宮城県産ドラマー、石川洋のブログ。 -3ページ目

宮城県産ドラマー、石川洋のブログ。

宮城出身、都内中心、全国で活動中のドラマー、石川洋のブログです。ライブサポート、レコーディング、ドラムレッスン等行っています。

 

5/16

 

手術の翌朝は、朝起きて、朝ごはんを食べて、診察、薬をもらって精算をして帰るという流れでした。

 

 

ここから数週間は右耳にジェル的なやつが入ったままなので、耳がどうこうではなく物理的に殆ど音が聞こえない生活なのですが、これが想像以上に不便でした。

 

病院内はなんとかなったのですが、会計が終わってから外に出たら物凄い違和感。

 

目の前を車が通過したのですが、音がどっちから来てるか分からない!

 

とりあえず落ち着くべく、約24時間ぶりの、人生でも7番目くらいにおいしかったタバコを吸って車で帰路へ。

 

 

普段は意識しないですが、人間は左右の耳で聞く音の差で、その音がどっちから来ているか判断しているんですな。

 

しかも単純に聞く力も半分なので、聞こえる音量も体感的には半分くらいでした。

 

自分でこんな状態なのに、治らない難聴だったり、全く聞こえない方々は本当に大変だなぁと思い知らされました。

 

帰りの運転の時はかなりヒヤヒヤで、事故らないように他の車とかバイクの音聞くために窓全開で帰りました(笑)

 

これは慣れるまでしばらくかかりました。

 

 

で、無事帰宅しまして、とりあえず点耳薬や飲み薬を開始。

 

無事帰ってきたからか、眠気に襲われたので小一時間昼寝でもするかー、と思ったら4時間ほど爆睡してました。

 

体、疲れてたんだな。

 

その日からシャワーは可能なのですが、しばらくは傷口を濡らさないように髪を洗えという無理ゲーな注文が。

 

耳用の簡単なカバーみたいな物を買いました。

 

なるべく頑張りましたが、ま、無理ですよね(笑)

 

 

そしてふと鏡を見ると、あれ?おれ殴られたの?という感じのこめかみ辺りの腫れが。

 

しかも右目の周りがアイシャドーでもしたかのような紫の縁取りに。

 

これは予想外でしたが、考えてみればそりゃ肉を無理やり剥がしたりしてんだから、腫れや内出血ぐらいは出ますわな。

 

撮影の仕事を手術前にしておいてよかった…

 

 

この日からしばらくは、寝る時に右耳を下にしないように注意しながら頑張って寝るのでした。

 

 

 

5/17

 

そして何も考えていない自分は、その翌日(手術2日後)から普通にレッスン仕事を入れていました。

 

おれの「どーにかなるだろ精神」はきっと死ぬまで治らないのでしょう(笑)

 

レッスン自体はなんとかできたのですが、片方聞こえないのにもう片方で爆音を聞くと、どうも耳というか脳みそというかが凄く疲れました。

 

 

なので、翌日から聞こえる方の耳に耳栓をして臨むと、両方耳栓をしているような感覚で聞けるので、それからはしばらくそれを採用していました。

 

 

 

5/20

 

そして手術4日後にしてライブ仕事。

 

ちなみに術後数週間は汗をかいてはいけませんというこれまた無理ゲーがあったので、サーキュレーターを持ち込んで風を浴びながら演奏しました(笑)

 

聞こえる耳に耳栓をしているので、全体的に音が遠くは感じるものの、思っていたよりも演奏に支障はなさそうで一安心しました。

 

最悪聴力が改善しない場合も想定していたので、ひとまずこの状態で演奏ができたことには本当に安心しました。

 

 

 

5/21

 

その翌日には抜糸の為病院へ。

 

縫合した箇所は良い感じということで、手術の際の細かいお話やら、今後のざっくりとした治っていく過程のお話を。

 

まずはこの2週間後に詰め物が取れるので、そこまではまだ片耳生活。

 

 

 

6/3

 

で、ドキドキしたりワクワクしたりしながら過ごすこと2週間、前日の夜にはやっと詰め物が取れるとワクワクしすぎてほぼ寝れず(取る夢まで見た)、いざ病院へ。

 

順番待ちをして、自分の番になり診察室へ。

 

名前は分からないけど、吸引するマシーンで少しずつ詰めものを取る(これもかなりうるさい)。

 

そして一番奥の詰め物が取れると、吸引マシーンがすんごいうるさい。

 

ん?すんごいうるさいということは、めっちゃ聞こえてるなと思い、吸引が終わってみると、病院内のノイズや先生の話がちゃんとステレオで聞こえる!!

