週に一回、ばあさんの見舞いに行きます。

ばあさんは卒中で、口が利けない。会うと、いつもこっちから話しかけるばかりで、向こうからは相づちのような笑みだけ返してくる。


きのうも行ってきました。

隣のベッドには、新しく入ってきた患者がいて、家族もいた。

おばあさんにおしゃべりしたらわかってくれるのか、とその家族に聞かれた。

はいと答えて、どうしてそう聞くだろうと思って、隣のベッドに目をやると、

そっちも寝たきり、しかも病室がいくら騒々しくても目を覚まさない。点滴やらいろんな機械に囲まれている。

危篤状態だそうです。

その家族はうちで死なれたらあとは面倒だから、わざわざ病院にお願いした。おまけに、お葬式の用意までできているとか。

現実主義だなぁ。

田舎じゃ、死ぬならうちでという習慣がいまだに残っているのに。


去年の秋、フジテレビ創局50周年記念にまつわる番組で、「風のガーデン」というドラマに心打たれたことがある。
医者の使命、いのち、さらには死を自分の家で迎えようといったことをモチーフにしている。
かなり前進的な考え方なんだなと思いつつ、見終わりました。
人間性あふれる物語です。


そうやって考えると、きのうのあの家族の平然とした態度を、すごいなと思いながらも、ぞっとするように思える。
家へと迎えることができなくても、去ってゆく人は愛情を込めて送り出さなくちゃ、
でしょう。

たとえ実行の場合、いくら困難にぶつかろうと。