日本のCMBS(不動産証券化商品)の実質初の格下げが現実的なものとなってきました。
これまで日本のCMBSにおいては、マイカルの破綻により法的枠組みそのものが問われた

例を除けば、 格下げが起こらないという神話がありましたが、これが今崩れようとしています。

どのような商品が格下げになりそうで、何が原因なのか、探ってみましょう。
格付会社、ムーディーズが以下のプレスリリースを行っています。

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ムーディーズ、合同会社JLOC38 が発行する社債を格下げ方向で見直し

発行金額48.5 億円のD 号社債を対象として

2008 年(平成20 年)6 月24 日、東京、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、
合同会社JLOC38 が発行するD 号社債(最終償還期日:2016 年4 月)を格下げ方向で見直すと発表した。
詳細は以下の通り。

発行金額48.5 億円、合同会社JLOC38 が発行するD 号社債の格付けBaa2 を格下げ方向で見直し

今回の見直しは、裏付けとなっているローン1 本に関するサービサーからの情報を受け、当該
ローンが期限の利益を喪失する可能性が高まったと考えられること、且つ、当該ローンの裏付け
資産の特性等を考慮した上で、裏付け資産からの回収に関するムーディーズの見込みを変更する
必要性が高まったと考えられることを反映したものである。

(後略)
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さて、この「期限の利益喪失」というのはデフォルト、つまり債務不履行を意味します。

また、JLOC38というのがCMBSの名前と思っておけばいいでしょう。JLOC38は、34本のローンを

裏付としてCMBSを発行していますが、34本中の1本が債務不履行になるため、CMBSが格下げ

になる、ということを 言っているのです。 (フィッチのリリースによれば、4本は償還済ですね。)

では、この1本のローンとはどのようなものか。貸主はこのディールを組成しているモルガン・

スタンレー ですが、借主(=不動産の持ち主;債務不履行を起こしそうな人)は、一体誰なのか?

マーケットの噂によれば、それはD.B.Zwirnという聞きなれない会社らしいのです。
その会社を追っていくと、ヒューネットという上場会社に辿り着きます。

この会社がまた難儀な会社なのです。
この株価6円の会社 とD.B.Zwirn、そしてCMBSの格下げの点と線を結んでいきます。


つづく