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Drunk on Speech

このサイトは慶應義塾大学英語会Chief of Speechだった作者が、今まで学んできたこと・感じてきたことを公開しているものです。

大学生向けのエッセイを次々と公開していく予定です。どうかみなさんのSpeech作りの参考にしていただければと思います。


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優勝以外がすべて落選だと定義すれば、私は最後の最後まで落選続きのSpeech人生を送っていました。どうしても優勝できない。どうすれば優勝できるのか?日々頭を悩ませては色々な方策を試しましたが、優勝するまでの道は本当に長いものでした。

「もうこのまま優勝することが出来ずに終わるのか?」そんな強烈な不安と戦いながら3年生の後期をむかえたのです。結果的に福澤杯でも準優勝に終わり(つまり落選)、本当に土壇場まで行って、やっとの思いで大隈杯と水上僚子杯で優勝することが出来ました。

決して平坦な道のりを歩んできたわけではありませんが、優勝するまでの落選の経験は無駄なものではありませんでした。私は落選を重ねることによって、「勝負に対する覚悟」を深めることが出来たからです。ここでいう「勝負に対する覚悟」とは、敗因を分析し、即座に対策を実行するということを指します。

私はよく、残念ながら落選してしまった後輩に対して、「どうして落選したのか、ためしに10個くらい考えられる原因を挙げてみたら」と言ってみます。かつて、10個だけでなく30個原因をあげてきた後輩がいましたが、こういう人は次のシーズンで必ず優勝します。自分が落選した原因を徹底的に追究する覚悟を持っているからです。

さらに大事なのは、そういう人はその日から行動を起こしているということです。Judgeのコメントを分析し、納得したものを取り込み、Rewriteを開始します。Rewriteが終われば、Englishのチェック、Deliveryの練習に取り組みます。落選に対する悔しさが大きいうちに動くことによって、驚くほど効率的にSpeechを改善することが出来るのです。

中規模な大会で優勝したことがある人はこれができません。「Judgeはわかっていない。自分の伝えたいことだけ伝えればいいんだ」と言って、何も対策をとろうとしないのです。過去に優勝したという無駄なプライドが、勝利に対する貪欲さの邪魔になるのです。

落選した時は本当に悔しいものです。自分を落選させたJudgeに対する怨念すらわいてきます。しかし、落選の怨念をマイナスのまま抱えるのではなく、その怨念をより良いSpeechを作るためのプラスのパワーに変えなくてはなりません。そのためには、落選した日の夜は1時間だけビールでも飲んで、次の瞬間から行動を起こすことが必要なのです。

『勝利のために40』
落選の怨念をプラスのパワーに変える


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一昔前の日本では教養人とはすなわち本を読む人のことを言いました。彼らは本を読むことによって先人の知恵を授かり、人間とは何かを考え、そこで得たアイデアを自ら本にすることによって後世に引き継いできました。

みなさんは年間どれくらいの本を読みますか。私が本を読み始めたのは高校生の時でした。通っていた予備校の夏期講習にたまたま友人がいなくて、休み時間が暇だから本を読み始めたのです。それがきっかけで高校時代には日本近代文学のほとんどの作品を読み漁っていたのですが、大学生になってから他に楽しいことができてしまって本を読むのをやめてしまいました。

しかし、私が大学2年のときに参加したKESSのキャンプで、とあるOBの方が、「本を読んで情報を吸収していない奴が良いTopicを見つけられるわけがない」ということを教えてくれました。改めて考えてみると至極当然の意見です。良いTopicに巡り合うことに裏技などあるわけもなく、本を読んで知識を蓄えていくことが王道です。

その言葉に刺激を受けて以来、私は毎年250冊の本を読んでいます。1週間に換算すると、平日5日間で3冊、休日2日間で2冊の本を読んでいます。本を読むことに慣れてしまえば、このくらいのペースは簡単に保つことが出来ます。

そして、本にお金をかけることに躊躇しないことが重要です。自分の欲しいと思った本に迷わず手を出せるレベルがあなたの知的レベルだからです。5万円の本をためらわずに買えることが出来る人は5万円のレベル、2万円までしか出せない人は2万円のレベルなのです。

