高齢の人のお金の話やお金に対する価値観について、現場で感じることがあります。一番顕著に現れるのは相続の話の際で、例えば70歳以上で一定の貯金がある高齢のおばあちゃんがいると、相続に関する話題が出ることがあります。

相続の話になったとき、その70歳のおばあちゃんは、自分の残りの人生におけるお金の使い方や家族、特に子供たちに対するお金の使い方について考えることがあります。しかし、高齢者はあまりお金の話を口にしないことが多いです。私は、これらのテーマについて話してみようと思います。

 

まず、一つ目は、「若い時もっとお金を使えばよかった」という考えです。70歳のおばあちゃんが、若い時にもっとお金を使って楽しんでいれば、もっと良かったと思うことはほとんどありません。高齢の人々は、若い時にお金を使う楽しみがあることを理解しています。若い時にはお金をどんどん使って楽しむべきだと思う人もいますが、実際には、資産を築いてきたからこそ、今の余裕があると感じることが多いです。

 

次に、高齢者があまり口にしないお金の話の一つとして、「お金を使い切って知りたい」という考えがあります。たとえば、70歳のお金持ちのおじいちゃんが、残りの20年間で毎年1500万円を使って貯金をすべて使い切り、最後に貯金がゼロになることを望む人はほとんどいません。若い人は、将来お金を使い切ることを楽しみと考えることがありますが、高齢の人々の中では、このような考えを口にする人は稀です。

 

これらの考えが現場で何度も経験したエピソードであり、相続の話に関連して起こることが多いです。保険の営業担当者として、相続の話が出ると、高齢のお客様とその家族との面談が行われることがあります。その際、高齢のおばあちゃんがお金をどう使うかについての提案がなされ、家族や保険担当者からのアドバイスもあります。

 

しかし、この提案に対して高齢のおばあちゃんが否定的な反応を示すことがあります。彼らは、自分の娘からの提案を受け入れることが難しい場合があります。彼らにとって、若い時にお金を使って楽しむことは、現在の余裕に比べてさほど大きな楽しみではないかもしれません。結局、高齢の人々は、若い時にもっとお金を使えばよかったという後悔よりも、資産を築いてきたことによる安心感が大きいのかもしれません。

 

このような経験から、若い人が将来のお金の使い方を考える際に、感情の部分でお金をため込むことはあまり意味がないという結論に達しました。高齢の人々は、将来のお金を使う楽しみはあまり大きくないと感じており、お金を軽視することはありません。したがって、若い人は貯金や資産を築くことが重要であり、そのためにお金を使い過ぎないようにするべきです。

 

若い人が将来の楽しみや目標をお金以外で見つけることが大切です。将来、お金を使う楽しみは思ったほど大きくない可能性があるため、感情的な部分でお金をため込むことはあまり意味がないかもしれません。結局、これらの矛盾した感情を受け入れ、将来の楽しみや目的を多様化させることが重要です。