ひそかに私が『三ツ星』をつけているお店がある。

もつ煮自体からして大好きである。
酒を飲まない子どものうちから大好きで、実家でも定番の夕飯のおかずで
あれほど料理をしなかった独身時代ですら、もつ煮は作った。
もちろん、外食でメニューにあれば必ず注文する。
そんな私がうなったもつ煮である。

そこはおそろしく細長いカウンターだけの店で、雰囲気は一杯飲み屋とでもいうのだろうか、
カウンターだけなので、ひとりでも入りやすい・・・と、私は思っているが。
それこそ『焼き鳥を買う待ち時間』によく行ったものだ。
まあ、いろいろ諸般の事情により、ここ何年も立ち寄ることはなかったが。

昨夜は夫とふたり、そこに飲みに行った。

久しぶりの夫婦ふたりの外出には多少ムードに欠けるきらいも否定しないが
おいしさの健在におかわりまでしてしまった。

お供は『焼酎お茶割り(HOT)』である。
これがまたおいしいのだ。

満足、満足。
これこそ子どもがいないときの醍醐味である。

実は夫は酒は飲まない、というより身体が受け付けない。
しかし、独身時代、デートはもっぱら居酒屋で
(私の事を愛しているから無理して合わせてくれているのね・・・)などとも思っていたが
どうやら飲み屋の雰囲気や料理が元々好きなようだ。
職場の飲み会でも、ウーロン茶で、しかも割り勘で、終電がなくなるまでつきあう人である。

そして結婚を決めたとき、
私の友達は彼に「飲むけどいいのか?」と聞き、
彼の友だちは私に「飲まないけどいいのか?」
そう聞かれた経験を持つ、そんなふたりである。

昨晩も、夫はウーロン茶。
ふたり同時に頼むと、店の人は当たり前のように私の前にウーロン茶を置く。
そういえば昔はそこでひとことふたことあったような気もするが
今ではそれがもう当たり前のことになってしまったようで
話題がとぎれるまでもなく、フツーにお互いの飲物を手にしてしまっている。

こうして少しずつ『あたりまえ』が増えていくのかもしれない。

そういえば、以前、居酒屋で働いていた友人が教えてくれた。
客のカップルが夫婦か恋人かというのは支払いのときにわかるそうだ。
恋人だと、それがたとえ割り勘だとしても支払うのは男性で
当たり前のように女性が会計をするのは、まず夫婦だと。

ご他聞にもれず、うちもそうである。