今日は結構暖かいですね。
さて、司法書士業界にいる者であれば当然知っていることなのに、私がよく忘れてしまうことの一つに「抵当権の一括申請の可否」があります。この件はレベルがかなり低いので、皆様暖かい目で見てやってください。
事例としては、「建物(所有者甲)、土地(所有者乙)が抵当権の共同担保となっていたとします。この建物と土地に登記された共同抵当権を抹消する場合(登記原因同じ)、一括申請できますか?」です。
「できる」としか言いようがないですが、なんだかいつも気持が悪い感じがするんですね。なので、ちゃんと調べてみました。
不動産登記令4条但し書には
「同一の登記所の管轄内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときはその限りでない」
と一括申請の原則が定められています。
なお、登記原因が同一とは、法律行為・法律事実が同一であることを含みますから、当事者も同一でなければなりません。
上記事例に当てはめてみると、甲さんと乙さんが所有者ですから当事者が違うことになります。「じゃあ、一括申請できないじゃ~ん」ということになるといけないですから、「その他法務省令で定めるときはその限りでない」について調べてみます。
不動産登記規則35条(一の申請情報によって申請することができる場合)
十 「同一の登記所の管轄内にある二以上の不動産について申請する登記が、同一の債権を担保する先取特権、質権又は抵当権に関する登記であって、登記の目的が同一であるとき」
となっています。
「同一の債権を担保する抵当権に関する登記」であれば、「登記原因が同一」という要件がなくとも大丈夫みたいです。ああ、これで解決ですね。
でも、規則35条には、抵当権抹消の場合大丈夫だよってそのものズバリは書いていません。まだちょっと気持ち悪い。なので引き続き先例を調べてみました。
昭42.3.13 民事甲305号民事局長回答
「共同担保の関係にある抵当権の登記を抹消する登記の申請は、目的不動産の所有権の登記名義人がそれぞれ異なっている場合でも、同一の申請書によってすることができるが、この場合の免許税は、当該申請にかかる不動産の個数が10個をこえるときは、300円である」
そのものズバリです。今夜もぐっすり眠れそう。
でも、不動産の個数が10個をこえるとき300円って、1個だと多分30円ってことですよね。現在不動産の個数1個につき1,000円ですから、抵当権抹消についての免許税額は33倍以上上昇してるようです。
まあ、40年以上前ですからそんなものなのかもしれませんが、少し驚きです。