機動戦士ガンダムSEED FREEDOMの感想 | 決闘王F.Kのブログ

決闘王F.Kのブログ

週刊少年ジャンプ、東京放映のアニメや特撮、サッカーの試合(東京ヴェルディのサポです)やライブの感想を書いています。

HP(http://duelkingfk.fc2web.com/)にもお越しください。

 9年ぶりに映画の感想をブログで書きます。ネタバレ満載で書くので、まだ見てない人はここでお帰りください。

 遂に公開されました。劇場版機動戦士ガンダムSEEDこと、機動戦士ガンダムSEED FREEDOM。我々はこの時を3年、いや20年待ったのだ……!
 私のHPを訪れている方は知っているかもしれませんが、私にとってガンダムSEEDは特別な作品です。元々ガンダムシリーズは大好きだったのですが、SEEDからインターネットを使うようになり、他の人達の反応を見ながら感想をアップしていました。
 全く先が読めない展開に毎週ハラハラさせられ、アニメを見る楽しみを思い出させてくれた作品です。SEEDアンチの意見にムキになったのも懐かしい。DESTINYの頃のアンチは特に凄かったなあ……。
 SEED愛が高まり過ぎて、SEEDの二次創作小説であるガンダムSEED鏡伝を書いたり(現在もHPで公開しています)、遂には同人活動も始めました。ガンダムSEEDは現在の私の根幹を成すアニメであり、作品への愛も別格です。

 しかしDESTINY完結後、SEEDの時の流れは止まってしまった。福田己津央監督の奥さんで作品のメインライターだった両澤千晶さんが2016年に亡くなられたのが大きかったらしく、企画は完全にストップ。西川貴教さんがライブで続きを熱望し続けるも、その願いが叶う事無く時が過ぎました。
 正直、私も諦めていました。ガンダムシリーズはダブルオーやAGE、鉄血に水星の魔女と続々作られているのに、SEEDは取り残されてしまった。スパロボ等で補完されるのは嬉しかったけど虚しくもあり、私の人生はSEEDへの未練を残したまま終わるのかなあ……と思っていました。
 だが、奇跡は起きた。映画の企画は水面下で動いており、去年の秋頃に情報が公開されました! PVを見てもまだ信じられず、中止や延期になるんじゃないかとハラハラしました(笑)。

 カガリ役が進藤尚美さんから森なな子さんに変わったのは謎ですが(大人の事情……)、脚本には小説家の後藤リウ先生(SEEDシリーズのノベライズ作品を多数書いてます)が加わり、両澤さんが残したプロットを軸に物語を仕上げてくれました。
 歌も素晴らしい。OP西川貴教! EDはSee-Saw! 挿入歌は中島美嘉(作詞・作曲は小室哲哉)! いつか生で聞ける日を楽しみにしています。

 25日深夜からの最速公開をあえてスルーして、朝9時からの公開に向かいました。ネタバレが怖かったのでSNSを封印して、いざ。
 場所はいつもの新宿バルト9。今年初の映画鑑賞です。


 ロビーにはSEEDの広告が掲げられ、物販には長蛇の列が出来ていました。こんな光景を見れる日が来るとはなあ……。SEEDファンとしては感慨深い限り。

 実を言うと、この映画を見るのは楽しみでありましたが、一方で恐くもあり、見たくない気持ちもありました。
 待たされ続けて20年。でもその間、SEEDファンは様々な「その後の物語」を考え、自分の気持ちを補完してきました。私も鏡伝を書いて、一応区切りをつけたつもりでした。
 だけどいよいよ公式からの「その後の物語」が出る。SEEDを未完の大作として弄りつつも愛してきた日々が終わる。そしてSEEDシリーズも終わる。それが寂しくて辛くて、でもファンならば絶対に見なければならない。そんな複雑な気持ちで、映画の幕開けを迎えました。


