実家に帰り、美容院にも行ってきた。

まずは実家。
やはり、たかだか2か月ぶりだとそう大して何も変わらない。
訊ねられるのは近況。職場の日々とか、今後の見通しとかが興味を惹くようだ。

あとは、テレビから流れる時々ニュースを話題としてあれこれ話す。
これまででいちばん、親と対等に世の中について話ができた日だったように思えて、話しながらもそのことに終始驚いていた自分だったように思う。

ただでさえ世間が在宅ムードで必然的にニュースに触れることが多い日々だ。
それを差し引いても、市井に生きるならば「なんか変じゃない?」と思うようなことが起こりすぎている日々だとも思う。
詳細に語れるかどうかは大きな問題ではなく、違和感を覚えるとか、「なんか気持ち悪い」と喉の通りが悪い話が多い。

それらが理由で、テレビを持たない自分が、自ら新聞を買ってはせっせと読むようになった。
おかげで、ホットな話題については両親と話せるくらいにはなったのかなぁと実感したのだった。

新聞とテレビから主に情報を仕入れる両親と、新聞とネットニュースと、あとは時事を扱うYouTuber(プチ鹿島さんとダースレイダーさんが白眉)から情報を仕入れる僕。
すると若干、両親と自分との間に、持つ知識や見方に違いがあって、それによって話していておもしろさが増していた。

かつて実家暮らしだったときは、基本的には親と同じところから情報を得ていたものだから、ニュースについて話していてもそれほど幅は広がっていなかったように思う。以前との大きな違いが見えておもしろかった。

母は母なりにテレワークを頑張っているようで、帰省したとき僕が寝る部屋(かつての僕の部屋)を、急ごしらえのテレワーク部屋にしていて立派だった。
いつも家族優先で、「欲しい欲しい」と言いながら決して自分の部屋、スペースさえも持とうとしなかった母が、そんなふうに「自分の城」を構えていたことが、なんだか妙に嬉しく感じたのだった。

実家に一泊し、一人暮らしに帰る前に、恒例の美容院。
「来たくてもなかなか来れなくて……」と言うと、仕方ないですよねーと笑っていた。
やはりお客さんはぐっと減っていたらしい。でも、経営が立ち行かなくなるとか、そういう心配は、一応全然なかったそう。
先週くらいから客足が戻ってきて、この週末なんてめちゃめちゃ忙しいみたい。

そんな感じに、多分どこもみんな同じ風な、然るべき話題の会話に終始する。
楽器で言うチューニングみたいなものかもしれない。今日を経て、次回からいつもの調子に戻る、みたいな。

2か月分、たっぷり伸びていてくれたから、「ちょっといつもと感じ変えてみますね」と狙いどおり、新しい髪型を提案してもらえた。
長いところを活かして、さっぱりと仕上げてもらう。
要求せずとも、希望を叶えてくれるから、やはり行きつけのここがいいなぁと再認識した。
落ちた髪の毛の量を見て、あぁこれが「時間」だ、と思う。

整髪料でセットしてもらう。
プロはすごいね。手から何か、セットを持続させる成分が滲み出ているのだろうか。同じものを使って同じ手順を心がけても絶対再現できないもの。

途中下車して久々に街を流そうかと思ったが、ちょっと心と体に負荷がかかる気がしてやめた。まっすぐ帰る。

慣らし運転が、どうやら一つひとつに必要だ。
何も考えずにいると、うっかり頑張りすぎちゃう人が多発すると見る。