 

想像より遥かに聞こえて、感動!!

 

例えば音の鳴る物を右耳の側と左耳の側にそれぞれ近づければ違いはあるけど、離れたものを両耳で聞く分にはほぼ問題なし!

 

この時点でも、体感的にはほぼ手術前くらいの聴力に戻っている感じ。

 

ここから傷や鼓膜が乾燥して行けばもっと良くなる可能性が高いとのこと。

 

いやー、本当に素晴らしい先生、チームの病院を選んでよかったーと安心しました。

 

外に出て右耳で風の音が聞こえた時は感動しました。

 

 

 

6/24

 

手術から1ヶ月半、詰め物を取ってから3週間。

 

経過観察兼、術後初の聴力検査の為病院へ。

 

元々の鼓膜と貼り付けた筋膜の境目が分からないくらいきれいに繋がってますと。

 

きっと普通の耳鼻科に行っても、手術したと言わなければ分からないくらいですよと。

 

傷もきれいだし、とても順調に回復しているとのお言葉。

 

前回の診察からこの日までの間、やはりイヤホンやヘッドホンで集中して音を聞くと、左に比べるとやはり右の方が若干低域と高域部分が聞き取りにくい気はしていました。

 

日常生活での会話等は中域が聞こえれば問題ないのでそこは大丈夫だったのですが、やや気にはなっていました。

 

しかし手術前から少しその感じはあったので、さほど気になるレベルではありません。

 

検査の結果としては、125ヘルツから2000ヘルツまでは全ての周波数にて改善、もしくは同等で、2000ヘルツから8000ヘルツまではほんの若干手術前よりも落ちているという結果でした。

 

ちなみに手術前の右耳が、

 

3分法で21.7dB、4分法で22.5dB、6分法で19.2dB

 

でしたが、この段階では、

 

3分法で16.7dB、4分法で16.3dB、6分法で16.7dB

 

まで改善しています。

 

分かりやすい説明のページがありましたので、以下にリンクを。

 

https://kikoeaid.com/audiogram/

 

 

ちなみに、聞こえのレベルとしては

 

  • 正常な聴こえ
    20 dBHL 程度の小さな音も聞こえます。
  • 軽度難聴
    良聴耳での聴力レベルが25~39 dBHL
    騒がしい環境での会話の聴き取りが難しくなります。
  • 中等度難聴
    良聴耳での聴力レベルが40~69 dBHL
    補聴器を装用しないと、会話の聴き取りが難しくなります。
  • 高度難聴
    良聴耳での聴力レベルが70~89 dBHL
    高出力補聴器の装用が必要になります。
  • 重度難聴
    良聴耳での聴力レベルが90 dBHL以上
    読唇や手話を使うか、人工内耳の装用が必要になります。

ということなので、手術前の右耳はもう少しで軽度難聴、術後は正常の範囲に収まっているということになります。

 

ちなみに左耳はというと、全体的に地獄耳です(笑)

 

 

 

真珠腫を取り除くということが第一目標で、聴力改善というのはその次の目標なので最優先ではないという部分を踏まえれば、この段階でも十分に手術に踏み切って良かったと思える結果でした。

 

診察の際も違う先生が担当の日でも、わざわざお忙しい教授がほぼ必ず様子を見に来て下さったりして、やはり仕事が音楽な人間の手術なんてあまり無いと思うので、大分気を遣って頂いているんだなぁと感じました。

 

イヤモニに関しては、本当はもう少し使用するまでは間を空けた方が望ましいとのことでしたが、どうしても使わなければならない場合はイヤモニと耳を清潔な状態にキープしながら使えばよしとのお言葉。

 

患部を清潔にすることもそうなのですが、まだ周辺の傷や骨が治りきっていない為、あまり刺激を与えると外耳道の形が変わったり、変な突起が出来たりする可能性があるとのことでした。

