忘れられたちいさな庭 -5ページ目

忘れられたちいさな庭

日々のおもいの積もる場所



―でも、狂わずにいる、そのことがつまり、あなたなら立ち向かえるということなのかもしれない。




いつからだっただろう?
目は閉じていた方が楽だと気づいたのは。
いつからだっただろう?
目を開けるのがいつの間にか怖くなっていたのは。


―でも本当は、閉じていた目を開けたって世界は特別変わらない。
目を閉じていても開けていても、世界は同じように厳しくて、そして同じように優しいんだ。
わからない、わからない、わからない。
ぐるぐる、もやもや、ふわふわ、いらいら。
くつくつと奥の奥で、ぷかりぷかり底の底から。
薄明るい表層へと浮かんでくる、ちいさなあぶくたち。
かすかな光にあたっただけで、霧散して心内いっぱいに広がるのに、いっしょくたに混ざってしまって色さえ判然としない。
ざわざわと心をざわつかせるだけ。
落ち着かなくさせるだけ。

ぐるぐると、まるで迷路のように。
もやもやと、あたかも霞のように。
ふわふわと、漂う海月のように。
掴めそうで掴めない心に、いらいらと、思いだけが募っていくのです。
嫌だ嫌だ。
キライキライ。
消えてしまえばいい、死んでしまえばいいのに。
なんて愚かな、馬鹿な自分。
どうしてあんなことを言ってしまったのか。
どうしてもっと上手くできなかったのか。
どうしてこんな簡単なミスを犯したのか。
ダメだダメだ。
あんなことをした自分は消えてしまったらいい。
死んでしまったらいい。
そうして全ての失敗がなかったことになったらいい。

―そうしたら、自分は非の打ち所のない完璧な自分でいられるのに。
センチメンタル。
感傷。
しくしくと疼くような、切なさ、悲哀。
その底にある、愛しさ。
どうしようもなく確かに痛むのに、その痛みが不快でも恐怖でもなく。
確かに苦いのに、どこか甘い。
あなたを思うと、あの時を思うと、涙が溢れてくるのです。