太陽の季節 石原慎太郎 | ほんのうみ

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竜哉が強く英子に魅かれたのは、彼が拳闘に魅かれる気持と同じようなものだった…。伝説の名作「乾いた花」の全面改訂版や、戦後の青春を代表する作品「太陽の季節」他3編を収録した短編集。




面白かったです


このほんって、すごい叩かれているみたいでびっくりしました。

犯罪に手を染めてるからよいほんじゃないとか、現在の政治家としての作者をみて無理に人間性を結びつけて評論するのはナンセンスだなぁとおもいました

あと本人がおぼっちゃんだから、こういう裏社会的なワルをかくと、なんでお前がって気分にさせられちゃうのかもしれませんね。

学校もロクにいかず、貧しく逞しく生きたひとの作品なら、絶対違う評価だったきもする!!


私自身も読んだきっかけが、芥川賞で、乳と卵が面白いとおもったのに、このひとだけ批判してて

おお、ならばあなたはどんなけ立派なものをかいてるんだ、と思い手にとったのです

意外にもパワーがあって面白くて、

それは今の芥川賞の受賞作品を批判する(それが正しいかどうかは別として)だけの

昨今のけだるい、なまぬるい作品にはない、圧倒的な力があって、

こんなひとなら、そういう批判するだろうなぁ!って納得できるお話でした

強引なほどの力ある中、時折みせる情緒ある描写

竜哉と英子のかきかたも素晴らしいとおもいました


まあ、社会的モラルを文学にあてはめたくはないし、それは最初にもかいたけれど、

次の処刑の部屋、完全なる遊戯はさすがに女性としてすごく不快感がありましたが・・・。

本能に従う、若者故の残虐さは、ゆきずり女を裏切るとか思わせぶりのやり逃げ、暴力とか酒薬煙草ならわかるけど否にレイプの事ばっかりで・・・。しかもあばずれなわけでもなく、精神病患者をまわして、最後に殺すだけの話って、なにを表現したくてわざわざかいたのか気になる。モラルを守った話をかく必要はないけれど、あえて無理矢理に破ってたのしむのも違うとおもいます。最後の話もやくざの賭博だなんてベタベタのアンダーグラウンド世界。悪いことをかけばかくほど、インパクトがでる、っていうかんじにも思えて、さすがについていけませんでした

ぶっこみすぎな村上龍のトパーズよりかはマシですが、でも村上龍はきもちわるくなるけど、ぞっとするほどありそう、とかおもえる書き方するもの。


あと、場面描写が少しいまいちと思いました

独特の会話言葉とかじゃなくて、場面描写がわかりにくい


でもでも太陽の季節はほんとうに面白かったです。

ほんとうに力のある作品です

ぜひ若い男性によんでほしいです


ほんなんて死んでも読まないような図体だけデカい、町に蔓延るワルをハードボイルド系じゃなくて

あくまで純文学っぽく描いたのも新鮮ですよね!(あ、けっこうあるならばすみません!)


私小説っぽい作品は、どうしてもいかにもほんばかり読んでたよわよわしい、殻にこもるひとがかく

じめっとしたものが多いから、テーマだったり男女表現に偏りがある


つよい男、勝手な男、だけどどこか魅力的で、色っぽくて、女は雑巾のようになっても、ひれ伏す

古き日本の香りが逆に新鮮で妙な快感をわたしに与えます


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