Drunk on Speech -12ページ目

Drunk on Speech

このサイトは慶應義塾大学英語会Chief of Speechだった作者が、今まで学んできたこと・感じてきたことを公開しているものです。

大学生向けのエッセイを次々と公開していく予定です。どうかみなさんのSpeech作りの参考にしていただければと思います。




わたしは本選審査員よりも予選審査員の方を好んで引き受けます。予選審査員は何十ものSpeechをテープで聞き、一つ一つコメントを書かなくてはいけないので大変骨が折れますが、その分だけSpeakerの役に立てばと毎期限られた時間を使って頑張っています。

そんな中、
いつも不思議に思うのが、予選審査員に対しては制限時間オーバーのペナルティーについて説明を怠っている大会がたくさんあるということです。しかし、現実には、7分を境にペナルティーを科す大会の予選においても、7分30秒や8分のテープを送ってくる人がたくさんいます。中には8分カットであるにもかかわらず、8分を超えるテープを送ってくる間抜けな人もいるのです。こうしたSpeechに対してはどのように対処したらよいのでしょうか。

本選であれば7分を超えたSpeechに対してはペナルティーが科されるはずなのに、
予選審査員にペナルティーに対する説明がないということは、予選では7分のSpeechも7分30秒のSpeechも同じ土俵で評価しても良いということなのでしょうか。そんな事があるはずがありません。

予選において制限時間を守らなくてもペナルティーが科されないのであれば、応募Speakerは制限時間はお構い無しに、カットのタイムぎりぎりまで内容を充実させて原稿を送って来るでしょう。そうすると、
内容が充実している分だけ、制限時間を守らなかったSpeechの方が、制限時間を守るために内容を切り詰めたSpeechよりも概して判定が有利になってしまうのです。

こういう事が起こらないように、
大会運営者は予め各々の応募Speechの時間を計測し、それをListにしてJudgeに渡すべきです。その上で、自分たちの大会の制限時間オーバーに対するペナルティーがどのようになっているかを説明し、予選の段階においても制限時間に対して公平な審査をしてもらうべきです。大会運営者は、予選審査のルールと本選審査のルールはそれぞれ一対一対応していなくてはならないということを今一度認識する必要があるでしょう。




Judgeをやっていていつも気になるのが各大会の制限時間に関するルールです。たいていの大会は7分を境にペナルティーが科されるようになっています。例えば、ある大会では7分を超えると15秒ごとに点数が10点ずつ下がっていって8分でカット、またある大会では7分を超えると15秒ごとに順位が一つずつ下がっていくといったものです。しかし、そうしたペナルティーにはそれぞれ不透明な点があります。

制限時間が過ぎると一定の点数が下がっていくというやりかたは、Judgeによって点数のつけ方のばらつきが大きい場合、ペナルティーが与える効果に差が出てきます。例えば、ちょっとしたSpeechの優劣に対して、5点の差をつけるJudgeもいれば30点の差をつけるJudgeもいます。5点の差をつけるJudgeに審査されたSpeakerには10点の制限時間オーバーのペナルティーは大きく影響してきますが、30点の差をつけるJudgeに審査された時は大した影響は出てきません。

また、
制限時間が過ぎるごとにランクを下げるという場合も、制限時間に関するJudgeの感応度の違いが現れる事が意外と多くあります。例えば、制限時間オーバーに対して許容度が大きいJudgeは、制限時間オーバーを加味した後の修正順位を見て、自分の気に入った制限時間オーバーのSpeechの順位を繰り上げてくれという事がよくあるのです。

要するに、Judgeによって制限時間オーバーのペナルティーに対する反応は人それぞれなのです。ですから、どのように時間オーバーのペナルティーを科していけば公平なのかという問題に対して、
何点減点、何位繰り下げというルールを作っている限り、答えを見つけることはできません。

これでは、各Judgeがペナルティーに対してどう反応するかを予測できない
応募Speakerは、制限時間を越えないように内容を削るべきか、少し超えても良いから内容を充実させるべきか、予め判断をつける事ができません。結局、制限時間を守るべきかどうかは博打的な要素が大きくなってしまい、「やっぱり制限時間を守るべきだった」とか、「あれだけ制限時間をオーバーしているSpeechが優勝するのはおかしい」などという不満が出てきてしまうこともよくあるのです。

このような事を無くすために、もっとシンプルに制限時間に対するペナルティーを組んではいかがでしょうか。
例えば、7分なら7分、7分30秒なら7分30秒で時間を区切り、そこまでは一切減点なし。しかし、それを1秒でも超えたら入賞の審査の対象とはならない、というようなルールを採用する大会があっても良いと思います。

このルールの良さはその明快さです。その制限時間いっぱいまでは何をやっても良いわけですから、Speakerは制限時間ぎりぎりまで内容を充実させようと、明確な判断に基づいて準備をすることができます。また、何秒超えたら何点減点というノリシロがないため、Judgeの感応度によって判定が変わってくるという影響を排除することができます。

制限時間オーバーに対する
ペナルティーを決める際の重要な要素の一つは、応募Speakerに対するわかりやすさです。7分を超えると減点云々というペナルティーを作っている限り、ペナルティーに対する不透明感は拭い去れません。そうであるならば、もっとよりシンプルに、「ある限度を超えるまではOK、超えたらNG」というわかりやすいペナルティーを立ててあげた方が、本選に向けて一生懸命準備に取り組んでいるSpeakerにとって親切であると思います。