 ここからは映画の感想。念の為に再度警告しますが、ネタバレありなので注意。

 DESTINY本編から2年、世界は相変わらずナチュラルとコーディネイターの対立が続いており、ブルーコスモスも絶賛活動中。盟主ジブリールとスポンサーであるロゴスを失ってもまだまだ元気で、多数のMSに加えてデストロイガンダムまで繰り出してきます。
 DESTINY本編ではヤラレ役だったウィンダムも、一般人から見たら巨大な鬼。惨劇になると思われたその時、世界平和監視機構コンパスの一員となったキラとシン、ルナマリア達が駆け付けて人々を救います。
 新型MSライジングフリーダムガンダムにはキラが、イモータルジャスティスガンタムには何とシンが乗っています。アスランはコンパスに加わってないので妥当な人選ではあるけど、ちょっと違和感。
 ちなみに私は鏡伝でキラをジャスティスに、アスランをフリーダムに乗せました。当時の私、捻くれてたなあ(笑)。
 戦っても戦っても、世界は平和にならない。デュランダルのデスティニー・プランを否定したのは間違っていたのか? 疲れを隠せないキラはコンパスの総裁になったラクスとすれ違うようになり、不穏な空気が漂います。
 そんな中、ブルーコスモスの新たな指導者ミケール大佐が隠れている場所が判明。新興国のファウンデーション王国がコンパスに共闘を持ちかけます。容姿は子供だけど怪しい女帝アウラ、黒いMSを駆る近衛師団、そしてラクスに近づく若き宰相オルフェ。彼らはキラ達を翻弄し、やがて世界中を巻き込む大異変を起こします。
 話の構成は実に王道。前半で慣れ親しんだキャラ達の不遇や苦戦を見せてストレスを与え、後半の大逆転でカタルシス爆発!というエンターテインメント。古いと言えばそうですが、ならば何故そんな古い方法が今も残っているのか? 答え、面白いからだ! そんな訳で最高でした。
 ストーリーもこれまた王道で、主軸はキラとラクスの恋愛関係。この2人はSEEDシリーズを象徴するカップルですが、2人の恋愛話は意外と少ない、というか殆ど無い。キララク派としてはずっとこの2人の話が見たかったので、ようやくやってくれたかと満足しました。
 一方、アスカガ派は2人が一緒にいる場面が無くて不満を抱きそう…と思ってたら、最後の最後にやってくれました。2人がペンダントを掲げるシーンにはニヤニヤしちゃいましたよ。そしてアスランのイメージのカガリには笑った。あんなの見せられたシュラに少し同情しました(笑)。
 TVシリーズと違って映画は2時間ぐらいで纏めなくてはいけないので余計な事はせず、出し惜しみもせずにガンガン進めます。キラ達が敗北するまででかなりの時間を使っており、これ上映時間内に収まるの? 後編やるかも、と心配したけど、きっちり完結してホッ。
 印象に残ったのは、キラの憔悴っぷりですね。自分がどんなに頑張っても世界は平和にならない、ラクスの理想を叶えられない無力感に打ちのめされていたところでオルフェ達の罠に嵌まり、命以外の全てを失う。シンにやられた時以上のショックだったでしょう。へこたれるのも分かります。
 そんなキラに活を入れるアスラン。キラには悪いけど、アスランがキラを殴り飛ばした時はスカッとした。アスランはDESTINYでは不遇でしたが、今回の彼は完全にヒーローでした。敵からも最強だと認められたし。でもシュラとの戦いの彼は最低(笑)。後でカガリに怒られろ。そしてイチャつけ。
 第3の主人公とも言えるシンは、カッコ良くて可愛かった(笑)。キラの力になりたいと頑張る姿は犬というか弟属性全開で、デスティニーに乗ってからの無双っぷりには痺れた。イモータルジャスティスに乗ってた時はイマイチだったけど、本人が言うように合ってなかったんだろうな。機体の相性って大事。
 ルナマリアはシンとの関係をすっきりさせてくれました。傷の舐め合いカップルとか吊り橋効果だろと言われても、今は好き合ってる。ならばそれで良い。中の人達も含めて、お幸せに。
 新キャラのアグネスは、もっとじっくり描いてほしかった。キラに横恋慕したけど振られて裏切るという、オイシイ立ち位置だったので勿体ない。でも生き残ってくれて嬉しい。桑島法子さんが演じるキャラは死ぬジンクス、乗り越えられて良かった。
 イザークとディアッカも登場。更にデュエルとバスターも! まさかこの2機がミーティアとドッキングするとは。デュエルにブリッツの機能を組み込んでくれたのは、ニコルへの友情もあるのかなと想像してホッコリ。
 最終決戦は互いに男女ペアで。ラクスへの執着とキラへの憎悪を剥き出しにするオルフェ、下野紘さんのカッコ良さと情けなさを併せ持った演技が素晴らしい。一方、キラとラクスは初めての共闘で挑む。ストライクフリーダムとラクスが乗ってきたプラウドディフェンダーが合体した最強MS、マイティーストライクフリーダムガンダム! その絶大な力は歴代ガンダムでも最強クラスでしょう。愛の力は無敵なり。
 そう、この映画の主題は愛。ナチュラルであろうとコーディネイターであろうと、人である限り愛の感情に振り回される。それは幸せな事であり、不幸でもある。己の愛に翻弄されたオルフェ、報われない愛に涙したイングリット、遺伝子の運命を乗り越えて結ばれたキラとラクス。正反対の愛の人生を歩んだ彼らの決着と結末には感動しました。
 「正義」は移ろうもの。
 「運命」は抗うもの。
 「自由」は獲るもの!
 福田監督はこれがSEEDシリーズのテーマであり、コンテの最初のページに書いて自分の指針にしたそうです。私的には、これに以下の一文を付け加えたいですね。
 「愛」は求め合うもの。

