北京に朝暘区という区域があるんですが、この朝暘区の住建委員会が大量の不動産を売り出したってことで注目されてるんです。よただし日本人感覚ではそれがどういう意味を持つのか全然わからないですよねということでまずこの住建委員会って何なのかっていうことなんですが、これっていうのは中国の各地域で、建設部門を管理する組織なのです。不動産に関する規則を作ったりあるいは管理監督を行っている組織なので、例えばサッカーに例えれば、住建委員会っていうのは審判役なわけですよ。ルールが守られてるかどうか監視する役目を持ってるんだけども、その住建委員会が自分たちで不動産を売り出したっていうことで、サッカーの審判が自分でボール蹴り出したぞと何が始まるのっていうことで、注目されてるわけです。

 

そしてこの動きっていうのは、今北京だけではなくて他の地域にも広がってるって事で多くの中国人が今でも大変なのにこれからもっとやばいことになるのかよってことで怯えているって話なのです。ということでまずは、朝暘区の住建委員会がどういうこと言い出したかっていう話をしていきたいんですけども、記事のタイトルにもあるように、154の物件を売りに出したとそしてその物件は、新築物件っていう体で売り出してるんですが実は完成したのは2011年と2012年の不動産なんですけども、これが新築として売られているっていうのはどうしてかって言いますと、そのずっと住建委員会がその不動産を手元に置いておいてどこにも売ってなかったからなのです。つまり、初めて売り出すっていうことなん、なのでもう10年以上経ってるものを新築のマンションとして売り出してるって事なのです。

 

ちなみに、朝暘区っていうのは北京の中では一等地です。一部の記事の説明によりますとここっていうのは、公務員宿舎として建てられた建物のあまりなんだそうです。ということで公務員用に非常に便利な立地に不動産を建設したんだけども、その時に、全部を公務員宿舎として利用するのではなくてかなりの部分は使われずに寝かされていたってことなのです。そしてその売り出し価格が、市場価格よりも安い価格に設定されているとこの影響っていうのはものすごく大きいですしその意図っていうのがもっとやばい話なんでそれは後でご紹介しますけれども。

 

本来不動産取引を管理監督する立場の組織が、自分たちで不動産を抱え込んでいて10年以上寝かしてるっていうのはこれはどういうことかって言えば、中国では不動産価格っていつまでも上昇していくっていう神話があったわけです。特に北京とか上海では立地の良い便利な土地の不動産ってものすごく値上がりしていて、日本円でオプションなんてのは当たり前っていう状況だったんですが、おそらく不動産を囲っておけばその間値上がりするだろうっていうことで抱えていたんだと思われます。ところがなぜか今になって大量に不動産を放出し始めた。そしてその価格っていうのが市場価格よりも安いと住居委員会というの、中国の不動産を仕切っている組織なんで不動産に関しては一番情報持ってるところです。そういう組織がディスカウントした値段で不動産を手放し始めたということは、まず周辺の不動産価格大きなインパクトを与えるのは間違いありません。

 

こんなに条件の良い土地の不動産をこの価格で売るのかとそうなるともっと高い価格をつけている周辺の不動産は、価格を維持できなくなります。とは言っても自由に値下げして売れるかっていうと様々な圧力があると言われておりますし、そもそもその不動産の売買を管理監督しているのが住建委員なので自分がプレイヤーとなって不動産を売るってなれば自分たちの不動産が優先的に売れるようにその他のプレイヤーに対しては邪魔をしたり圧力をかけたりって十分考えられることなん、つまり重点委員会は、今までずっと寝かしておいて値段が上がってきた不動産を、ここへ来て優先的に裁いちゃおって動いてるわけです。そしてそういう動きは、他の不動産業者に対してはマイナスの影響しかないわけです。あの地域のあの物件が安く売られてるんだったらこの地域の不動産も下げなきゃダメでしょうと高い値段じゃ買えませんよとそういう話になっちゃいますので不動産の価格の下落圧力が強まるって事になりますね。

 

