第一印象は確かに大きな因子ですが・・・ | 精神科医:みえしん院長

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おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックのドクター臼井ですニコニコ


三重心身クリニックでは一般の保険診療とは別に、カウンセリングも行っております。
通常の保険診療に比べて、定期的、継続的に面接の時間・場所・相手が保証されるのが特徴です。
臼井卓士のブログ
カウンセリングとは、話すこと―「対話」によるこころのケアのことです。
私は、メンタルヘルスに対しては、医師による診察・薬の処方だけではなく、カウンセリングも大切だと考えている精神科医です。


少し前の記事で、第一印象は大切ですが、それだけにとらわれないよう意識することも重要とお伝えしました(→過去記事1 )。


何人かの方から、「でも第一印象はやっぱり正しいですよ」というコメントをいただきました。確かに当っていることも多いでしょう。でもほとんどの場合その第一印象は「信じていたがそういえば第一印象は、悪かった・・・直感を信じていればよかった・・・」と、長い付き合いを経てその相手の悪い現実が見えてきた結果と言えるでしょう。反対に「最初は胡散臭いと思っていたのに、実はすごい人格者だった」ということもあるはずなのですが、前者のパターンの場合「裏切られた」「だまされた」というニュアンスが強くなるので、「嫌な思いをした」分、記憶に強く残るので、「第一印象は大切」という教訓となるのかもしれません(→過去記事2 )。


それに関連して、補足します。今まで述べてきたように、第一印象は決して絶対正しいものではありません。さらに、「人間は不変ではない」ということにも注意しなければなりません。


私はかつてクライアントの家族相談や人間関係の相談(夫や姑、息子、会社の同僚・先輩・上司・・・)もカウンセリングで行ってきましたが、その時よくお伝えしてきたことは、他者に関し、

「人は確かにある一定の期間に限定すれば一貫した性格特徴や行動パターンがありますが、長い期間でみると、それぞれの環境条件に適応して生きていくもの」
ということです。
人は不変の存在ではないのです。御兄弟や御両親、あるいは昔の友人・・・たとえば数カ月、場合によっては何年ぶりに会った場合、「昔とは雰囲気が変わったな」と感じることってないでしょうか。また植物もそうですが、栽培する環境によってもずいぶん変わってきます。
同じ松の木でも、庭の松と、山の松、海岸の風の強いところの松ではずいぶん異なります。


私はかつて遺伝子の研究をしていたことがあるので ちょっと遺伝の話も加えると、遺伝子が全く同じである一卵性双生児で、片方がうつ病になってしまった場合の、もう一人がうつ病になる確率は30~50%という結果もあります。これは遺伝がすべてではないということを示しているのですが、遺伝子が全く同じ人物であっても、人が成長し、人格を形成するプロセスで、大幅に変わってくることを示しています。

「人は変わる」
のです。
第一印象は大切ですが、それだけを頼りに人を判断すると誤りを犯すもとになります。
私は、よく後輩に指導していたのですが、人が変わるものである以上、私たちは、生涯にわたって努力し、向上を怠らないことが肝要と言えるでしょう。

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先日、スタッフからご両親が丹精込めて大切に育てられた薔薇とかすみ草をクリニックにいただいたのですが(→関連記事)、診察室にも飾ってもらいました。
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