あぁ眠い……ああ眠い。なのに何故こんなくだらないゲームに参加させられたんだろうか?恨むべき相手は誰だ?アイツか?あるいは……他の参加者か?とりあえず皆殺しにすれば良い。そうすればまた眠れる。今日の月は特別綺麗だ。こんな日に眠るなんて勿体無い。綺麗な物には鮮血こそが似合う。ああそうだ。今日はアイツにしよう。昨日のは抵抗してこなくてつまらんかったからな。今日のは楽しめるだろうか?なんならその家族も………。
「おーい。ってまた寝てるし……。おーきーろぉーー」
「うぐ、……なんだお前か。んだよ俺は寝てるんだ」
「いや移動授業だし……ほら速く速く」
この移動授業のためにわざわざクラスメイトを起こしたのが、らん。そして起こされたのが月野 幸輝。
「眠い、サボる」
「はいはい速く行きましょうね~」
「だからサボるって…」
「そんな事言うとまたアレやるよぉ?」
「………わかった。今準備する」
「よろしい。ほら速く行くよ」
この夢を見るのはいつぶりだろうか。今の俺を君が見たらなんて言うかな?まぁ関係ないか。俺達は所詮は友人。ただ、たまたまその友人が死んでしまったから夢にまで出てきてるだかなんだから。このゲームの為に俺は休学した。ようやく、ようやく死ねるんだ。落ち着いた場所で誰もいない場所で。静かにお前の話を聞ける。
「はぁ……見失った。そもそもアイツが追う側だぞ。たくっただでさえこっちは眠いのに」
幸輝は今百人の内の一人を探している。というのも彼の所持するアルテミスの能力は誰かの索敵等にはとても向いている。
「…………見つけた。まだ近いな」
何をしたのかは不明だが彼は追っている相手を見つけたようだ。一歩、また一歩それは少しずつ近づいて行く。

「ふわぁ……まったく、眠いのにてこずらせやがって」
「ヒィッな、なんでここが」
「狩猟ってのは楽しいが見失ったら台無しだよな?そういうことだ」
「くそ、意味がわかんねぇよ」
「そうか。それでいいよ。ほら速くやるぞ」
「は?」
なんとこの圧倒的有利な状況で彼はバトスピでの決着を望んだ。
(何を考えてやがる……だかこれはチャンスだ。これに勝てれば全てをひっくり返せる)
「……どうした?まさかデッキがないなんて事はあるまいよ」
「あ、あぁ。大丈夫だ」
そうして二人は消え去った。共に命を賭けた戦いの為に。
「さてまずは参加者の権限を使わせて貰う」
フィールドが一瞬にして月夜に変わった。その月が照すのは果たして勝利か敗北か。
「月夜に輝く我が神よ 何人たりとも逃しはしない。狩人はここに目覚める。狩猟の時間だ。創界神アルテミス、来い」
「んな!?」
「始めるぞスタートステップ」
驚く男には目もくれず幸輝は一人バトルを開始した。このターンはアルテミスの大樹神殿を配置、その後バーストをセットしてターンを終えた。

「何がなんだかわからねぇがやるしかないか…スタートステップ」
男はシロエナ、風魔ヤブサメを召喚、そのままフルアタックによりターンエンドとなった。

「はぁ、速攻タイプか。めんどくさい」
そう呟くとそのままコマンド・コリーを召喚した。効果でデッキを三枚オープンしその中の系統機獣を持つコスト5以下のカードを1コスト支払い召喚する。オープンしたのはポラーナイト・ガルム、アルテミックシールド、アルテミスの大樹神殿だ。ポラーナイト・ガルムを召喚し残りのカードはデッキの下へ送った。 
「ガルムの効果でコアを増やすぞ。これでガルムをLv2にする。そしてガルムでアタックだ」
ポラーナイト・ガルムの召喚時の効果はアタック時にも発動する。つまりもう一度ポラーナイト・ガルムにコアが乗る。
「効果でボイドからコアが増えたな。こいつを回復する」
「ライフで受ける」
「同じ事をする。ガルムでアタックしコアを乗せる。これでガルムはLv3になる」
「ライフで受けよう」
「ターンエンド」

ポラーナイト・ガルムの攻撃を受けようやく返ってきたターンである。
「シロエナでアタック、フラッシュタイミングでヤブサメを召喚。追加でタシギも召喚だ」
「最高のお膳立てだ。バースト発動」
「このタイミングでか!?」
フィールドが凍りつく。そして幸輝のバーストゾーンが光を放ちながら表向きに変わる。
「凍れ。二度と目の前に現れるな。氷河の神皇アバランシュ・バイソンtype-0をコマンド・コリーに煌臨する」
天から伸びた光はコマンド・コリーを凍てつかせる。そして目の前には大いなる獣がいた。
「煌臨したのでお前のフィールドのスピリット二体をデッキの下に戻す。タシギとヤブサメ二枚を戻す」
「くそ…………ターン…エンドだ」
速攻デッキの寿命は短い。この短時間で自身の死が確定された男は何を思うだろうか?それは今となってはわからない事だ。

「お前はもう俺には勝てない。俺に狙われたのが運の尽きだ。バーストセット、ガルムでアタック」
「ライフで受ける」
「ガルム回復、ガルムでアタック」
「シロエナでブロックだ」
わかりきっていた。この戦いの結果は誰しもがわかりきっていた。
「アバランシュ・バイソンtype-0でアタック」
「……ライフで受ける」

「たく、想像の七倍はつまらんやつだった。はやく帰ってゲームでもするか」
デッキをしまいながらそう呟く。そのデッキからは誠実と呼ぶに相応しい何かが顔を隠していた。