みなさまこんにちは。ドゥカティ東京大田の村田です。
猛暑に引き続き台風が連続してきたり、ゲリラ豪雨などオートバイのりには踏んだり蹴ったりの夏ですね。
ところで、当社サービスファクトリーでは雨の日が続くと、必ずご相談をいただく故障事例があります。
乾式クラッチの貼り付きです。
クラッチを切っているはずなのに、クラッチが切れていない、という症状です。何枚も組みになっているクラッチディスクが錆びによって張り付いてしまっていて、こうなるとほぼクラッチは切れません。
近年では、乾式クラッチの車両もあまり見かけなくなりましたが、5年ほど前は梅雨明けシーズンでは何人ものお客様がクラッチ貼り付きで緊急入庫していたものです。
乾式クラッチとは何ぞや?という、方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明を致しますと・・・
エンジンから生まれた動力を断続するクラッチが、オイルに浸かっている物、これが湿式クラッチと呼びまして、ほぼすべての市販車は湿式クラッチです。
対して、クラッチはオイルに浸かっておらず、完全にドライな状態で作動している物、これが乾式クラッチです。
少し前のドゥカティのバイクはほぼすべて乾式クラッチで、あのクラッチを切った時のシャラシャラという金属音が鳴り響く様は、ドゥカティの代名詞とまで言われていました。
乾式多板クラッチはオイルに浸かっていない為、回転抵抗が少なく、動力伝達力も高く、冷却性も高く、レーサーの強力なエンジンパワーをロスなく受け止めつつ、軽量・コンパクトい作ることが出来るために極限の性能を求めるレーサーには必須の装備でした。反面、メンテナンスには気を使い、頻繁に分解清掃を行わなけれはジャダ―や、切れ不良が起き、耐久性も短いというデメリットがありました。当時、ドゥカティはレーサーに保安部品を付けただけ、と言われるほど過激な思想で車両を作っていたので、当たり前のように公道用車両も乾式クラッチでした。
近年では、湿式クラッチの性能の向上、及び耐久性の問題や、メンテナンス性、スリッパー&アシストクラッチの標準装備化の為に、2013年のハイパーモタード1100EVOを最後に、乾式クラッチは姿を消してしまいました。
私は、ドゥカティの乾式サウンドに惚れたクチですので、乾クラの思い出に浸っていると、それだけで数ページ思いをはせてしまいますので、これくらいにしておきましょう。
特に画像のようにオープンタイプのクラッチカバーをつけてクラッチユニットを露出している人は注意が必要なのです。
オープンタイプなので、冷却性が良く、ダストの堆積などが少なく、何よりかっこいい!のですが、どうしても水が浸入してしまいます。これは、バイクカバーをしていても、豪雨などでカバーの縫い目から浸水し、ボディを伝って水がクラッチ内部に侵入してしまいます。クラッチディスクは鉄を含んでいますので、錆びが発生し固着してしまうのです。
こうなると、分解して錆を落としてあげなければクラッチを切ることが出来ません。
錆がひどいと、ドリブンプレートのフェースが荒れてしまって、場合によってはディスク交換になってしまう事もあります。
そうなると、手痛い出費になってしまいますので、ご注意ください。
屋内保管が一番なのですが、他にも簡単な解決方法もあります。定期的に乗る事です。
万が一濡れてしまった場合でも固着するまでには1週間ほどかかりますので、可能であれば晴れた日に30分以上走っていただければ、摩擦材の錆を落とし、完全に乾かす事が出来ます。
大雨が降った週の週末には、意識をして愛車に乗ってあげることが大切です。
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