2 自由刑の執行・施設内処遇の過程と個別処遇
(1) 自由刑の執行は、有罪判決が確定してから検察官の指揮により開始される(刑訴法471条、472条 執行指揮は書面で行われる[執行指揮書 刑訴法473条])。有罪判決はその言い渡しを受けた日から14日(ただし、初日不算入 控訴・上告の場合)の上訴期間の経過又は上訴の放棄・取り下げ、上訴棄却の裁判の確定により確定する(刑訴法355条・55条・373条・414条・408条等)。
刑が確定した者には、勾留等により身柄が拘束されている場合と保釈等により身柄が拘束されていない場合がある。前者は、検察官の指揮により直ちに刑の執行が開始される。後者は、刑事施設に収容される※。収容された受刑者は後述するように処遇調査を経て、その罪状、年齢、性別、性質に応じて分類され、各刑事施設※※において矯正処遇が実施される。
※収容手続き
検察官は、刑の確定した者に対し、自由刑の執行のための呼び出しを行い、応じない場合は、収容状を発して収容する(刑訴法484条)。検察官は、刑の確定者が逃亡した場合または逃亡のおそれがある場合は直ちに収容状を発し、または司法警察員に発せさせることができる(刑訴法485条)。収容状の執行手続きは勾引状の執行に準ずる(刑訴法488条、489条)。検察官は収容状により刑の確定者が引致された後、執行指揮書を発して自由刑の執行を指揮する(刑訴法473条)。ただし、この場合の刑期の開始は、引致された日からではなく、収容状が執行した日から起算される。刑の執行指揮はなされていないが、収容状執行により、事実上身柄を拘束されるからである(松尾ほか条解刑事訴訟法第4版1185頁)。
※※刑事施設の種類
刑務所、少年刑務所及び拘置所を総称して「刑事施設」という(法務省矯正局・日本の刑事施設4頁)。刑務所及び少年刑務所は主として受刑者を収容し、拘置所は主として未決拘禁者(刑が確定していない被告人、被疑者)を収容する施設である。
なお、拘置所での被拘禁者の刑が確定すると受刑者になるが、処遇調査等を経て現実の矯正処遇を受ける刑務所に移送されるまでは拘置所に拘禁され、経理等の刑務作業を行う受刑者も拘置所で処遇される。また、死刑確定者は刑の執行まで拘置所で拘置される。よって、厳密には、拘置所は、原則として未決の被告人ないし被疑者の拘禁施設であるが、例外として確定受刑者の処遇施設・確定死刑囚の拘禁施設という複合的性格をもつ。
ちなみに現在の刑事司法実務においては、起訴前捜査段階の被疑者の勾留場所は警察署の留置施設を原則とし、起訴後の未決の被告人の勾留場所は原則として、拘置所としている。前者は警察の管理、後者は法務省の管理となる。たとえば、東京23区においては、被疑者段階では、各所轄の警察署の留置施設に逮捕勾留により拘禁され、起訴後は、移送され東京拘置所に被告人勾留として拘禁される。
2011年4月現在、日本の刑事施設総数は、188であり、内訳は、刑務所62、少年刑務所7、拘置所8、刑務支所8、拘置支所103である。刑事施設は、法務省の所管であり、同矯正局及び矯正管区が指導監督する。なお、近時注目されている民間委託のPFI刑務所は、厳密には完全な民営刑務所ではなく官民協働施設である。詳細は後述する。