 

この段階ではまだ腫れが引ききっていないこともあり、手術前よりイヤモニがきつい状態だったのですが、大体半年くらいかけて安定してくると、恐らく少し広がるのではないかとのお話でした。

 

なのでもし耳型を取り直して作り直すとしても、最低半年後以降ということになりました。

 

耳を掃除して頂いて終了。

 

9/13

 

術後4ヶ月の経過観察と聴力検査。

 

ここまでの段階でイヤモニを使う仕事もしていましたし、それに伴った問題も特に無く、いわば通常営業だったので、個人的にはもう何も問題ない状態でした。

 

聴力検査はというと、3分法、4分法、6分法においては前回よりも数dB改善していました。

 

しかし8000ヘルツのみ前回よりスコアが悪かったのです。

 

それに関して話を聞くと、数dB程度は検査でいうと誤差の範囲内なので、そこまで気にしなくても良いですよと。

 

実際仕事してても特に高域が聞きにくいとは感じていなかったので、あまり気にしないことに。

 

この日も耳を掃除して頂いて終了。

 

 

11/29

 

術後半年の経過観察。

 

この日は聴力検査は無いので、診察と掃除のみだったのですが、若干の異変。

 

イヤモニをする時にまれに何か痛いなーという時があったのですが、なにやら軟骨か何か硬いものが表面に出てきている様。

 

とりあえず今すぐ切ったりする必要は無いし、また切ったりしたらしばらくイヤモニ使えなくなったりするので、次回までとりあえず様子見に。

 

あまりに邪魔になったらどうするか考えますが、今のところはほぼ気にならない状態。

 

 

 

 

 

ということで現時点までの状態を時系列で書いてみました。

 

ながっ(笑)

 

とりあえず次のブログで今回思ったことやこの病気に関して注意すべき点等まとめを書いてひとまず終わりにしようと思います。

 

長文読んでくださった方は、ありがとうございました&お疲れさまでしたm(__)m

 

 

はい、メリークリスマース!!!!

 

もとっくに過ぎましたね…。

 

 

 

 

前編からどんだけ空くんだよ俺。

 

絶対書く時間あっただろーがボケ。

 

 

 

…すいません…(笑)

 

 

 

さて、想像以上に前編が長くなったので後半もどうなるのか不安ですが(笑)、ひとまずこれは後編として時系列で続きを書いて、別でまとめを書きたいと思います。

 

まとめだけ読めばなんとなくのことは分かるようにしたいので、文章なげーよ!そんなディテール興味ねーよ!という方はまとめだけでも読んで頂ければ(笑)

 

手術の部分では多少痛い表現があるかと思いますので、苦手な方はパスしてくださいm(__)m

 

 

 

 

手術に備えて仕事の段取りを組んだり、高額療養費の限度額適用認定証をもらったり、不安を紛らわすために色んな体験記を読んで落ち着いたり逆にびびったりして(笑)過ごしました。

 

前々日から前日は泊まりでPV撮影のお仕事だったのですが、昨今のミュージシャンは仕事でイヤモニと言ってイヤホンから楽器や歌や色々な音を返してもらってそれを基準に演奏することが多々あります。

 

イヤモニを使わない仕事であればなんとかなるのですが、耳を手術してしまったらしばらくはイヤホンは装着不可能になるのでイヤモニを使うお仕事がひと段落するタイミングでの手術となりました。

 

 

5/15

 

当日は朝8:00以降は絶食、10時からは水分もNGで、12時に病院に行って入院手続きをして、順番が来たら手術という流れ。

 

なので苦手な朝食を8時まで無理やり食べ、10時までに、いや、実は11時、もしかしたら11時半くらいまでコーヒーを飲み、車で11時58分くらいまでタバコを吸って病院に到着。

 

念の為コンビニでゼリーやおやつを持参。

 

書類を出し、なんだかんだ手続きをして病室へ。

 

こちとら心の準備というものが必要なので、「大体何時くらいになりそうですかね?」と看護士さんに聞くと「その日の患者さんの手術の内容や難易度で順番が変わったりするので、うちの先生は直前の人になるまで分からないんですよー」と。

 

