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甲骨文字百顆印 第三十九顆 / 白文・7mm角・新疆彩凍石


01 「齒」という文字について

     
意 味
成り立ち 象形文字。開いた口の中に齒が竝んだ樣子を描いたもの。上部の「止」は音(シ)を表し、形聲文字としての要素も持つ。年齡によって齒が拔け變わることから「よわい(年齡)」という意味も持つ。
部 首
現代漢字の畫數 12畫

現代字の「齒」の中に「米」という形が見えるが、お米とは無關係だ。古い字形が變化した名殘で、全く別のものに見えている。甲骨文字の段階では口の中に齒が竝んでいる、という情景がそのまま描かれていて、こちらの方が直感的にわかりやすい。


02 齒は咀嚼の入り口だ

齒は大事だ。これは体感としてよくわかる。

咀嚼という機能の入り口に齒がある。食べ物を細かく砕いて、次の消化プロセスへ送り出す。その役割は地味に見えて、実はかなり重要だ。よく噛まずに飲み込むと、後の工程に余分な負担がかかる。丁寧に噛むことが、体全體の仕事量を減らしていく。

「養」の回で食べることの話を書いたが、何を食べるかと同じくらい、どう食べるかも大切だと思っている。


03 唾液の中に遺傳子情報がある

よく噛むと、唾液がたくさん出る。

唾液というのは単なる水分ではない。その中には自分の遺傳子情報が含まれているとされている。食べたものと一緖に、その情報が体内へ送り込まれていく。口から始まって、食道、胃、十二指腸、小腸へと届いていく長い旅だ。

噛む、という動作がその旅の出発点を整えている。丁寧に噛むことで唾液がよく混ざり、遺傳子情報が食べ物に行き渡る。その状態で体内に入っていくことの意味を考えると、よく噛むという習慣は思った以上に奥深い。


04 腸の中の數十兆の會話

小腸に届いた食べ物を待ち受けているのが、腸内細菌だ。

その數は数十兆とも言われる。それぞれが異なる役割を持ち、得意とする消化や吸收を担いながら、互いに情報をやり取りしている。腸内細菌のゲノム情報の総量は、人間のそれの150倍にもなるとされている。

150倍、というのがまず頭に入ってこない数字だ。自分の体の中に、自分よりはるかに多くの情報を持った生き物たちが住んでいて、今この瞬間も働いている。食べ物が届くたびに、彼らの間で何らかの會話が始まる。その精巧さは、考えれば考えるほど不思議だ。


05 人間はつくづく生かされている

ソマチッドという話がある。血液や体液の中に存在するとされる微小な粒子で、生命活動の根幹に関わっているという説だ。詳細については諸説あって、まだ解明されていない部分も多いが、体の中に自分では制御できない何かが働いているという感覚は、腸内細菌の話と重なる。

腸内細菌、唾液の遺傳子情報、ソマチッド。体の中で起きていることを一つずつ辿っていくと、自分一人でこの体を維持しているわけでは到底ないということがわかってくる。

神の見えざる手、という言葉がある。市場の均衡を説明するために使われる経済学の用語だが、体の仕組みにこそ当てはまる言葉だと思う。誰かが設計したのか、長い進化の末に出來上がったのか。どちらにしても、これほど精巧なものがただの偶然でできているとは考えにくい。


06 「よわい」という読み方の話

「齒」には「よわい(齡)」という読み方がある。

年齢によって齒が生え変わることから、齒の状態が年齢を示すものとして使われるようになったらしい。年齢のことを歯の状態で把握していた、ということだ。馬の年齢を歯で判斷するという話もあるが、人間も同じように見られていたのかもしれない。

歯が命の長さと結びついている、という発想は、咀嚼という機能の重要性を改めて示している氣がする。よく噛めなくなることが、生命力の低下と繋がっているという。齒を大切にする理由が、また一つ増えた。


07 制作について

今囘も白文。字體は甲骨文字風で仕上げた。擊邊は入れた。

制作メモ

  • 印 式:白文
  • 字 體:甲骨文字風
  • 印 材:新疆彩凍石(7mm角)
  • 印 刀:刀匠印刀 三號
  • 擊 邊:あり
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口の中に齒が竝ぶ象形を7mm角に収めた。竝んだ齒の形をどう表現するかが今囘の核心で、等間隔に線を並べるというシンプルな作業ながら、小さな印面では均一に彫るのが意外と難しい。甲骨文字らしい大らかさで仕上げた。


08 甲骨文字百顆印 これから

三十九顆目で「齒」が加わった。次で四十顆、全體の五分の二だ。

齒という一字から、唾液、腸内細菌、ゲノム情報、生かされているという感覚まで広がった。体の中の話は、掘り下げるほどに見えない世界への驚きが増していく。次の一顆も、どんな扉を開けてくれるか楽しみだ。

 

 

生成AIさんに作っていただいた画像はこちら、

歯医者さんは漢字の成り立ちの説明するんかね・・・(;^ω^)

 


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