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Drunk on Speech

このサイトは慶應義塾大学英語会Chief of Speechだった作者が、今まで学んできたこと・感じてきたことを公開しているものです。

大学生向けのエッセイを次々と公開していく予定です。どうかみなさんのSpeech作りの参考にしていただければと思います。


Win


大会出場以外の行事には、主に以下のようなものがあると思います。
① 定期的な勉強会
② 自校が開催する大会
③ 春や夏のキャンプ
④ 講師を呼んでのレクチャー会
⑤ コンパやOB会

しかし、それぞれのイベントをカレンダーに載せるだけなら、せいぜい10数項目で終わってしまい、結果としてほとんど何の役にも立たないカレンダーになってしまいます。そうなるのは、最終的なイベントの日程だけを記載しているからです。
そうではなくて、そこに至るまでに必要な小さなステップの予定も次々と載せていくことが大切です。

大きな目標を達成するには、そこに至るまでのマイルストーンを設定し、
・ 各マイルストーンの成果目標
・ それを獲得するためにすべき内容
・ それに関わる参加者
を決定することが大切です。

それらを実現するべく、とにかく先にスケジュールを立てて、関係するメンバーを巻き込んでいくことが必要なのです。そして、カレンダーにそれを記載して、メンバーの予定を押さえてしまうのです。そうすること無しに、メンバーを動かすことはできないし、誰も動かなければ、最終的な大きな目標を達成することはできません。

例えば、夏のキャンプの目標が、①適切なキャンプ運営と、②後期用Speechの完成であるなら、キャンプの予定だけ載せるのではなく、以下のような目標達成に向けての各イベントをマイルストーンとしてカレンダーに載せることが重要になってくるでしょう。

・ キャンプの運営
 ¢ キャンプ開催地の場所取り
 ¢ 出欠の確認
 ¢ 時間割の決定
 ¢ レクチャーテキストの準備
・ 発表するSpeechの完成
 ¢ 候補Topicを持ち寄ってのブレインストーミング、フローバッシング、Q&Aの実施
 ¢ 候補Topicを原稿に落とし、再度ブレインストーミング、フローバッシング、Q&Aの実施
 ¢ 事前デリバリー練習会の開催

ですから、キャンプという大項目の予定のみを載せるのではなくて、それから派生する注項目、小項目の予定も載せて、目的達成に向けての漏れ抜けを無くすことが重要なのです。

こうすれば、カレンダーは単なる行事の確認表にとどまらず、各メンバーが目的達成のために何をしなくてはならないのかを共有できるワークプランのツールとして活用することができるのです。そして、こうして得たプロジェクトの運営能力は、単に「セクションのマネージをしていました」という上辺だけの話ではない、具体的な自己アピールとなって就職活動を戦う際の大きな武器になると思います。


Win


比較的簡単に作れるコンテンツの一つが、年間の行事予定表です。カレンダーなどの機能を使って、今決まっている行事を掲載していけば、まずは一つのコンテンツが出来上がります。ホームページを通して、近日中にどのようなイベントがあるのかを、部員の間で共有することができるようになるのです。

行事としてまず思いつくのが、大会出場予定です。学内予選が終わって、各部員が予選通過通知を受け取ったら、それをカレンダーにアップデートしていきましょう。
大会の2日前に登録しているメンバーにメールを送る機能などを使えば、出場者に対する応援メッセージを部員が送ることができます。まだ大会に出ることに慣れていない部員にとって、応援メッセージが来ることは心強いことこの上ないでしょう。

大会に出場したメンバーは、大会結果の報告を行いましょう。しかし、
ただ大会の結果を書くのではなくて、大会を通じて自分が感じたことを部員全員に伝えることが大切です。例えば、以下のようなことを共有すると良いのではないでしょうか。

① 大会の結果がどうだったか。
② 大会の結果を踏まえて、反省したり、これから新たに取り組もうと思ったことは何か。
③ 大会の運営で見習う点は無いか。
④ 大会にはどのような人が出場していたのか。
⑤ 旅の思い出などはあるか。
⑥ 来年大会にでるかもしれないメンバーに対するアドバイスはどのようなものがあるか。