死刑囚か!と心で突っ込みつつ、ちょうど前日からの疲れで眠かったのでうとうと。

 

ちょいちょい目覚めては時計を見るが、一向に呼ばれる気配は無し。

 

8時から何も食べてないから腹も減ってきた。

 

人間腹が減ると不機嫌になるもので、「あーくそー、腹減ったー、やるなら早くしてくれー、タバコすいてー」等と心の中でぶーぶー言いつつ、やっと呼ばれたのがびっくり18時前(笑)

 

手術じゃなかったら、本気で帰ってた(笑)

 

 

話を聞くとどうやら自分が本日のラスト患者だそうです。

 

手術室に到着し、色々と談笑しながら話を聞くと、手術の件数が日本でもトップクラスに多い為に平日は基本終電近くまで、たまに終電後まで手術があるらしく、それでも朝には出勤しなければいけないというハードなチームなようでした。

 

それでもミスが許されないというのは大変な仕事だなーと。

 

ある意味我々ミュージシャンと同じですな(笑)

 

 

 

で、体や手足を拘束され、まずは麻酔。

 

耳の裏側にブスブスと、耳の中にブスブス。

 

耳の中に針刺すのは、サンドバッグを殴りたくなる程度には痛かったです(笑)

 

麻酔が効いたのを確認して、手術開始。

 

 

なるべくソフトかつ短めに表現します(笑)

 

まずは耳の後ろに沿って切開、からの骨から肉を剥がしーの、出てきた骨にドリルや電気メスで穴をあけーの、が前半部分です。

 

この時点で、今までどんなライブ会場でも聞いたことの無い爆音が右耳に鳴り続けます(笑)

 

爆音や、電気メスで自分の漕げたような匂いがしたり、初体験だらけです。

 

で、あんなことやこんなことをして穴を開けたら、鼓膜の内側に袋状に入り込んでいる真珠腫を取り除きます。

 

 

 

人間の耳がどうやって音を聞き取るかという仕組みの話になるのですが、まず空気の振動が鼓膜に伝わります。

 

鼓膜からそれが耳小骨という3つの小さい骨を伝わって、蝸牛という所に伝わり、そこから脳へと伝わるそうです(ざっくり)。

 

で、真珠腫は骨を破壊して進むので、その耳小骨が破壊されると鼓膜からの振動をうまく伝えられなくなり、難聴になるという仕組みなのです。

 

 

耳小骨というのは人体で一番小さい骨らしく、それがどの程度どういう風に損傷しているかは開けて現物を見ないと難しいらしく、ここで初めて損傷具合が分かるわけです。

 

 

自分のケースでは、鼓膜側から1つ目と2つ目の骨がだめになっていました。

 

思っていたより進行していたようで、「それにしては聴力がそこまで落ちてないなー」ということでした。

 

後で聞いたのですが、これはまれにあるケースらしいのですが、ダメになった骨の代わりに、うまいことカッチカチの真珠腫が振動を伝えていたそうで、聴力が良かったそうです。

 

ここまで進行していたら、本当ならもっと全然聴力は落ちているそうなので、そうなっていたら発見ももう少し早かったのかなぁ…とも思いましたが、まあドンマイおれ。

 

 

で、ダメになった2つの骨の代わりに人工の耳小骨を入れます。

 

幸い3つ目の骨がまだ比較的良かったので、そこを土台に使えたそうです。

 

そして袋状の真珠腫を切り取ったので、穴が開いた鼓膜の部分に自分の筋膜を貼り付け。

 

 

この人工の骨をちょっと触るだけでハンマーで頭を殴られたような爆音が響くし、味覚の神経にちょっと触るだけで舌がビリビリするし、人間の体って凄く緻密にできてんだなーと関心しました。

 

 

手術中は聞こえを確認する為にずっと音楽が流れていて、最終チェックでなんとなくの聞こえを確認するのですが、正直手術の爆音を聞かされすぎて正確に判断できる気がしませんでした(笑)

 

とりあえず「左に比べると高音が聞こえてない気がします」と言うと、「じゃあさっきのより薄い膜をつけてみましょうか」と調整してくれ、それで少し改善しました。

 

 

他にも手術中は色々あったのですが、長くなるのではしょります(笑)

 