しかし、それ以上にヤバい話っていうのがここからなんですけども、先ほども申し上げた通り、住建委員会っていうのは、中国の不動産部門を仕切る組織です。不動産に関してはありとあらゆる情報を持ってますし、権限も持ってるとそういう連中が、手元の不動産を叩き売り始めたっていうことはどういうことかっていうと、中国の不動産事情について知りつくした連中が自分たちが抱えていた不動産をもうこれ以上は値上がりしないなんならこれから値段が下がっていくと判断してとりあえずこの値段だったらまだ十分利益があるんで今のうちに売り抜けようとしている可能性が高いわけなのです。

 

今中国共産党は、全体として不動産取引を促進するように様々な手を打ってきております。例えば不動産取引規制というのを非常に緩和してきてる。それっていうのは中国の不動産業界の人たちを助けるっていう大義名分があるわけなんですけども、実際に起こってことは何かって言えばその機会を利用して政府の側が手持ちの不動産を売り逃げようとしてるって事なのです。もし将来、不動産業界が安定してまた不動産価格が上昇してくっていう将来像があるんだったら10年間ずっと抱えてきた不動産を今のタイミングで手放すわけないんですよ。今後中国の不動産業界は今まで以上にヤバくなるってもう分かってるから投げ売りを始めてるって考えるのが合理的だと思うんですが、今中国の不動産に関しては、今よりもさらにとんでもないヤバいことが起こる」と言ってる人となんとか持ちこたえるんじゃないかって言ってる人がいるわけですよ。それっていうのは中国政府が本気になればバブル崩壊を止めることができるとかまあたいして根拠のない思い込みで言ってるんだと思いますけども、まあそういうこと。結構言ってる人もいます。

 

なので、中国人の中にもなんとかなるって思ってる人もいると思うんですけども、実際ありとあらゆる情報を持っている住建委員会が手持ちの不動産投げ売りしてるって事は、十分な情報を持ってる人たちは中国の不動産業界に対して悲観的な見方をしてるんだと思います。そしてこれが北京だっていうのもすごく大きな話なのですね。中国は広いですから地域によってもう全然ダメなところがあるって言うのはこれはしょうがないとですけれども、北京、上海、広州、深セン、こういう経済の中心地と言われていたようなところはですね、例外的に助かるんじゃないかとこういうところの不動産は中国全体として沈んでいってもなんとかなるんじゃないかって思ってる人、結構多いんですけども、今回の受験委員会の動きを見ますと北京とて全然実感はできないっていう話になってくると思います。そしてもちろんなんですけども、この動きって北京だけじゃないんですよ。最近注目されてる動きとしては例えば広州でも広州国有資産管理集団っていうところが管理している400件もの不動産を売り出したっていうことで注目されております。売り出しの総額は5億円ということなので日本円にすると100億円くらいになりますね。これだけの不動産を今まで抱えていたんですけども、これを今のタイミングで売り出そうとしている。つまり中国政府全体としては不動産の取引促進策っての売ってるんですけども、その機会に乗じて政府系の組織が抱えている不動産をガンガン売り出してる。

 

山東省の災難では、売り出し物件はもう一桁多い1341件総額で28億円売り出してるっていう事なんでおそらく今このタイミングが最後の叩きのチャンスだと思っている政府系の組織が結構たくさんあるって事なのです。彼らは一般の中国人よりも中国経済についてたくさん情報を入手できる立場の人ですし、政府側の組織なので民間の企業よりも有利な立場で売買を行うことができる。そういう連中がこのタイミングで動き出したってことは、中国の不動産業界を新たな激震が襲う前触れと見て間違いないんじゃないかなと思います。最近恒大グループのトップも身柄拘束されましたんで例えば、恒大グループは大きすぎて潰せないと正式な破綻処理とかすると、あまりにも影響が大きいのでそれはできないとですから会社整理ではなくてゾンビ化した会社を、そのまま処理せずにずーっと放置するっていうやり方でしのごうとしてるんじゃないかっていう風な見方ありますけれども、それを続けていると例えば外国の債権者が、いち早く優良な資産を差し押さえて現金化するっていうような動きが加速するかもしれない。それをやられるぐらいだったらもう破綻処理だっていう方に動くっていう可能性もゼロではないわけです。

 

とにかく、政府系の集団が不動産の叩き売りを各地で始めてるんで今まで以上に何かやばいことが起こる可能性は高いと思って注目しております。ということで今回の話はここまで。