このように、大会に出場したメンバーが書き込んだ情報は、様々な有用な視点を含んでいるので、他の書き込みと分けて管理することが重要です。掲示板に大会結果の情報を書き込むと、それはいずれ他の書き込みの中に埋没して、後で探すのがとても大変になります。

この問題を解決するために、例えば、ESS内で「大会結果報告Blog」のようなものを一つ作り、部員全員が書き込めるようにパスワードを共有すればよいと思います。それが無理なら、Blogのアップデート担当者を決めて、その人が大会結果報告を逐次アップデートしていけばよいのです。Blogであればコメントも受け付けられるため、その大会で出会った他大学の人たちとこれをきっかけに交流することもできるでしょう。

新しい年度になるたびに新しいBlogを作れば、過去の大会結果報告のデータが管理しやすくなります。
そして、普段あまり接することのない先輩や、もう卒業してしまった卒業生がどのような大会に出場し、そこで何を感じたのかを現役生が共有することができるようになります。そうなれば、単なる結果報告とお疲れ様のコメントを超えた共有財産を、各ESSが引き継いでいけるようになるのです。


Win


自分たちのSpeechセクションを盛り上げようと思った時にまずすべきことは、Speechセクションのホームページを作ることです。ホームページを作ることで、セクション内外でやり取りが広がり、それに参加する部員のやる気を高めます。ホームページは部員の結束を固めるのにもっとも最適なツールです。

部員の意識が低く、成績が振るわないESSに限って、Speechセクションが独立したホームページをもっていないことが多いのですホームページが無いから、自分たちのセクションでどういう行事が行われているのかがわかりません。セクションが独自に掲示板を持たないため、Speechに関する書き込みが部員の間で意見交換されることもありません。誰かが大会で優勝しても、喜びの声を伝える場はなく、誰かが大会で落選しても、次にどうしたらよいかというアイデアが出てきません。ホームページが無いと、部員が相互に鼓舞し合ってモチベーションを高めることができず、大会で優勝するまでに起こる様々な苦難にすぐにくじけてしまうことが多いのです。

ホームページを作ることは簡単です。別に細かい体裁にとらわれる必要はありません。
かっこいいデザインにこだわりすぎて力尽きる前に、まずはコンテンツを一つ一つ発表していけばいいのです。また、掲示板・カレンダー・Blogなど、無料で簡単に手に入るものを積極的に活用し、内容を増やしていくことが重要です。

とりあえず掲示板を作ってしまい、チーフとサブチーフがSpeechに関するやり取りを何回か書き込んでいれば、自然に一般部員による書き込みも増えるでしょう。誰か2人がやり取りを繰り返すことで導火線に火をつければ、掲示板に対する書き込みは瞬く間に増えていくはずです。

次回以降は、具体的にどのようなコンテンツを増やしていくと良いのか、提案していきたいと思います。


Win


自分が考えているプランを採用すれば、きっと世の中は良くなると思っていても、他人はなかなかそれを信用してくれないということはよくあることです。社会に出てから企画を通す時にも、頭の硬い上司に自分の案を納得してもらうのは大変なことです。そんな時、よく行われる方法の一つとして、既にその案を生かして成功している事例があるということを提示するやり方があります。

例えば、「自分の父は定年で会社を退職した後も、仕事を続けたいと就職活動をしているが、企業の年齢制限に引っかかり、なかなか採用してもらえない。せっかく長年の経験があっても企業が定年退職者を採用しないのはおかしい」というSpeechをしたとしましょう。
この手のSpeechは非常によくあるのですが、「長年の経験が企業にとって有益である」ということを具体例で持って示しているケースがほとんどありません。しかし、聞いているほうとしては、それがこのSpeechの信憑性の根幹であるため、そこを明らかにしてくれなくてはそのSpeechに高い評価を下すことができないのです。

