被害者論と刑事立法政策その1
1 刑事政策学ないし犯罪学の中で、被害者に着目する「被害者学」はかつては、マイナーな分野であった。犯罪原因論や犯罪者処遇論は、どうしても犯罪者、加害者に着目した考察にならざるを得なかったからである。
2 しかしながら、1990年代以降の重大な悪質事件、すなわち、「オウム事件」、猟奇的な少年事件、無差別殺人事件、悪質な飲酒、ひき逃げ交通事故などが、マスコミを通じて広く報道され、被害者側の苦痛、悲惨さが社会に影響を与えた。さらに、同時的に各種の「被害者の会」が結成され、被害者支援の潮流が、それまで停滞していた刑事立法に影響を与え、被害者支援を考慮した刑事立法(2004年の犯罪被害者等基本法など)がなされ、その流れは2010年現在まで続いている。
3 実体刑法の改正の流れ
刑法に絞って改正の流れをみると、以下のとおりになる。
ア 刑罰 併合罪加重等厳罰化の流れ
イ 自動車事故の類型化・危険運転致死傷罪の新設
ウ 殺人罪の法定刑下限の引き上げ
エ 集団強姦罪の整備
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