微調整をしてもらい、開けた所をあんなことやこんなことをして塞いでもらい、最後に耳に血液を吸うジェルのような物をぎっしり詰めて、終了。

 

21時半。

 

なるべくリラックスして臨んだつもりでしたが、やっぱり緊張してたから気を張ってただろうし、飯も食ってないしでどっと疲れが。

 

起き上がるとふらふらしたので(三半規管触ってるので)、車椅子で病室まで。

 

看護士さんが気を利かせて晩ご飯を取っておいてくれたのですが、なんと自分が苦手な食べ物だったので、一人消灯後の暗い待合室で昼間に買ってきたゼリーとポテチを食べました(笑)

 

 

ああタバコ吸いたいなーと思ったのですが、もう警備員さんがいて外には出られないというので翌朝まで我慢。

 

 

とりあえず疲れてるし寝るかーと思ったのですが、麻酔が切れてきたのか耳の奥に割り箸でも突っ込まれてるのかという痛みが襲ってきたりして寝れず(書いてたら思い出して痛い)、看護師さんを呼んで痛み止めを点滴に入れてもらったりしつつ、たまにウトウトしたりして朝に。


 

とりあえず手術当日はざっくりこんな感じ。

 

翌日以降へ続く…(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またすっかりご無沙汰です。

 

昨日から今日にかけて凄い台風でしたね。

 

被災された方々が少しでも早く日常を取り戻せるように祈ります。

 

 

 

さて、不要な心配をされないように結論から書きますが、真珠腫性中耳炎という病気にかかり、5月に手術をしました。

 

今は全然大丈夫です。

 

途中で書こうかなーと思ったのですが、ひとまずひと段落してからの方が皆様にご心配をおかけしないかなーと思いまして今になりました。

 

 

 

みなさん、そんな中耳炎を聞いたことあるでしょうか?

 

自分はありませんでした。

 

普段聞かないということは、中々マイナーな病気なのではと思います。

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真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん, cholesteatoma)は、中耳炎を繰り返すうちに一部の上皮組織が球状に増殖して耳の周りの骨を破壊する病気のこと。

球状に増殖した上皮組織は真珠のように見える事から真珠腫と言う。腫瘍ではない。真珠腫は上皮が存在しないはずの鼓室内に、何らかの原因で上皮細胞が侵入して増殖したもの。先天性の真珠腫は、表皮芽が鼓室内に入り込んで増殖したもので、鼓膜とは直接の関係がない。後天性の真珠腫は、鼓膜の上皮が鼓室内に侵入したもので、鼓室内の減圧状態が続いたことが原因となるケースと、鼓膜に開いた穴が原因となるケースがあって、いずれも鼓膜と真珠腫がくっついている。

 

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wikipediaより

 

 

簡単に言うと、一度真珠腫というのが出来るとその近辺の骨を破壊したり神経にダメージを与えたりしながら進行していき、ずっと放置するといずれ脳まで進んで、最悪の場合死ぬというケースもあるという病気です。

 

この度自分がその病気に罹って手術をしたわけですが、これは意外とみなさん知っておいて損はしないんじゃね?と思ったので、情報共有及び自分の備忘録としてブログに書いておこうと思いましたので、書きます。

 

 

まず異変に気づいたのは去年の今頃だったと思います。

 

これも良くなかったのだと思いますが、自分は眠りが浅くちょっとした音でも起きてしまうので、寝る時には耳栓が必須でした。

 

ある朝起きて耳栓を外すと、右耳からツーッと透明に近い液体が垂れてきました。

 

「ん?」

 

と思いましたが、きっと耳かきか何かで中に傷がついて出てきたのかなと思い、耳栓を新品にしたりしてなるべく清潔にしつつ様子を見ていました。

 

これもまた良くない習慣だったのですが、ミュージシャンという職業もあり、耳は限りなくキレイにしておきたい→毎日耳掃除をするという習慣がありました。

 

これは耳にとって良くないので、毎日やっている方は我慢しましょう(笑)

 

 

それでしばらく様子を見ていたのですが、だんだんその液体が黄色くなってきまして、膿っぽい色になってきました。

 

これはちょっとよろしくないなと思い近所の耳鼻科に行くと、

 

