近所の公民館で行われたその大会に息子も参加した。

大会といっても総勢40名ほどの、公民館に毎日のように来ているおじさんおじいさんの、
年に一度の飲み会を兼ねたお祭りというカンジのものだが。
もちろん、子どもは息子ひとりである。

元はといえば、息子に将棋の手ほどきをしたのはこの人たちである。

おじさまたちが将棋を指す時間帯は学校の授業とかぶるので
ここしばらくは一緒に将棋を指すことはない。
ほとんどの方とは久しぶりの再会である。

しかし、結構覚えていてくれて
「大きくなったなぁ!」
「まだ続けてるんだねぇ」
と、次々に声をかけてくださる。
中には「強くなったなぁ」と涙ぐんでいるおじいちゃんまでいた。

息子はホントにシアワセな奴だ。

まあ、皆様言葉や態度はとっても優しいが、
勝負となると容赦ないんですがね。

一勝四敗でこてんぱんにやられていた。

そういえば、覚えたての頃、もっとこてんぱんに・・・というか、全然勝負にすらならなくて
家に泣いて帰って来ることもしばしば。

その度におばあちゃんが
「なんてひどい爺さんたちだ!!子ども相手に大人気ない!!もう行かせるな!!」
なんて怒っていたっけ。
でも、行かせるも何も、息子は勝手に行っていた。
でもってなついていた。

たぶん、逆にあのとき、子どもだからと特別扱いされたり、手加減されたりしていたら
息子は将棋をそのまま続けてはいなかったような気がする。

もしかして、あのおじさまたちがどうとかと言うより、
『将棋』そのものが、そういうものなのかもしれない。


今回だって、エラくがっくりしていたかと思ったのもつかの間、
出されたロースカツ弁当やお菓子をばくばくと食べながら
早くも来年の出場を決め、闘志を燃やしていた。

まったくもってめげない奴なのである。