最近、本当に全く現金を使わなくなりました。

 

これはホリエモンのように日本で無理矢理キャッシュレスじゃなきゃダメでしょ?とやってるわけではなくて、本当にこの2−3年で自然にキャッシュレスになって行ったのです(それでも周りの人よりも早いかもしれませんが)。そして今はほぼ完全にカードレスに移行しました。なので、その軌跡を備忘録までに記しておこうと思います。

 

1. まずはクレカ。クレジットカードカード払いが簡単なシンガポール

 

シンガポールは少額でもクレジットカード払いを躊躇う人も嫌がる店もありません。これは韓国や豪州といった他の先進国でも同様で、この点を持ってホリエモンなどは店の意識が遅れている、クレカonlyにすれば現金管理のコストも無くせるなどと言っていますが、ポイントはそこではありません。日本は店にチャージされるクレカ使用料が異常に高く政府の上限規制も緩いため店が嫌がるのは当然です。ここにメスが入らないと、少額決済に中々使われていかないでしょう。

 

またPay Waveと言ってコンタクトレスでSuicaやEdyのようにクレカを使えるのも手軽ですので、まずクレカが使えるものは全部クレカで(時間がかかるので急ぐ時は現金)となりました。またタクシーは別途7-10%をクレカ手数料で乗っけてくるため、ここは現金でした。なので当然この頃はクレカと現金の入る財布を持ち歩いておりました。

 

 

2. Apple Payキャンペーン始まる。カードレスは可能だが…

 

iPhone 7からはApple Payが使えますが、正直メリットがよくわからず(恒常的に財布を持っているので)うまく使えなかった場合も嫌なので登録しなかったのですが、マイルやポイントが何倍にもつくなどのキャンペーンに乗りApple Payを使い始めました。こうやって慣れさせるのが重要なんだということは後述のGrab Payなどの時にも感じました。

 

これで、クレジットカードはカードレスになったはずなのですが、現金、NETs(日本で流行らなかったDebit Cardに当たるサービス)オンリーも多いし、出張時の両替や現金引出して銀行カードも必要、友人との飲みの清算もカードを複数出して店側で割ってもらうことも当たり前のシンガポールでは引続きカードも持ちあるいていたのでした。

 

 

3. Paylah/PayNowが普及し始める

 

この辺から2020年現在の日本がキャッチアップしていない部分が出てくるでしょうか。このPaylah/PayNowというのは、銀行が提供するウォレットサービスです。アプリ上で銀行口座と紐づいたバーチャルなウォレットに資金をTop Upして、その資金を店頭でのQRコード決済や他のアプリ保有者への送金を無料で行えるというもの。

 

手数料が安いのか急速に店頭で普及、そして課題のタクシーでもPaylah QR決済が可能なため、遂に私のタクシーはQRコード決済へと移行しました。また友人や同僚などと食事に行くと、一人が代表で支払い、その場でPaylah/PayNowで振り込むということが常識になりました。電話番号さえ入れれば送金できてしまうので、初めて会った人であっても問題なくいけます。

 

 

4. Grab Pay登場そしてFave

 

Grab Payは日本のPayPayのモデルと見た目は一緒です。QRコードで店頭決済ができて、Grab CarやGrab Foodなどと一体のスーパーアプリ"Grab"として使えるウォレットです。凄まじいキャンペーンと、裏で紐付けたクレカのマイルやポイントとGrabポイント1~2.5%がダブルで取れるため一気に普及しました。特に飲食店で使うと高ポイントという仕組み。

 

ローカルのマッサージ屋が導入したので店主のオヤジに聞いたところ、なんと店側の手数料がゼロとのこと。ただし入金までに1−2日待たなくてはならない。この間寝ている資金の利息で手数料分を稼ぐモデル。ゼロ金利の日本では取れないビジネスモデルでしょう。更に驚くのがこの更に上に乗せてくるFaveというサービス。使うと主に飲食店で2~10%のクーポンがチャージされ、次回以降使えます。一発で10%クーポンをFaveで取り、Grabで2.5%のポイントを溜め、更にクレカで1.2xのマイルを貯められました。

 

5. 更にSimplyGoとNETS Payと

 

コロナ前までは毎日通勤に使っていたのがEz Link Card。日本で言えばSuica/Pasmoです。日本ではオートチャージで便利でした。これを直接クレカから支払えるサービスがSimplyGo。別途のカード作成不要でクレカを登録すればそのクレカがSuicaになってくれるという訳です。Apple Payと組み合わせることで携帯で電車改札が通れます。日本でもSuica+Apple Payでできますね。違いはこの"Suica"というプロセスが無くクレカ直結なところです。日本ではSuica皆持ってますから一般人にはどうでもいいでしょうが。

 

そして前述のNETS。銀行カードが必要かつコンタクトレスでは無かったため、現金を持たずとも銀行カードは必要でした。それを不要にしたアプリがNETS Pay。これで遂に、完全現金オンリー!という店(もはやほとんど存在しない)以外は携帯だけで買い物ができる状態に到達しました。コロナ前は海外出張でよくしていた空港での両替もこれで手続き可能。

 

 

6. そして銀行ATMが遂にQRコード対応

 

それでもなお、現金商売の店も少数あります。最早財布を持ち歩かない私には最後の天敵…。そこについ先週です。OCBC銀行はATMに備わるQRコードと専用アプリの導入で銀行カードを不要にしてしまいました。いざという時は携帯持ってATMで現金を下ろせば良くなりました。まだ全部の銀行ではありません、が、キャッチアップの非常に早いこの国、全銀行が導入する日も近いでしょう。

 

さて、ここまで来て私の子供時代からつけて来た「お小遣い帳」はゼロが並ぶことになりました。現金を下ろすことも使うこともほぼ無いからです。正直シンガポールの硬貨やお札が無くなることに全く抵抗感は無いのですが、何故か芸術の域にまで高められた日本の紙幣が無くなるのには寂しさを覚えます。全てが携帯に表示される数字だけになってしまうなんて…。

 

でも便利だから全部これになっちゃうと思うんですけどね。現場からは以上です。