「外耳道に傷があり、そこが腫れて出血しているので、まずは抗菌の点耳薬をしばらくさして様子を見ましょう。」

 

とのこと。

 

それと「理由は分かりませんが骨に穴があるのと、鼓膜が両方とも内側に凹んでいます。中耳炎だからかもしれませんが、なるべく鼻をかんだり通気ができるように気をつけてください。」と言われました。

 

 

それで2週間くらい様子を見て、再度診察へ。

 

そこで、

 

「腫れていた部分が引いて分かりましたが、外耳道の奥に空洞があります。恐らく真珠腫かと思いますが、新しいものかどうかは分からないので今すぐ何かをする必要はないので、様子見で良いと思います。」

 

と言われました。

 

 

一旦耳だれ(耳からの液体)が止まったのでそのまま2ヶ月くらい過ごしていると、また年末から今年の年明けくらいに耳だれが。

 

再度耳鼻科へ行くと

 

「治りきっていなかったのかもしれないので、また違う点耳薬で様子を見ましょう。」

 

と。

 

 

この辺りから少し心配になり、真珠腫というものについて調べたりし始めました。

 

まず気づく症状として多いのは、耳だれと難聴らしいということ。

 

難聴?と思い考えると、確かに左右の聞こえの差は前から少しだけ気になっていて、でもそれは聞こえる音量が違うというよりは左と比べて聞こえる周波数帯が少し違うという印象だったし、イヤホンのはまり具合や、耳の中の形の違いで響きが違うのかなぁ?と思う程度で、仕事にも差し支えないレベルだったのであまり気にはしていませんでした。

 

 

新しい点耳薬が効いたのか耳垂れが止まり、再度耳の中を診てもらうと、明らかに以前見せてもらった時よりも穴が広がっていました。

 

それを指摘すると、「確かに大きくなっているので、念のためCTでどこまで穴が進んでいるか見て、今後の方針を決めていきましょう。」と。

 

 

この時点で個人的には「?」と思うポイントが結構増えてきており、お医者さんからしたらめんどくさい患者なんだろうなーと思いつつも、耳は仕事に直結するとても大事な部分なので自分なりに色々調べたりして質問を結構しました。

 

例を1つ挙げると、鼻をすする癖についてです。

 

真珠腫について調べていると、日常的に鼻をすする癖がある人はそれが原因の場合が多いというのが定説のようで、それに関してはかなり断定的に書いてある記事も多かったのです。

 

自分は小さい頃から周囲の全ての音や自分の声がうるさいと感じることが多く(恐らく耳管開放症or狭窄症)、その聞こえを鼻をすすったりすることでずっと調整していました。

 

あくびをして聞こえがボワーンとしたり、自分の声が大きく聞こえたりする状態がずっと続いているような感じと言えば伝わるでしょうか。

 

普通はそこで唾を飲んだりすれば聞こえが戻るらしいのですが、自分は戻らなかったので鼻をすすって調整していたというわけです。

 

記憶に無いくらい昔からのことなので、それが当然だと思っていたし、みんなそんなもんなんだろうと思っていました。

 

鼻をすするということは鼓膜が内側に引っ張られるということです。

 

逆に鼓膜を外側に押し出すのが耳抜きです。

 

鼻すすりが原因で鼓膜が常に内側に引っ張られると、中耳炎にもなりやすく、真珠腫を作る原因にもなるということです。

 

この説を沢山見てから、自分の中では凄く一本筋が通った感覚がありました。

 

昔から鼻はすするし、中耳炎は多かったし、これに間違いないだろうと。

 

 

 

なので先生に「鼻すすりが原因という記事を結構見まして、自分もその癖があるのですが関係ありますかね?」と聞いてみると「いや、全然関係ないと思います。」と。

 

 

そのようにいまいち釈然としない部分があったり、様子見で大丈夫でしょうということだったのに2ヶ月で穴が結構大きくなったこともあり、CTの判断がどちらに転んでもセカンドオピニオンを聞きに別の病院には行こうと思っていました。

 

 

CTの結果としては

 

「現状すぐ手術が必要ではないと思うので、数ヶ月に一度定期的に診察をしていけば大丈夫かと思います」

 

との結論でした。

 

 

 

しかし、

 