プレゼントされる身でありながらこういう事を言うのは気が引けるのですが、毎回Judgeの御礼として渡されるものがクッキーというのは、そろそろ考え直してもよいのではないしょうか。

私は大学4年生のときにほぼ毎週Judgeをやり、社会人になってからも年に2回くらいはJudgeとして大会に足を運びますが、90%以上の確率でお礼として渡されるものがクッキーです。それも、
モロゾフ・風月堂・ヨックモックの3大ブランドでほぼ100%が占められます。

はじめは私がお土産として持って帰ってくるクッキーを満面の笑みで迎えていた家族も、さすがに毎週もらってくるのが同じブランドのクッキーの缶では、最後はあまり関心も示さなくなってしまいました。Originalityが求められるのがSpeechですから、Judgeのお土産にもOriginalityを込めてみても良いかもしれません。

私が一番思い出に残っているプレゼントは、大学4年生の初秋のころ、新宿から小田急線で90分ほどかけて辿り着いたところにある東海大学のキャンパスで行われたJoint大会でもらった高座豚のハムです。そのJoint大会を仕切っていた委員長は、
「毎回毎回お菓子がプレゼントでは飽きがくると思いまして」と言ってそのハムをくれたのでした。

私が驚いたのはそのハムの美味しさもさることながら、そのハムがキャンパスの近くの厚木で作られているということでした。厚木というと米軍基地と日産くらいしか思い浮かばなかった私にとって、戦闘機が飛び交う下でこんなに美味しいハムが作られていることにびっくりしたのです。その委員長は、
「せっかく遠路はるばる来て下さったので、地元のものが良いかと思いまして」と笑っていました。

大学4年生の頃はそれこそ年に30ほどのJoint大会でJudgeをやりましたが、正直なところ記憶の彼方に消えてしまったものもあります。Judgeとしては卑しい話かもしれませんが、
プレゼントが面白いものだとその大会の記憶も残るものです。単にデパートで恒例のクッキーを買ってくるのではなくて、Judgeの思い出に残る一品を選び出すのも、それはそれで結構面白いのではないでしょうか。何か良いものがないかと探しているうちに、実は自分のキャンパスの周りにはこんなに面白いものがあったのかと、新たな発見があるかもしれません。もらった人の記憶に残るようなプレゼントは、探し当てた人にとっても良い思い出となるはずです。




居酒屋の和民を展開するワタミフードサービスの渡邉美樹社長は、従業員一人一人の誕生日が来ると、その従業員のご両親に毎年花を贈るそうです。会社を運営してくれている従業員から、「こんな会社があってよかった。ありがとう」と思ってもらいたい。その願いから、毎日粉骨砕身の思いで仕事に取り組んでくれている従業員を育ててくれたご両親に対して、感謝の気持ちを花に込めて贈っているのだそうです。

Speech大会の実行委員会も、大会のパンフレットを参加者本人に送るだけでなく、参加者のご両親用のものも同封すると良いのではないでしょうか。日頃から夜遅くまでSpeech活動に取り組んでいる我が子の集大成を、是非ともこの目で見てみたいと思う親御さんの数は少なくないと思います。

また、
パンフレットと同様に、Speech大会の写真もご両親用のものを同封するサービスがあっても良いと思います。最近は、入学式以来、大学の行事の写真を全く撮らないまま卒業式を迎えてしまったということがよくあるそうです。息子・娘の晴れ舞台の写真をご両親に贈っておけば、きっと綺麗にアルバムの中に写真を整理してくれることでしょう。そして、アルバムの中の写真は、ご両親にとっても参加者にとっても一生涯の思い出となるはずです。

昔から聴衆の数の減少に悩む大会が非常に多くあります。ですが、
そう簡単に聴衆の数を増やすことなどできません。ですから、まずは来場してくれる可能性が高い参加者のご両親をターゲットにして、招待状とパンフレットを同封してみてはいかがでしょう。きっと多くのご両親が大会に足を運んでくれることでしょう。大会実行委員会は、参加者のご両親に一生涯の思い出を作る手助けをすることもできるのです。




大会の実行委員長は自校のESSの人心掌握もさることながら、他の大会の実行委員長との交流や意見交換も大事にしなくてはなりません。他の大会はどのようにマネージを工夫しているのか、どのように人脈を築いているのか等を日頃から話し合い、お互いに良いところを吸収しあって大会の質を高めていくのです。

それ故に、自校のESSの掲示板に他の大会のお知らせが書き込まれたときには、必ず何らかの形でコメントを掲示板上に書き込まなくてはなりません。
書き込みがあった事をきっかけにして、その大会関係者と交流をはじめるのも一つの手です。そして、そこではじまった交流が、お互いの大会に観客として顔を出すところまで発展すれば聴衆の数もぐんと増すはずです。

自分が大会のお知らせを他のESSの掲示板に書き込んだときに、何にも反応がなかったらどういう気持ちになるか想像してみて下さい。逆に、自分が大会のお知らせを書き込んだときにどういう反応があったら嬉しいかも考えてみると良いでしょう。

さあ、今すぐ自分のESSの掲示板を見てみましょう。誰かが大会のお知らせを書き込んでくれていませんか。もしもお知らせがあったら、
今からでも遅くないから返事をすぐに書き込みましょう。他の大会と交流を持つための鍵を、むざむざ捨てることはないはずです。