青パパの無限増殖ver.187 -26ページ目

久々のベトナム行き

一昨年の七月に訪れてから、友人・知り合いが多い第二の故郷サイゴンへ足を運ぶ機会が久しくありませんでした。近日中に店の法人化を計画しており、ベトナムとの関係再強化、という名目で、不義理にしていた友人達との交流に多くの時間が割かれるでしょうが、行くつもりでいます。
オーナーと同時期にサイゴンで知り合った友人と再会しているうちにそんなことを考えたのですが、五年という月日は決して短くはないのだと改めて感じたりしました。もとよりドゥドゥサンの店長なのですからサイゴンと疎遠ではいられないのです。
著者: ティム・オブライエン, 村上 春樹, Tim O`Brien
タイトル: 本当の戦争の話をしよう

「冒険」する

うちの店は常連のお客さんがお気に入りのメニューを召し上がるのがパターンで稀に違うオーダーが入ると「冒険」しているなと感じます。逆に年輩の夫婦のお客さんが初めてのベトナム料理をうちの店で召し上がるのは「冒険」ではありません。期待以上の料理を提供できますから。ならば若夫婦のお客さんが連れて来られた乳幼児にフォーを食べさせるのは果たして「冒険」なのでしょうか?
生えたばかりの歯で咀嚼する天使の口元を眺めていると「冒険」とは保守的な考え方にとらわれたものの使う言葉でしかないとも思えます。食の「冒険」は死語なのかもしれません。
著者: ミシェル ウエルベック, Michel Houellebecq, 中村 佳子
タイトル: 闘争領域の拡大

テイクアウトは馴染むか?

時々近所のお客さんのところへ出前を届けたり、テイクアウトの注文を受けたりします。お互い知った顔同士なので時間の計算もしやすく、支払いもスムースにできます。戸塚という土地柄がそういうスタイルに馴染むのでしょう。
純粋にベトナム料理のテイクアウトないしはデリバリーという形は他のお店が現にやっていますし、ある程度発展はするでしょう。しかし、今のような形態もデジタル・マニュアル化が進めば進むほど逆に強化されていく気がします。やっぱり人の声、手の温もりが伝わって、心の安らぎが得られるものですから。
著者: 舞城 王太郎
タイトル: 熊の場所

ツタワルモノ

「この世界で人間が殺し合う。悲しいことだね」。そのニュースは友人から借りた携帯電話へ入ったサイゴンの友達からの一通のメールで知りました。二年前のこの日、アメリカがイラクを攻撃し、仕事でサイゴンにいた私は、日本から来る予定の友達が来れなくなった事実に腹立たしいやら悔しいやら複雑な気持ちを抱いたのでした。
海外に行ってまでメール、と言ってもローマ字とベトナム語の併用だったのでやたら打ち難かったです。携帯電話でサイゴンの友人と連絡を取のは好都合とはいえ、それじゃ日本と同じ。私みたいに旧友、悪友に会うなら多少の犠牲は厭わないのですから。
今ではiモードのようなものも普及しているそうですし、もとより海外で使える携帯電話も機能としては特別ではありません。マナーを守り、紛失・盗難に注意すれば文明の利器ですからね。
著者: 島田 雅彦
タイトル: 彼岸先生

妊婦はベトナム料理がお好き

2階にある店へと続く急な階段を登って、週に一人(お腹の中にもう一人)は妊婦の方が食事にこられます。お腹もかなり目立つし、安定期に入って出産も間近だったりするとやはりしばらくお店に来れなくなるから出産前の食べ納めの意味が強いようです。家に居る時間が長くなる妊婦を外食で気分転換させようと気遣う旦那さんの姿が微笑ましく、また弟あるいは妹が出来るのを知覚してかはしゃぐ幼子の仕種も家庭の幸福を象徴しています。
ベトナム料理というより、うちのお店の雰囲気がやがて訪れる喜びの日を迎える場所に選ばれているというのが適切なのかもしれません。

著者: ポール オースター, Paul Auster, 柴田 元幸
タイトル: 偶然の音楽

たまには贅沢に

コース料理はありますか?という問い合わせも多いので3000円コースの一例をお届けします。
生春巻
揚げ春巻
海老とパパイヤのサラダ
空心菜のガーリック炒め
手羽先のナンプラ焼
ベトナムのソフトシェルクラブ
海老のすり身のサトウキビ揚げ
五目イカ炒め
鶏肉のフォー
お好みデザート
あくまで一例ですのでメニューの内容については自由に変更できます。ご希望があればメニュー外の料理も提供します。
2500円でも一品少なくなるだけです。飲み物は別料金になりますのでご了承下さい。

著者: ロラン バルト, Roland Barthes, 佐藤 信夫
タイトル: 彼自身による ロラン・バルト

ゆるりと時の流れる

カウンターから見る光景に慣れたのはいつの頃からでしょうか。最初にオーナーに促されてカウンターに入った時は緊張でお客さんの顔がまともに見れなかった記憶があります。あっという間に時間だけが過ぎて緊張で凝り固まった肩や背中の痛みが残りました。
慣れたはずの今でもやはり気恥ずかしさは抜け切らないまま、お客さんと接しています。もしかして意識はカウンターの内側と向こう側を行きつ戻りつしているのかもしれません。初々しさだけを置き去りにして。
著者: 高橋 源一郎
タイトル: さようなら、ギャングたち

戸塚様変わり

店の窓から見える景色に変化が見られます。店の斜め向かいに美容院がオープンしたのです。図書館の近くにアッシュが出来てから戸塚の美容院の競争が激化したように思います。国道一号線沿いは有利な立地かわかりませんが、再開発区域に新店舗が建設されない以上、駅周辺を空白の中心としたドーナツ化現象はしばらく続くでしょう。
著者: スティーヴン ミルハウザー, Steven Millhauser, 柴田 元幸
タイトル: マーティン・ドレスラーの夢

これからの展開

いまオーナーがママになって、ドゥドゥサンは新たな段階へ上る機会を得たように思います。オーナーが始めた頃の『居酒屋』的な部分が薄れ、子供連れでも来れる『ファミリーレストラン』的な雰囲気を濃くする可能性が高まったのです。オーナーだけでなく、初めカップルできていたお客様が結婚し、子供が出来て再訪してくれるパターンが徐々に増えつつあります。それにはもちろん私たち店側に受け入れるための準備が必要です。細かな気遣いを自然に出来るようになるため、オーナーの意見はますます欠かせないものになります。そしてオーナーの作るママさんのネットワークも新たな鍵となるでしょう。ベトナム料理の特徴を生かしつつ、というのは難しいテーマですが、経験を蓄積しつつクリアしていければ、と。

著者: カズオ イシグロ, Kazuo Ishiguro, 入江 真佐子
タイトル: わたしたちが孤児だったころ

イッツ・ア・スモール・ワールド

またベトナムからの情報です。外国人バックパッカーが集うブイ・ヴィエンで日本料理店を開いていた友達が海辺の街、ニャチャンへ移動して、再起を図っているとのこと。オーナーの旦那さんからの情報ですが、彼自身、老後は故郷のニャチャンでサーフィンショップ兼インターネットカフェをやりたいそうなので共感する部分が強いのでしょう。その友達がベトナムへ旅立って二年半あまり。年に二回ほど会っていますが、彼女の中のベトナム観がどのように変化しているのかゆっくり話しをしたいものです。
著者: スティーヴ エリクソン, 越川 芳明, Steve Erickson
タイトル: 真夜中に海がやってきた