコード店のシーンがあり、トム扮するエージェントが「なにかレアなものはないかな」と女店員に聞く。勿論、美女だ。これが合言葉なのだが、続けてコルトレーンとモンク、そして・・・
何と、シャドウ・ウィルソンの名前が出てくる。ジャズを聴き込んでいる方でもシャドウの参加レコードをすらすらと言えないだろう。なぜ「Shadow 影」なのかというセリフも出てくるほど目立たないドラマーだ。おっと、これ以上はネタバレになるので書けない。この3人が共演したアルバムといえばJazzland盤「Thelonious Monk with John Coltrane」があるが、レアなものと言っているので、カーネギーのライブ盤を指す。誰もその存在を知らなかった1957年のテープである。その辺りの経緯はコルトレーン研究家の藤岡靖洋氏のライナーを参考にしていただきたい。ミステリー小説のようにワクワクする。
写真はテープが発見された2005年にブルーノートから即発売されたCDだが、「Doxy」、「Dol」というレーベルからLPという形で発売されている。そのシーンでジャケットは映らないが、おそらくこのレコードだろう。ともにヨーロッパのレーベルでロンドンが舞台なのでディテールにこだわったのかも知れない。因みにレコードのジャケットは、CDのブックレットの4ページに掲載されている写真を使っている。今更説明が要らないほどコルトレーンにとって重要な時期だ。とりわけモンクの愛奏曲「Sweet and Lovely」の解釈が素晴らしく、倍テンポでソロに突入するあたりは何度聴いてもゾクゾクする。モンクから学んだタイム感覚は大きい。
そのレコード店のエサ箱の手前にアンドレ・プレヴィンとラス・フリーマンの「Double Play !」があった。ストリーを暗示するものではないが、ジャズのレコードが見えるだけで嬉しくなるし、その箱に何が眠っているのだろうと妄想もふくらむ。レコードマニアの哀しい性で、映画館を出たらいつの間にか足はレコード店に向いていた。箱を漁りながらふとレジを見ると美人の店員さんではなく、いつもの店主がいる。現実に引き戻された。