次に、その本を買ったら大体どれくらいの時間で読破できるかを見積もり、それを忠実に実行することが大切です。自分が一日で読めそうだと思ったら必ず一日で読むことが出来ます。どうしても気分が乗らないときなどは、自分が降りるべき駅を通過してしまって、終点まで行って戻ってくる間に読破するのです。

Speechという目的意識を持って読書に励めることを喜んで下さい。漠然と読書を続けても、頭に引っかかるものは多くありません。しかし、目的があれば、ラジオのチャンネルがぴたりとあって音声が流れるように、読書の最中に頭にひらめくポイントが増えてくるのです。あとは何冊読むかの問題です。読めば読むほどチャンネルの数も増えていきます。そこまで行き着けば、良いTopicが無くて困るなどという言い訳は出なくなるのです。

『勝利のために39』
Speechチャンネルの数を増やす


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最近のESS界では私が現役生だった頃よりも多くのJoint大会が催されているようです。Joint大会の数自体が増えることは取り立てて問題視するようなことではないのですが、その目的を誤ると弊害ばかりが目立ってしまいます。

私が現役生から聞いて驚いたのは、「今年はJoint大会だけに出て、Open大会は応募していないんですよ」という人が「やたらに」多いということです。聞くところによると、Open大会はどうせ出しても通らないし、うるさいJudgeにごたごた言われるのは面倒くさいというのが理由なのだそうです。さらにひどい人になると、Joint大会を仲良し合コンに仕立てて遊んでいます。

私はJoint大会をOpen大会に向けてのスパーリングのように考えていました。自分のライバルがいる学校と積極的にJointを組み、本選前に一戦交えて感触を探り合います。ですから、Joint大会は自分達のESSよりも成績が悪いESSと組んでも何の意味もありません。それでは時間の無駄です。貴重な週末を使って大会を開くのなら、自分達よりもレベルが上のESSか、同等のESSと戦ってこそ初めてJoint大会が有意義なものになるのです。

ご存知の通り、毎年各ESSのレベルは変わっていきます。ですから、毎年固定された相手とJoint大会を行うのではなく、シーズンごとに相手の実力を推し量ってカードを組まなくてはなりません。例えば、前期のJoint大会は去年の成績を参考に相手を探し、後期のJoint大会は前期の結果を見て相手を決めるのです。

もう一つ大事なのは、参加校をできる限り絞るということです。自分達よりもレベルが上のESSを何校も探すのは大変だし、参加校を少なくすることで一大会あたりに参加できる人数が増えるのです。レベルの高い相手と大会を組み、自分のESSから多くの参加者を募れば、「ライバル校にはあんなに強い奴が多いんだ」とメンバーの士気も上がるでしょう。

Joint大会をぬるま湯の中のお茶会にして、そこで満足するようなことはそろそろやめませんか。そんな人は、スパーリングだけしているボクサー、稽古場にしか立ったことのない役者と同じです。それでは決して一流になれないし、一流になりたいという意欲すら生まれてきません。もう一度、自分が何のためにSpeechをしているのか考えてみて下さい。

『勝利のために38』
強い相手とスパーリングする


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Speech大会に出場すると意外なほど自由な時間が多くあります。会場に通されて、参加者控え室に入ってから30分くらいはお茶などが出されて和気藹々とした雰囲気が醸しだされています。昼休みなどもものすごくゆったりと時間がとられています。その時に話題になることといえば、まず第1にJudgeの悪口、第2に誰と誰がくっついたなどというくだらない話題です。優勝するためにはこんな無駄な時間を過ごしている暇はありません

まずは控え室をこっそり抜け出して壇上に行ってみてください。きっと主催校人たちがあくせくと準備をしているはずです。それを横目でやり過ごして壇上に勝手に上がってDeliveryの練習をするのです。Judgeはどこに座るのか、観客が密集しているところはどの辺なのか、ライトはどの角度から当たっているのか。ステージ準備の人が「準備中ですので・・・」と言ってきても、「まあちょっとだけいいじゃないですか」とさらりとかわすことが重要です。それでも「やめてください」という人は滅多にいないのです。

