小鬼はそこそこ捕れるのだが,
1.5キログラムを超えてくる大鬼は掛けても,
針が外れやすく,途中バラシに唇を噛むことが多い.
そういう意味では,大鬼一本狙いは,
難しいターゲットであることを承知しながらも,
ここ最近の2年間,
思うような結果がついてこず,
悶々とした釣行が続いていた.
今日こそは,という期待と,
今日もダメかも・・という不安が
漆黒の海原を前に交錯する.
長年の“‘迷い”は,船長の
『針を掛けにいくのではなく,魚を反転させろ!』
の一言で,霧が晴れるようにスッキリとした.
「嗚呼,それ故のネムリ針だったのだ・・」
閃(ひらめ)けば,実践あるのみ.
そして,
瞬間(とき)は来たれり.
大鬼特有の微細魚信は捉えた・・
相手の反応を感知しつつ,間合いをはかり,
然るべきイメージを描きながら徐々に“圧”をかけていく.
“圧”はゆっくり,そして柔らかにかけていくイメージ.
口にした獲物が,
“生”を求めて逃れゆくイメージ・・・
多分,それでいいのだと思う・・・
そうすると,
『あっ!反転した!』と,
今までとは違う情景が,
200メートル超の海底から,
竿先を通して伝わって来る.
『なるほど,こういうことか!』と胸が高鳴る.
ネムリ針の特性により,
切っ先は大鬼のかかるべき口角の“点”を射ることに.
今後のさらなる検証が必要ではあるが,
総じて,能動的に釣り針を掛けにいかないイメージ.
そして,
海面に浮上したのは,
実に3年ぶりにまみえる堂々の大鬼,2.0 キログラム!
この日,間違いなく一歩前進した.
先は先で,次なる迷いの出現は自明.
しかしながら,とりあえずは
“自らを前進せしめた”という現時点での確信を素直に歓びたい.

