
♪ When I fall in love It will be forever Or I'll never fall in love・・・コーラスの頭をそのままタイトルにした曲に「When I Fall In Love」がある。邦題は直訳ながら曲調にピタリとはまる「恋に落ちた時」と付いたラヴソングだ。「恋をするときは永遠に続く恋をしたい」という歯の浮くような詞を書いたのはエドワード・ヘイマンだが、じっくり読むと全文を載せるスペースがないのが残念なほど味がある。
作曲したのはヴィクター・ヤングで、1952年に朝鮮戦争の戦意を揚げるために制作された映画「零号作戦」の主題歌として使われたのを皮切りに、1957年にはエロール・フリン主演の「イスタンブール」に採用され、この映画ではナット・キング・コールが出演してこの曲を歌っていた。さらに1993年にトム・ハンクスとメグ・ライアンが共演した「めぐり逢えたら」、また1999年にはキューブリック監督の遺作になった「アイズ・ワイド・シャット」にも流れている。数あるラヴストーリーに似合う曲のなかでもトップクラスにランクされる曲といっていい。
1952年に最初のヒットを記録したドリス・デイをはじめ、カーメン・マクレイ、レターメン、カーペンターズ、サム・クックとあらゆるジャンルのシンガーが取り上げている。原曲の持ち味を生かしてストレートに歌っても、フェイクしてジャジーに歌っても映える曲であり、どんなリズムやテンポでも崩れない曲だ。オーケストラをバックにドラマチックに歌うのはイーディー・ゴーメで、日本ではCMに使われた「ザ・ギフト」で知られるが、スティーブ・ローレンスとのおしどり夫婦としてアメリカでは絶大な人気を誇るシンガーだ。このアルバムを録音したのは58年、結婚したのは57年、かみしめるように歌っているのは新婚のせいかもしれない。
作詞家は作曲家に比べ、あまり注目されることはないが、エドワード・ヘイマンが気になり調べてみると、ビリー・ホリデイの名唱が聴こえてくる「I Cover The Waterfront」をはじめ、プレスリーが格好良く決めた「Love Letters」、そして極めつけはもっとも美しいバラードと言われる「Body And Soul」を作詞している。メロディに詞が溶け込み一体となった曲は鼻歌でもいつの間にか歌詞を口遊んでいる。