続いてMemorizeの最終確認を行います。本番でMemorizeを飛ばすなどというのは論外中の論外、大恥中の大恥です。たとえ本番でなくても、本番当日の「練習ですら」Memorizeを飛ばす事は御法度なのです。仮に練習でちょっとでも躓いたら、自分のふがいなさを厳しく戒めなくてはなりません。しかし、飛んでしまったものは飛んでしまったわけですから、何とか修正することが必要です。こんな時はパンツケアを使うことをお勧めします。まずパンツケアに原稿を渡し、会場のどこかに座ってもらいます。そして、Memorizeが一語でも飛ばないかどうか、厳しくチェックしてもらいます。仮に一回行き詰ってしまったら、また最初からやり直し。時間がある限り何度でもチェックしてもらいます

日本一のバーテンダーであるIさんはこう言っていました。「自分が思い描いていたカクテルを頭の中に完全に叩き込むのです。シェイキングは演出でもありますので一つのミスも許されません。ミスをしないのは当たり前として、いつシェイクしても最高のものが出来上がる。どんな場面でシェイクしても最高のものを出す。これを維持するのが大変なのですよ。」最高のSpeechにも同じことが言えます。最高の作品を作り、最高のDeliveryを作り上げます。しかし、そこで終わりではありません。本番までその最高の出来をムラのないものにするのです。一つのミスも犯さないように入念に準備するのです。そのためには、パンツケアもフルに活かすことが必要なのです。

『勝利のために37』
パンツケアを単なるお茶くみにしない


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酒好きが講じて、様々なBarに足を運ぶことが気晴らしになっています。一つ一つのBarは非常に個性的で、その日の気分によってお店を使い分けられるのが東京の魅力です。

そんなBarの中の一つに、Iさんという素晴らしいバーテンダーが一人で切り盛りしているお店があります。Iさんはカクテルの味・技術は当然のこと、仕事の流れのすべてに無駄がなく、絶妙のタイミングで接客をしてくれます。そのせいで、Iさんが全日本カクテルコンペティションで日本一の栄誉に輝いたことを知っても、特に驚くことはありませんでした。

いつしか私はKESSの後輩が後期の大会にチャレンジする前に、何かを感じ取ってくれればと思い、後輩達をIさんのお店に連れて行くようになりました。そこでIさんが話してくれた逸話にこんなものがあります。

Iさんはカクテルコンペティションの会場が決定すると、必ずその会場を下見するのだそうです。ある年の会場がホテルであれば、結婚式を挙げる予定があると言ってそのホテルの会場を案内してもらうそうです。そこで、じっくりと会場の雰囲気を味わって、自分がシェーカーを振っている姿をイメージトレーニングします。下見をしておけば、お店に帰ってシェーカーを振って練習している時でも、自分が会場にいることを想像してDeliveryの練習が出来るのです。

実は私も3年の後期に大隈講堂の下見に出かけていました。自校が主催する福澤杯で準優勝の辛酸をなめた私は、大隈杯だけは絶対に負けられないと心に誓っていたからです。

大隈講堂などは簡単に潜りこむことができます。というのも、大隈講堂では毎週土曜日に講演などが多々開かれており、無料で聴講することができるからです。私は2年の時にも大隈杯に出場させてもらったので、人よりは講堂の雰囲気に慣れていましたが、約一年ぶりに講堂を目の当たりにして、その雰囲気を頭の中に叩き込みました。講演の終了後には、隙をみて演壇にまで勝手に上がり、眼下にいる関係者から疑いの眼差しを向けられました。あの目線に耐えたせいで、Speechの本番で緊張することはなくなりました。その後のDeliveryの練習も、頭の中では自分が大隈講堂の壇上にいるのですからかなり有利です

世界には同じ講堂というものが一つとしてありません。ですから、講堂の雰囲気を熟知した上でDeliveryをしたSpeakerには、講堂自体が味方になってくれます。そして、講堂を味方につけたSpeakerは、ライバルよりも優勝への道を3歩前進しているのです。

『勝利のために36』
講堂を味方につける