・・を、ほっとくということが出来ない。

体質なのか、爪の手入れが下手っぴなのか、
私の指先にはよくささくれができる。

よせばいいものを、どうしてもどうしても気になってしまい、
しまいには毛抜きまで持ち出して引っ張って取る。

痛いんだ、これが。
この痛みと、血がにじむのを見て、後悔するのがわかっているのにやってしまう。

そんなこりない私に、ばちが当ったのか、
それとも、年齢とともに免疫力が落ちたのか

「今回の痛みはしつこいぞ」
そう思った時はもう既に遅し。

私の右手中指は大きく腫れ上がってしまっていた。
もう、ズキズキして、夜も眠れない。

「あ~、ばい菌入っちゃってますね~、膿出しますね、『うみ』」

この治療がまたとんでもなく痛い。

「しばらく毎日通ってください♪」

己の非を棚に上げ、先生を呪った。

そこの病院は、時間帯のせいかもしれないが、乳幼児が多く、
とにかく泣き叫ぶ。

そんな中、名を呼ばれ、治療をするのだが
左手はぐっと手のひらに爪を立て、息を止めて、
実はそれでも目はうるうるしてしまうのだ。

「痛いですか?」
(この期に及んでこの状況で何を抜かす)そう思いながら
「痛いですぅ、涙出ちゃいそうですぅ」

「泣いてもいいですよ」

「・・『大人』ですから・・・」
情けない事情で通院しているにもかかわらず強がる私。

「大人だって、泣いていいんですよ、痛いんだから、そんなトコでムリしない」

先生が天使に見えたようで、なんかふうっとラクになった。

そうか、泣いたっていいのよね。

さすがにお子たちのように叫び泣きはしなかったけれど
ひとすじ涙を流した私だった。

先生は、そんな私にティッシュを渡しながら明るく言った。

「まだしばらくかかりそうですねぇ♪」

ああ、やっぱり悪魔だ・・・って、人のせいにしてはいけないですね。