判例評釈 「ビラ配りが風営法における「客引き」に当たらないとされた事例」その4 | 刑事弁護人の憂鬱

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判例評釈 「ビラ配りが風営法における「客引き」に当たらないとされた事例」その4


「(2) Dの公判供述

ア Dの公判供述の要旨

横断歩道の中央付近にきたとき,被告人が,こちらに向かつて1歩踏み出すようにして,右手を肩の高さよりも若干低いくらいで,右手を横に出して,「キャバクラいかがですか。」と言ってきた。私が横断歩道をまっすぐ渡っていくと,手を挙げている被告人は障害にはならないが,Cがまっすぐ歩いていくと,Cの腕もしくは体に触れるぐらいの障害になった。被告人がビラやカードを見せてきたかは覚えていない。ビラやカードは渡されていない。私とCは立ち止まり,Cと被告人は,キャバクラで受けるサービスの内容などの話をしていた。そのとき,どちらが先に声をかけたかはよく覚えていない。料金内容,幾らという話が出ていたかは覚えていない。私は被告人とは全く話していない。その後,その場を離れ,担当警察官に連絡をした。Cとは,明日は仕事が早いので帰るといったやりとりをした。その後の被告人とCのやりとりは見ていない。

イ Dの公判供述の信用性

() Dについても,Cと同様の理由から,その供述の信用性については慎重に検討する必要があり,Dの公判供述と供述調書とは異なる部分があるので検討する。

(イ) Dの平成22519日付け検察官調書には,① 216日夜,Cと一緒に,本厚木駅近くの居酒屋でビールを飲んだ,②客引きされた後,もう家に帰るつもりだったので,そのようにCに言った,③いきなり私とCが並んで歩いているすぐその前に飛び出すような感じで右側から歩いてきた,@私とCの前に手を差し出すような感じで,私とCの前で立ち止まり,私たちに向かつて,たしか,お兄さんキャバクラどうですか,と声をかけてきた,⑤その後,その男性は,若い子いますよ,だったか,いい子いますよ,みたいなことを言ってきたり,ほかにも,私やCを何とか店に呼び込もうと二言,三言,言ってきたなどと記載されている。

また,Dの平成22525日付け検察官調書には,⑥警察官から捜査協力を依頼された,⑦客引きをされた状況について,男がいきなり前に飛び出すような感じで右側から歩いてきて進路をふさがれたなどと記載されている。

Dは,当公判廷において,⑦については,実際,飛び出すという感じじゃなかったですが,こちらに寄ってくるという意味で,近いというか,同じ部分はあるので,そのままにした,客引きの際は,声を掛けられたという事実が重要だと説明を聞いたので,問題ないと思ったと述べている。

() Dの公判供述は,それ自体にあいまいな点が多く,甲第12号証及び甲第13号証によると,被告人が,いきなり,CやDの前に飛び出すような感じで右側から歩いてきて進路をふさいだ状況にはなく,供述調書の内容が,客観的な状況に符合しておらず,Dの供述調書と公判廷での供述が異なる点は看過できない。そうすると,Dの公判廷での供述の信用性には問題があると言わざるを得ず,Dの公判廷での供述から,被告人が,Cに対し「キャバクラいかがですか。」と声を掛けたと認めることは難しい。

6 被告人の公判供述

C及びDに対し,自ら近付いたり, 自分の方から声を掛けたことはない。

本件ビラを差し出した記憶はある。Cから,値段や場百斤,若い子いるかなどの質問を受けた。場所については,あちらにありますと左手で庖の方向を示して答えた。料金の質問については2名様以上料金の値段を説明した。その後,Dが明日仕事あるからおれはいいよと断って,その場から立ち去った。1名様になったので,料金と値段が変わるので, トラブルになるといけないと思って1名様の値段を伝えた。3500円のサービス料になり,大体3900円になる。Cは,いいよいいよ,行くよ行くよと答えて,インカムで1名様行きます。」と店に連絡し,あちらのほうに従業員が立っていますので,そちらの方に行ってくださいと伝え,Cは道路を渡った。」