表紙に小さな花をあしらった写真集が手元にある。GW中に雪が降ったとはいえ北海道にも遅い春が来たので、花を観賞するのですか?って。そんな殊勝な情緒は持ち合わせてはおらず、蝶なら夜の蝶、花なら華のある女性を観賞するのを趣味としている。手にしているのは今話題の叶美香さんのヌード写真集「Sweet Goddess」でした。155万部売れたという宮沢りえさんは別格として、3万部売れたらヒットといわれるヌード写真集なのだが、こちらは初版6万5千部完売というから驚きだ。

 サム・テイラーやシル・オースチンのムード音楽のアルバムにはヌードが付きものだが、ジャズアルバムの中にも何枚かある。中身で勝負できない分、ヌード・ジャケットで売ろうといわけでもないだろうが、中には良い物もある。「マジック・オブ・ジュジュ」や「ワン・フォー・ザ・トレーン」で知られる60年代ニュージャズの旗手、アーチー・シェップに、ヴィーナス・レコードの「Deja Vu フレンチ・バラッズ」がある。01年の録音で悩ましいヌード・ジャケット以上に中身が充実している。

 タイトルから分かるように「枯葉」、「パリの四月」、「パリの空の下」等フランスにちなんだ曲を吹き込んでいる。晩年をパリで過ごしたシドニー・ベシェの曲で、日本ではザ・ピーナッツの名唱がある「小さな花」も収録されていて、これは特筆すべき良い出来だ。「ジャズの10月革命」に参加したり、詩人リロイ・ジョーンズらとニュー・ブラック・ミュージックを主唱していたシェップからは想像も出来ないアルバム作りなのだが、かつての60年代の尖った所はなく、安定したフレーズとともに円熟した音を愉しめる。

 写真集を開いてみると、小さな花は徐々に取り除かれヘアも出てくる。良い物を見させてもらったと、ナンマンダブと拝みたくなる。しっかりと目に焼き付けた。というのも知人がオークションに出品してほしいと我が家に持ち込んだもので、購入したのではない。英国紳士がグラビアから抜け出したような小生なので、ヌード写真集など書店で買えるわけがない。プレイボーイ誌を買うときは上にあまり読みたくない経済誌フォーブスを重ねてレジに持って行く。勉学に励む高校生の頃、蛍雪時代の下に平凡パンチを重ねたように、いまだに習慣は変わらない。エッ、富士出版の写真集を持っているではないか!ッテ。あれは通販です。(笑)