映画「ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男」を観た。JBやソウル、ファンク系の音楽を熱心に聴くわけではないが、ミスター・ダイナマイトとかセックス・マシーン、ファンクの帝王等、数々のニックネームで呼ばれる20世紀最高のエンターテイナーの音楽と私生活には興味がある。プロデューサーにザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが加わっているときけば見逃すわけにはいかない。

 バンド・メンバーとの確執や友情、成功したがゆえの金銭トラブルと家庭不和等、ミュージシャンの伝記映画に付きものの筋立てだが、ライブシーンも多く、ステージのパフォーマンスも存分に楽しめる。ところで、そのJBとジャズがどこで結びつくのか。どうせ無理矢理つなげるのだろうと笑われそうだが、どっこいこれがスムーズな展開なのだ。ここで登場するのはジャンルやスタイルを問わず数多くのミュージシャンと共演してグラミー賞を3度受賞したクリスチャン・マクブライドである。何とこのベーシスト、JBの大ファンで、JBのレコード・コレクターとしてつとに有名だという。

 更に1995年の初リーダー作「Gettin' To It」に「Night Train」を収録しているのだ。 マイルスが麻薬から抜け出すため故郷のセントルイスに帰ったとき共演したジミー・フォレストが52年に作った曲で、その10年後にJBがカバーし大ヒットしている。このアルバムはロイ・ハーグローブをはじめジョシュア・レッドマン、サイラス・チェスナットという一流のメンバーが参加した豪華版だが、この曲はベース1本で演奏している。ピチカートとアルコを駆使したソロで、今までに磨いてきたテクニックのあるだけを披露したものだ。JBがステージで飛び跳ねている様子を太い音で表現したものだろう。

 ジャック・シフマン著「黒人ばかりのアポロ劇場」(SJ社)に、ジェット機やロールスロイス、500着とも1000着ともいわれるスーツ等、JBの個人財産目録が載っている。稼ぎ高は1963年に45万ドル、何とその5年後には250万ドルだ。1ドルが360円の固定相場の時代である。帝王とかゴッド・ファーザーと呼ばれるわけだ。JBの名盤「Live at The Apollo」を聴きたくなった。勿論、「Night Train」も歌っている。