千葉7区補選、岩国市長選、沖縄市長選で、それぞれ与党の
候補が敗れた。千葉では、小沢民主党に、岩国と沖縄では、米
軍基地に反対する市民に。
この結果は、小泉政権の行った財界や富裕層の為の改革に
国民的不信任が下ったという事でもある。小泉氏は、総裁にな
って以降、自民党内で絶大な力を持った。その源泉は、選挙に
強いという事であった。得意の弁舌とパフォーマンスで、まるで
ナチスの宣伝相ゲッペルスの如く、国民を騙してきた。しかし
それも経済格差や地方格差などが顕在化するに及んで、つい
に限界を露呈してしまった。小泉氏の、今秋の退陣後も影響力
を保持しようという目論見は、これで大きく崩れた。
また、ポスト小泉競争で、頭一つ抜きん出ている感のあった安
部氏も、安泰ではなくなった。それどころか、小泉インチキ改革
の後継者と目されていただけに、今回の選挙結果は、大きなマ
イナスとなった。田中真紀子氏が喝破したように「痩せた森喜朗」
では、小沢氏に対抗出来ないという声が、早くも自民党内から
聞こえ始めている。
小泉氏の改革とは何であったのか? それは、資本主義の徹底
的な貫徹である。つまり、持っているものは最大に利潤を拡大し
持たざる者は徹底的に搾取される体制作りである。
小泉氏は、あたかも借金財政で膨らんだ財政を再建する為の改
革のポーズを取ったが、現実には、財政は再建されるどころか、
小泉政権になって120兆円もの借金を新たに作った。また
官僚の天下りと、その結果としての官製談合や、不必要な公益法
人の増殖を止める事は、全くしなかった。さらには、雇用保険、国民
年金などの、役人による無駄使いは驚くべきものがあるにも関わらず
改革しようとは、全くしていない。
道路公団改革と名前は立派だったが、実の所は、橋本派潰しという
党内抗争に過ぎず、結局計画されていた道路は、全て造られる事に
なっている。いったい何を改革したというのであろうか?
小泉氏が行ったのは、税金を大量に銀行に注入して、不良債権処理
を行った事と、株などの取引で大儲け出来るように、様々な規制緩和
を行った事である。その結果、富裕層が生まれた。その反面、これま
た規制緩和で、労働者派遣業を解禁し、相当数の派遣労働者を生み
出した。派遣労働者は、企業の正社員に比べて、遥かに労働条件が
悪く、低賃金な状態におかれている。富裕層と低賃金層の形成である。
これこそが、小泉氏の目指した、改革の正体である。
さらには、様々な問題がありつつも、今日まで積み上げてきたアジア
外交を瓦解させた罪は重い。アメリカ追従一辺倒の外交姿勢では、
21世紀は通用しない事は明らかである。大きく言えば、アメリカ、EU
そして、中国・インドを中心とするアジアが、世界経済を動かす三つの
ブロックを形成するだろう。軍事的にはアメリカは超大国かもしれないが
、経済の成長余力としては、必ずしも絶対的なチャンピオンではない。
また、国の安全保障の点からも、アジアの小さな島国である日本は、幅
広く外交ウイングを広げなければならない。にもかかわらず小泉氏とその
取り巻き連中は、了見の狭い立場に終始し、国益を大きく損ねたのである。
外交はいわば近所づきあいなのであるから、隣のオヤジが多少、根に持つ
タイプであったり、身勝手な奴であったとしても、いちいち睨みあったり、
箒で突き合ったりしていたのでは、平穏な暮らしなど出来ない。ましてや自
分の方が相手の感情を逆撫でするような事をしているのでは、話にならない。
どんな奴でも、笑顔で友好的態度で接すれば、正常な神経の持ち主であれ
ば、おのずと相互理解の道は開けるのである。そういう観点からも、小泉外
交は、許しがたい大失政である。
小泉氏は愚民であると国民を舐めていたであろう。しかし、国民は、
そんなに愚かではない。その事を今回の一連の選挙は示したので
ある。これを機会に、国会での議論をないがしろにして、嘘と強気
で国民を騙す愚民政治を改め、国民の生活や将来に関わる諸問題
を真剣に論議する作風を、国会の中だけに留まらず、国全体に復活
させる事が何より大切である。