呉のホテルで朝食に戦艦大和のレシピを再現したカレーライスを食べた話を書きましたが

夕食にこのホテルのレストランで食べた「連合艦隊御膳」がこれまた素晴らしかったので紹介しておきます。

 


 

 

  旧日本海軍の艦内食を再現したメニュー

 クレイトンベイホテルの和食レストラン「呉濤」では旧日本海軍の艦艇で出されていた料理のレシピを再現したメニューがあります。

 

詳しくは下のホテルのHPを見ていただくとして

https://www.clayton-bay.jp/restaurant/pdf/goto_dinner6.pdf

 

長門や瑞鶴、陸奥など名だたる艦のメニューが提供されています。

しかもホテルの総料理長のお父様は瑞鶴の調理員だったのだそうです‼️

さすが呉ですね。

 

HPのメニューの解説を読むと

生鮮食材の少ない船の中で、無駄なく食材を有効に使いながら、航海中の唯一の楽しみと言っても良い食事の質をいかに上がるかの努力が伺われて感慨深いものがあります。

 

今回いただいたのは、いくつかの軍艦のメニューをまとめたその名も「連合艦隊御膳」

内容は下記の通り

 

小 鉢:戦艦扶桑 魚肉と野菜の白ソース和え

作 り:瀬戸鯛のお刺身

肉料理:戦艦伊勢 豚肉のおろし和え ポン酢

揚 物:軽巡洋艦阿武隈 天ぷら 穴子・茄子など

蒸 物:戦艦長門 茶碗蒸し

酢 物:戦艦扶桑 蛸の酢味噌和え

食 事:潜水母艦大鯨 鰻の蒲焼きご飯

水菓子

 

旧日本海軍の軍艦で出されていたメニューを再現した料理が6点もあります。

これらは、日本海軍料理の研究家の監修で再現されたものとのこと。

各料理の詳細はこのあと紹介していきます。

 

 

 

  戦艦扶桑 魚肉と野菜の白ソース和え

簡単に表現すると、やさしい味のシチューという感じ

 


野菜のだしがよく出ていて、ほっとする味。

1日のしめくくりの食事の最初に口にするのにとても良い料理

 じわ~っと体にしみる、とても美味しい一杯でした。

 

この料理が出されていたという戦艦「扶桑」は太平洋戦争に参加した戦艦の中では最も古いもののようです。

太平洋戦争中は古さ故、二軍的な位置づけだったように見えますが、戦争末期に囮部隊の一員として出撃

1915年の竣工から29年後の1944年、フィリピンのスリガオ海峡で壮絶な最期を迎えたとのことです。

 

 

料理の味とそれを出していた艦の生涯とのギャップに少し複雑な思いになりました。

 

 

 

  瀬戸鯛のお刺身

二品目のお刺身は艦由来のものではありませんが

地元瀬戸内海が感じられるものとして、旅人にはうれしい一品です。

 

そういえば今回の広島の旅を振り返ってみると、やはり海産物に外れがなかったですね。

瀬戸内海は海産物の宝庫ということが体感できるおいしさ。

海産物が美味しい土地はうらやましいです。

 

 

 

  戦艦伊勢 豚肉のおろし和え ポン酢

戦艦伊勢の豚肉のおろし和えはさっぱりとした一品

レストランのHPには大根の辛味で食欲増進を図る、とありますがまさにその通りですね。



伊勢は戦争中、ミクロネシアのトラック島やフィリピンのレイテ島沖に進出したとのことなので

当時の乗組員のみなさんは、暑い南方の海の上でこの料理を食べたのかもしれません。

戦地に向かう中、食事はつかの間の楽しみであったと思うのですが、どのような気持ちで召し上がったんでしょうか?

今に生きる僕は、ゆっくりとホテルでこの料理を食べることができる幸せを大切にしたいと思います。

 

戦艦伊勢について少し

伊勢は当時としてもすでに旧式の戦艦であったようですが、ミッドウェー海戦以降、海軍の航空戦力回復のため後部に小さな飛行甲板を増設し「航空戦艦」に改装されます。

僕は子どものころ100円の1/1400だかのプラモデルを作ったことがあるのですが、艦体後ろ側にデッキがついた独特なフォルムがカッコよかったのを覚えています。

またプラモでも作ってみたいですね~。

 

 

 


  軽巡洋艦阿武隈 天ぷら

軽巡阿武隈のメニューは穴子がメインの天ぷら。

疲労回復効果があるということで、ごちそうだったんでしょうね。

今回いただいた穴子も柔らかくとてもおいしい穴子でした。

 


そういえば、広島ではあちこちで穴子料理を見た気がします。

瀬戸内海では穴子もよく獲れるのでしょうか?

 

阿武隈が属する軽巡洋艦というのは水雷艦隊の旗艦として使われることが多く、海戦の初戦を担う重要な役割の艦のようです。

それこそ馬車馬のように働いたみたいですね。

もしかするとその乗組員のエネルギーを確保するために、呉でたくさんの穴子を積み込んで出航していったのかもしれません。

 

 

 

  戦艦長門 茶碗蒸し

いよいよ旗艦、戦艦長門の登場です。

長門の名物は茶碗蒸しだったのだそうです。



旗艦である大型戦艦からノミネートした料理としてはこのメニューの中では地味ですが、丁寧さが感じられるとても美味しい茶碗蒸しでした。


長門は太平洋戦争開戦時の連合艦隊旗艦で、

当時、戦艦大和は存在や名前が一般には公表されていなかったこともあり一番人気の艦だったようです。


映画「トラトラトラ」では長門艦上での将校の食事会のシーンがあったと記憶していますが、やはりこの艦で提供される料理は旗艦に相応しい手の込んだものだったのでしょうか❓




  戦艦扶桑 蛸の酢味噌和え

再び戦艦扶桑からタコの酢味噌和えが登場。



やはりこれも瀬戸内海のめぐみなのか、柔らかくて美味しいタコでした。

呉からそう遠くない三原市はタコが名物ということなので、そこのタコなのでしょうか?

機会があったら丸ごと大きなタコを食べたいですね〜。


  潜水母艦大鯨 鰻の蒲焼きご飯

シメは潜水母艦大鯨からうなぎの蒲焼ご飯。

こちらも栄養満点、滋養に優れた一品です。

焼きナスが添えられているのも良いですね。



うなぎは捌くのに手間がかかりますし、調理にも時間がかかるようですから、当時は特別な時に提供されたのかもしれないなあと想像しながらいただきました。


ところで大鯨は最近、潜水艦でその名が復活しましたが、潜水艦に燃料などを補給し、その活動を支援する艦です。

実はロンドン海軍軍縮条約で制限されていた空母に有事の際はすぐに改装できるように準備されていた艦だったのだそうです‼︎

そんなことを考えて計画を立てたんですね。


その計画通り、1942年に空母に改装され「龍鳳」と名前も変わりました。

これに伴って、食事のメニューも変わったりしたのでしょうかね?




  大満足の夕食でした

とても美味しかった上に、呉や日本の歴史についても考えさせられた「連合艦隊御膳」

この内容で3,000円台というのはコスパが高く感じます。


レストランの雰囲気も良いので、再び呉を訪れる際にはまた食べたい食事です。

次回は長門御膳や瑞鶴御膳など他のメニューも良いかな。


最後におしゃれなぜんざいをいただいて



ごちそうさまでした😋




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