新しいNISA制度が2024年1月から始まります。この制度については、多くの解説がアップされており、特に個人投資家にとって注目されています。また、金融機関の営業担当者やファイナンシャルプランナー(FP)の方々も、これをビジネスの機会と捉えています。

 

しかし、ここでは新しいNISAの制度そのものや、どのように投資すべきかといった基本的な話は行いません。代わりに、この新しいNISAが日本の経済全体にどのような影響を与えるかという、重要なトピックに焦点を当てます。日本の個人の金融資産については、私は以前から動画内で話してきましたが、一般的にはあまり取り上げられていない重要な問題です。したがって、今回は新しいNISAが日本の個人金融資産に関して、日本人が知っておくべき内容についてお話ししようと思います。

 

まず最初に明記しておきますが、2024年1月から始まる新しいNISAが、日本経済に大きな変化をもたらすと予想しているわけではありません。基本的には大きな変更は期待されていませんが、将来的に何が起こるかは断定できません。この新しいNISA制度は、日本人の個人金融資産が現在2000兆円以上あるにもかかわらず、ほとんどが現金預金に保管されている現状を変えるための政府の取り組みです。この資産をリスク資産への投資を奨励し、経済の活性化と個人の資産形成の両方を達成しようとしています。この制度では、一定の金額までの投資が非課税となります。初めて導入されたのは2014年で、2024年からは非課税の対象金額が増額されます。2022年時点では、NISA口座数は1700万口座、投資総額は約28兆円程度ですが、政府の目標はそれを2倍の3400万口座、金額で言うと56兆円まで増やすことです。

 

2014年から2022年までの8年間で、口座数が1700万口座、投資総額が約28兆円に達しました。この数字を倍にするには長い時間がかかることが予想されます。また、56兆円に達しても、これは日本の個人金融資産の全体(2000兆円以上)のわずか3%に過ぎず、他にもNISA以外でリスク資産を保有している人々がいます。そのため、依然として多くの個人が資産を現金預金に保管しているという現実があります。私は日本の国民が現金預金を持っていることには問題はないと考えています。なぜなら、アメリカと日本ではリスクを取る度合いや金融リテラシーが異なるためです。アメリカではリスク許容度が高く、多くの人々が株式などのリスク資産に投資します。しかし、日本では個人の金融資産の多くは安全な現金預金に保管され、これによって社会の安定が維持されています。そのため、日本人がアメリカ人のようにリスクを取る必要はありません。アメリカとは異なる文化や経済状況に合わせて、個人の金融戦略を検討すべきです。

 

個人金融資産について述べましたが、日本は2000兆円以上もの資産を有しており、これが現金預金の形で保管されています。政府や金融機関は、この資産を有効活用し、経済活動に貢献させる方法を模索しています。ただし、現金預金を保有しているだけでは経済に直接的な影響を与えないため、政府はNISA制度を通じて、個人投資家を増やし、資産をリスク資産に転換させようとしています。