#白文 #感謝 #篆刻 #甲骨文字 #お金 #漢字 #熊 #研磨 #木の実 #運動 | 音型(おんけい)が彫る

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甲骨文字百顆印 第五十七顆 / 白文・7mm角・新疆彩凍石


01 「森」という文字について

     
意 味 しげった林・多くの木
成り立ち 会意文字。『木』が三つ重なり、木が数え切れないほど生い茂る樣子を表す。二つで「林」、三つで「森」という古代漢字のルールがある。森の語源は「盛り」という説もある。
部 首
現代漢字の畫數 12畫
甲骨文字の畫數 15畫ほど

木を二つ並べると林、三つにすると森。同じ文字を重ねることで程度を表すという発想は、シンプルで明快だ。同じ構造を持つ字は他にも品・晶・轟・蟲・贔など四十字ほどあるらしい。甲骨文字の時代には存在しなかったものが多いと思われるが、この発想自体は相当古くから続いている。


02 木が三つで森になる

木を一本書けば「木」。二本並べれば「林」。三本集めれば「森」。

段階が見えるのが面白い。一本では木、増えて林、さらに増えて数え切れなくなったら森、という感覚がそのまま字の構造に反映されている。説明がなくても直感的に理解できる。象形文字や会意文字の中でも、こういうシンプルな積み上げ方をしているものは特に好きだ。

森の語源が「盛り」だという説もある。こんもりと盛り上がっている樣子、あるいは神聖な場所として小高くなっている樣子から来ているとされる。「盛」の回で皿に食べ物を高く盛り上げた形が起源という話を書いたが、盛るという言葉には何かを積み上げていくイメージが根底にある。


03 木を見て森を見ず

木を見て森を見ず、という言葉がある。

細部に集中するあまり、全体が見えなくなるという意味だ。木の一本一本は見えているのに、森という全体の構造は捉えられていない。そういう状態を指す。

これは今の時代にとても当てはまる氣がしている。情報が大量に流れてくる分、局所的な部分だけを見るように誘導されやすい。一つの事件、一つの発言、一つの数字。それぞれを個別に見ていると、全体の文脈や背後にある構造が見えなくなる。木ばかりを見せておけば、森が隠れる。「新」の回で眠らされている状態の話を書いたが、目を細めて木の一本を見ている間に、森全体がどこかへ向かっていることがある。


04 日本熊森協会との出会い

前シリーズの対意二字熟語百顆印で「增減」を彫った際に、森の大切さについてかなり詳しく書いた。

その時、偶然手にした冊子が日本熊森協会のものだった。熊が人里に下りてくる背景には、山の奥の森が荒れていて、餌となる木の実が採れなくなっているという事情がある。熊を悪者にするのではなく、森そのものを健全に保つことが解決策だという視点を持った団体だ。

ただ、団体というものには難しさがある。潰されたり、乗っ取られたり、意図しない方向に舵を切られたりという事例が、過去には枚挙にいとまがない。善意で始まったものが、気づけば別のものになっていることがある。「鑄」の回で一次情報まで遡ることの大切さを書いたが、団体についても同じで、設立の経緯や現在の活動内容を自分で確認することが大事だと思っている。


05 個として何ができるか

団体への懸念を感じるたびに、では個としてどうするかという問いに戻ってくる。

大きな組織や運動に頼るより、自分一人で何ができるかを考える方が、結局は地に足がついた動き方になる。毎朝ゴミを拾うことも、食べるものを選ぶことも、テレビを置かないことも、全部個としての選択だ。誰かの許可もいらないし、組織に所属しなくてもできる。

個の力は、意外と強い。一人がやっていることは、周囲には見えていなくても、積み重なれば何かを変える。「滴」の回で雨垂れ石を穿つという話を書いたが、一滴の水が石を変えるように、個の行動も長い時間をかけて何かを動かしていく。


06 意識は最強だ

個の力の中で、特に強いのが意識だと思っている。

意識を向けることで、それまで見えていなかったものが見えるようになる。「鳴」の回で鳥の声は意識を向けると聞こえてくるという話を書いた。「賜」の回では感謝に意識を向けることの話を書いた。どちらも、意識が現実の解像度を上げるという話だ。

意識するだけでできなかったことができるようになる、というのは経験として何度もある。諦めていたことが、ある日突然できるようになる。その変化の直前に、意識の向け方が変わっていることが多い。

意識は最強だと、本気で思っている。団体がなくても、お金がなくても、肩書きがなくても、意識だけは誰にも奪われない。


07 制作について

今囘も白文。字體は甲骨文字風で仕上げた。擊邊は入れた。彫る前に少し研いだ。

制作メモ

  • 印 式:白文
  • 字 體:甲骨文字風
  • 印 材:新疆彩凍石(7mm角)
  • 印 刀:刀匠印刀 三號(彫前に研磨)
  • 擊 邊:あり
  •  

     

三つの木を7mm角に収めるバランスが今囘の工夫どころだった。上の一本と下の二本の配置をどうするか、重なりをどう表現するか。シンプルな構成だからこそ、配置の妙が仕上がりに出る。


08 甲骨文字百顆印 これから

五十七顆目で「森」が加わった。

木が三つ集まると森になる、という単純な原理から、俯瞰することの大切さ、個の意識の強さまで広がった。このシリーズ自体、一字一字は小さな木だが、積み重なって少しずつ森になってきている気がしている。

 

 

生成AIさんに作っていただいた画像はこちら、

夜の森かー
ちょっと怖そうだな。

朝の森ですね~(´艸`*)
日が差したときに明るいのは自然林ですよねー
 


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