「大会に応援に行くのは大切だ」というのを聞いたことがあるでしょう。大会に行き、優れたSpeechを生で聞くことによって刺激を受け、ライバルを作っていく。どれも一人で図書館にこもりながらSpeechを作っている人にはできない経験です。
もう1つ大会に行ったらやってもらいたいことがあります。それは、それぞれのSpeechに対して、心の中で100個の批判を繰り出してみるということです。
ほとんどのSpeechは壇上に上がって席に戻るまで、QAを含めると大体11分くらいかかります。秒数にすると660秒ですから、6.6秒に1個の批判を作らなくてはなりません。これは本当に頭を使うのです。
まず壇上への上がり方はどうか。挨拶の仕方の感じが良いか。イントロは面白いか。内容に深みがあるか。エンディングは心に余韻を残せているか。QAでの受け答えはどうか。退場する時の姿勢はどうか、等々。多くの毒舌を心の中でSpeakerにぶつけるのです。
重要なのは、「俺だったらこうするのに」、「私だったら違う考え方をするのに」という事を必ず同時に考えるということです。批判だけなら誰にでもできます。批判するからには常に自分の代替案を提示しなくてはなりません。批判とは考えることなのです。
こんなことを言うと、「Speakerに対して失礼ではないか」と言う人がいます。しかし、よく考えてみてください。1つの大会は平均して10人くらいのSpeakerが登場します。ですから代替案を1000個作らなくてはならないのです。これは一つ一つのSpeechに一点集中していなくてはできない仕事です。つまり、観客の中でそのSpeechを一番親身に聞かなくてはならないのです。
中には、批判したくても批判できないところがあります。それがそのSpeechから盗むべきことです。批判したくてもできなかったという悔しさを体感した人こそが、そのSpeechを堪能することができるのです。
頷くだけならサルにもできます。しかし、批判して考えることは人間にしかできません。
『勝利のために14』
批判して堪能する