1. 2ヶ月で進行して穴が大きくなったのに数ヶ月に一度の診察でよいのか。

 

2. 普通の傷と違い、破壊が進んだ骨は戻らないので、今後どんどん穴は広がる一方。

 

3. 釈然としない部分がいくつかある。

 

ということで、紹介状を書いてもらい他の病院でセカンドオピニオンを聞かせてもらうことに決めました。

 

 

個人的な知人の先生何人かに相談したりしてお勧めの先生を伺ったりしたのですが、距離的に通院が厳しかったり、耳鼻科も専門が結構細かく分かれているとのことで、都合が合わず。

 

どうしようかなーと自分でインターネットで色々と調べていた際に、真珠腫に関してのスペシャリストの先生を発見。

 

評判もとても良く、手術数も日本トップクラスの某大学病院で診察を受けることにしました。

 

割と慎重に先生を決めたのですが、理由として、手術になった場合の成功率、改善率があります。

 

進行具合にもよりますが、手術になると耳の中をいじる手術が必要でして、かなり繊細だそうで。

 

一説によると30年位前だと真珠腫の手術をして日常レベルまで聴力が回復することはレアで(第一目的が真珠腫を完全に取り除くことで聴力改善はその次という位置付けの為)、ここ30年くらいで聴力改善に関しては技術が上がってきていると。

 

その時の聴力検査では右耳が軽度難聴になるかならないかのラインだったのですが、色んな方の手術体験記を読んだりすると、手術後にさほど改善しなかったり、悪化したりというパターンも結構見受けられたので、手術の経験が豊富であるに越したことはないだろうなと判断したのです。

 

 

 

これが4/3で、「大学病院なんて行った事ないけど、診察は数ヶ月先とかになるんでしょー、しかも人気の先生とかだったらもっと先なのかなー」と思いつつ電話をすると、なんと4/22に診察可能だと。

 

はやっ!と感激し、予約。

 

 

そして22日の診察の日を迎えました。

 

 

聴力検査、味覚検査(神経の破壊が進んでると味覚が狂うらしい)等を終えて、いざ診察室へ。

 

 

CTを見たり、検査結果を見るなり先生は、

 

「これは即手術した方がいいですね!」

 

と(笑)

 

 

理由としては、穴の進みが気になるのと、放置しても改善しないということ。

 

凹んだ鼓膜が袋状に内側に入っており、そこは掃除ができないので、いつ再発するかも分からないということ。

 

これ以上進むと、味覚障害、顔面麻痺、最悪死ぬ可能性があるということでした。

 

 

音楽を仕事にしているということもあり、これ以上破壊が進む前に今のうちに手術をした方が良いでしょうと。

 

 

例の鼻すすりの件を話してみると、「それが原因で間違いないですね。もう絶対しないでくださいね。」と。

 

なんかバイブスというのでしょうか(笑)、直感的に「この先生なら信頼できるな」という感じがしたので、その場で手術することに決めました。

 

この段階で8月に父親になるであろうことは分かっていたので、その前にやっておきたいなというのもあったので。

 

 

で、「5月は予定どうですか?」と聞かれ、心の中で「展開早過ぎじゃね?(笑)」と思いつつ予定を見ると、ライブの予定的に6月の方が良さげだったので、「6月じゃまずいすかね?」と聞くと、「その一ヶ月は大きいと思うよ」と言われたので、5月でうまく予定を調整する方向に(笑)

 

ここを選んだもう一つの理由なのですが、病院によってこの手術は全身麻酔で1週間くらい入院するパターンと、局所麻酔で1泊2日のパターンが多く、ここは1泊2日だったのです。

 

局所麻酔で頭蓋骨に穴を開けるなんてちょっと想像するとアレでしたが(笑)、聞こえの調整をしながら手術できるというメリットがあるので、それもポイントでした。

 

ちょうどうまい具合に1泊2日予定はまりそうだったので、5月15日に手術をすることで決定しました。

 

その後、入院用の血液検査やら何やらを終えてその日は帰宅。

 

話が進展して少し一安心したのと、「あー、頭に穴あけんの痛そうだなー」というのとで複雑でした(笑)

 

 

長くなったので、ひとまず前半はここまででm(__)m