そういう場合は、「長年の経験を積んだ定年退職者を雇用することによって、ライバル企業にぐっと差をつけた」という「成功例」を示してあげることが有効です。例えば、「自分の父は長年自動車部品会社の金型エンジニアとして活躍してきたが、定年を理由に会社を退職した。父は現役でまだまだ働きたいと再就職先を探したが、年齢制限を理由に多くの会社で採用を断られた。ところが、定年退職者の再雇用に理解のあるA社は父の経験に目を付け、見事父は再就職を果たした。父は自分が持つ金型技術を遺憾なく発揮し、A社の部品の品質を高め、生産性を2倍にあげた。その結果、
父の担当するA社の部品の売上高は年率20%も伸びている。それだけでなく、父は若手金型エンジニアへの匠の継承に精力的に努めている。金型エンジニアというものは、自分が現役の最中は、若手に負けていられないと、自分が持つ特殊技能を隠したがる傾向にあるが、退職後は若手を育てることを楽しんでいるようである。A社の社長は、父の成功をきっかけにして、その後も技術を持った定年退職者を積極的に雇っている。それどころか、一度は再就職活動中の父の希望を蹴っ飛ばしたライバル会社のB社までもが、父にヘッドハントを仕掛けてくるほどである。もちろん父はB社に転職する気はないが、これをきっかけにB社は、年齢制限を撤廃し、定年退職者でも技能のあるものは積極的に採用するように方針を転換したようである」というような話を入れてあげるとどうでしょう。具体的な成功例を入れるとSpeechの真実味がぐっと増し、多くの聴衆の共感を勝ち取ることができるのではないでしょうか。

ちなみに、成功例を語るときのポイントは以下の通りです。
① 短期的利益の提示(部品の売上高の増加)
② 中長期的利益の提示(若者への匠の継承)
③ 波及利益の提示(A社の定年退職者の採用増加、B社の方針転換)


みなさんも自分が考えている案での成功例としてどんなものがあるのかを考えてみましょう。成功例があるのと無いのとでは、あなたのSpeechの評価がぜんぜん変わってくるのです。


Win


落選を経験したとき、どうしても負けを認めたくないという気持ちが働きます。自分のSpeechが落選したことに納得がいかずに、コメントセッションの時には、ジャッジ全員に何故自分のSpeechが落選したのかを聞いて回る人も多いと思います。もちろん、ジャッジから率直のコメントを引き出すことは重要で、自分が次に舞台に立つときに何を改良してか無くてはならないのかという指針をもらわなくてはなりません。しかし、「僕は君のSpeechのDeliveryが一番好きだった」というような類のコメントをもらった時、私達はどのように振舞うべきなのでしょうか。

その後の大会でも優勝できない人に限って、そういうコメントをもらうと、「やっぱり自分のSpeechが一番だったのだ。他の奴が優勝するのはおかしい」と憤慨し、
自分のSpeechの中にも書き直すべき点がたくさんあるのに、そこには目が行かなくなって、いつまでたっても未熟な我流を押し通そうとします。結局そういう人は、卒業まで一回も優勝できなくて、「あの人は評価してくれたのに」といういい訳だけが自分の胸の中に刻まれてしまうのです。

しかし、
本選ジャッジというのものは、「何故自分が勝てなかったのだ」としつこく迫ってくる学生には、適当にお世辞を言って追い払う傾向があるという事をよく覚えておくべきです。なんとかその学生に納得してもらってその場から立ち去ってもらうには、当たり障りのない事で褒め殺して、適当に満足させて帰ってもらうのが一番なのです。ですから、そういうお世辞はなんら具体性の無い美辞麗句を並べられたものに終始します。「君のDeliveryが一番だった」とか、「示唆に富んだContentsで私は一番好きだった」とか、それだけ聞いても毒にも薬にもならないフレーズばかりです。それを真に受けて、自己追求する意欲がなくなるのであれば、その人は一生かけても優勝することはできないでしょう。

最後に優勝する人は、ジャッジのお世辞を真に受けず、自分にはまだ改善するところがたくさんあるのではないかと、ありのままの自分の姿を見つめなおそうとします。もっと凄い人は、優勝しても満足せずに、更に自分のSpeechを極めようと決してあきらめることがありません。
この差は、Speech大会の優勝と落選という差だけに留まらず、社会人になった後にも大きな差となって現れてきます。そして不思議なことに、ここで一度ついてしまった差は一生かけても埋まらないのです。ですから、ジャッジからお世辞を受けたら、喜ぶのではなくてヒヤリとしなくてはなりません。そこで自惚れてしまったら、これから進化する自分の能力に、自ら垣根を作ってしまうことになるからです。