 ズゴックの登場やシンの中のステラの特級呪霊化などの小ネタに笑い、不沈艦アークエンジェルの最期に悲しくなり、「METEOR」が流れた時は魂が震えた。実に心が忙しくて、SEEDシリーズの完結編に相応しい映画でした。
 まあ感動したのは、20年も待たされた分の様々な感情があるからでしょうね。SEEDシリーズを見てない人や、最近見始めた人は賛否両論ある、いや、否の方が多いかも。本放送時は叩かれまくった記憶が蘇る……。
 だけど、それもまたSEEDシリーズが通ってきた道であり、懐かしく感じます。少なくとも私にとっては大傑作でした。20年前に止まった時間を再び動かしてくれて、本当に本当にありがとうございます。これでもういつ死んでも…いや、ONE PIECEの最終話を見るまでは死ねんな。長生きしよう。


 映画を見た後、パンフレットと缶バッジセットを買いました。グリッドマンユニバースのパンフ共々、一生の宝にします。


 入場特典に小説が貰えるのですが、私が貰ったアスランとカガリの本と、アグネスとシン達のアカデミー時代の本がランダムで配られます。
 もう一冊も欲しいけど、手に入るとは限らないんだよなあ。ネットオークションに出回りそう。


 新宿ピカデリーでも公開してるので立ち寄りました。こちらもなかなかのディスプレイ。2度目を見るならこっちで見ようかな?

 

 以下、2月14日に追記。

 2度目は歌舞伎町のTOHOシネマズで、人生初のMX4Dで見ました。座席が激しく揺れるわ、風が臨場感をアップさせるわ、映画と遊園地の絶叫マシンを組み合わせたようなエンターテイメントは楽しかったです。

 そして公開から18日目にして観客動員163万人、興行収入26.8億円を突破。1982年公開の「機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙」の23億円を抜いて、ガンダムシリーズ過去最高額を記録しました。いやホントに凄い。文字通り歴史を塗り替えました。

 愛を主体にしたストーリーは、私は賛否両論巻き起こるのでは?と懸念していましたが概ね好意的で、X(旧Twitter)でも「面白かった!」という感想が多数。プラモデル等の関連商品の売れ行きも好調で、同人界隈ではSEEDシリーズの創作が一気に増えました。いやあ、本当に嬉しい。最高最善の結果と言ってもいいでしょう。天国の両澤さんも喜んでいるでしょうね。

 こうなると続編を期待したいところ。やるなら、まずは劇中では1シーンでしか語られなかったフリーダム強奪事件のアニメ化ですね。首を長くして待ってます。