マスクの話 | gab-log

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経済学に無知なることは罪ではない.しかし無知なるままに経済問題を声高に論じることはまったく無責任であるといえる.(ロスバード)

TwitterID 男前先生 @_dt4u / 所属機関組織に無関係の個人としての不定期落書き / すべては良識に基づきます

 正月くらいはあれこれ食べられないだろうかと,年末最後の診察で主治医に伺いだてたところ,

「あれ~?もうとっくに節度をわきまえればなにを食べてもいいって言わなかったっけ?私?」

と回答された。衝動的な殺意とはこういう時に湧くものなのだろうと推考した。てめぇ,などと暴言を吐くところだった。大人なのでやらない。焼肉とか焼鳥とかラーメンとか食べたい,という想像が勝る。

 つまり私は,健康を害さない程度であればなにを食ってもよかったらしい。とっくに。ただ "慢性疾患" という分類わけには該当するため外食は控えよ,ということだ。もうその時点で焼肉や焼鳥,ラーメンという夢のカロリー摂取は潰えた。マンションで炭火なんて焚けない。残念だ。

 

 ところで再び新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が猛威を奮っている。政府や分科会でもその対応に右往左往している。そしてまた蔓延防止策が発令されたが,皆さんはこれをどう受け止めているだろうか。

 

 統計の見地からすると,COVID-19の感染者数は数ヶ月おきに大きな波状に発生している。11月あたりでは首都東京でさえも日々の感染者数が一桁台という日々さえあった。この因果関係には労働人口における「2度のワクチン接種」が大きいと想像できる。

 他方で海外では非常に重症化率の高いデルタ株,デルタクロン株が発見されていたが,これらはほとんど日本に上陸することがなく事なきを得ている。もしもデルタ株,とくにデルタクロン株が爆発流行などしていたらわが国は医療崩壊と死体の山を目の当たりにしたことだろう。

 ただ,人々の動態統計はさほど差がなかったことからデルタ株,デルタクロン株は「感染力が弱い」という見方が一般的だ。私もそう考えている。

 

 しかし年末には主に欧州で「オミクロン株」という新種が猛威を奮い始めた。UKやフランスのニュースなどを見ていれば急速かつ大量に感染者を生み出したことは事実だ。ただこの新種株については当初期のCOVID-19ほどの重消化率は見られず,死者数も格段に減少した。一つの見解としてオミクロン株は感染力は絶大でありながら弱毒である,と言えるだろう。

 

 さて,わが国政府はまんえん防止策を発令した。

 

 過去にもどこかで扱ったが(ゼミかもしれない)都市圏での週間感染者数をみて,ある一定の傾向が見受けられる。土日に感染者数が1割程度,場合によっては2割近く減少する傾向があるようだ。

 有識者会議とやらの誰も言わないので誤解を恐れずに書くが,「通勤電車」じゃないの?

 

 どうしても飲食店をクラスター源として,小規模飲食店だけが補助金でホクホクするアホな行為をもって「対策」としたいようだが,これがまるで対策になっていないばかりか,今や全産業に打撃を与えている感染拡大においてなぜ飲食店だけ?と感じずにいられない。

 

 そもそも飛沫感染型のウイルスは不織布マスクだけで完全に防ぐことはできない。よく菌とウイルスを混同した論を見受けるが,COVID-19はウイルスである。マスクとパーテーションで防ぐことができるものではない。

 マスクは感染者が完全密閉状態で装着してさらなる感染防止に効果があるのであって,たとえばN95規格のマスクで一切の隙間なく装着していればほぼ完全な防疫となるだろう。ただN95規格のマスクは密閉状態で装着するとほぼ数十秒で息苦しさを自覚するレベルのものなので,感染者・非感染者問わずルーズに装着していることがほとんどだろう。(実際に国会中継などでも議員の多くがN95規格外のマスクに関わらずルーズに装着している姿が毎日映っている)

 

 また飛沫感染型ウイルスは眼の粘膜からも感染する。(以前これを書いたら「目からは感染しない」とコメントしてきたおバカさんがいた)

 

 つまり感染予防策としてのマスクは不完全と言っていい。マスクが効果を発揮するのは1)感染者が 2)完全密閉して 3)より高規格のマスクを装着している場合だ。これで限りなく拡大は抑制できる。逆に完全なる予防策は陽圧マスクを装着し,首から上を手で触れる際の消毒徹底をするか,あるいは外出をしないことだ。

 

 ただ,今般のオミクロン株感染拡大については「ほぼ感染する弱毒のもの」であると考えるほうが現実的だ。絶大な感染力があるほか(ワクチンを2度接種後ならば)ほとんど重症化しないタイプと言っていい。一部の基礎疾患がある人,高齢者が例外である。

 

 政府はまた飲食店にだけ補助金を撒けばどうにかなる,あまつさえ「抑え込んだ」とでもいうつもりなのだろうが,効果のほどは限定的だろうと思う。そしてまた日本だけが COVID-19を根絶することなど不可能だ。

 

 多くの民間企業はそれぞれの判断で従業員の登社を抑制したり,政府のそれとは無関係に行動している。もちろんここに補助金などは流れてこない。

 

 あれだけの議員数,その歳費を血税で割きながらこの程度の対応しか思いつかない集団だ。政府がなんとかしてくれる,という隷従的な発想で人々は本当に豊かさや幸福を得られるのだろうか。少なくとも政府より民間のほうが合理的かつ賢い対応をしていると思える。