おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックの臼井卓士です。
三重心身クリニックでは一般の保険診療とは別に、自費によるカウンセリングも行っております。
通常の保険診療に比べて、定期的、継続的に面接の時間・場所・相手が保証されるのが特徴です。
さてカウンセリングとは、話すこと―「対話」によるこころのケアのことです。
私は、医師による診察・薬の処方だけではなく、カウンセリングも大切だと考えている精神科医です。
前回は自己変革に関し、モデリング、代理学習などについてお伝えしました。モデリングは、「時間の節約」「試行錯誤の短縮」「不安の軽減」「結果の予測」というメリットがあり、新しい適応的な行動パターンを獲得したり、今までの不適応な行動パターンを変化させるために有用でしたね。(→過去記事 )
さて、カウンセリングで大切なものに「ラポール」があります。特に初回~数回目のカウンセリングではそれが主たる目的と言っても過言ではありません。
はじめてこの言葉をお聞きになる方も多いと思います。意味は、信頼感とか信頼関係を作ることで、よく「ラポールを形成する」「ラポールがとれる」というような使い方をします。実際にはそのプロセスも重要です。またそこから派生して、相手の反応を引き出す能力のことを指す場合もあります。
カウンセリングではこの「ラポール」が重要です。一般の社会生活では、例えば、相手の意見に対して異論があるときに、「でも」や「しかし」と言う言葉をよく使いますよね。カウンセリングでもそのような言葉を使うことはありますが、それは信頼関係ができた後~ラポールが形成された後~でないといけません。
「しかし」という言葉を出す前に、まず相手の意見を尊重することが大切なのです。もちろんカウンセリングを何回も継続して信頼関係ができてくれば話は違います。カウンセラーから意見を言わなくてはいけないこともあります。しかしそれでも「そうですね。それでお困りでしたら、状況をよくするために私なりの意見があるのですが、興味はありますか?」などとクライアント(相談者)に同意を求めた上で意見を述べることが大切になってきます。結局カウンセリングでは相手が受け入れやすい気持ちにすることが重要だからです。
ちなみにこういった手法は、コミュニケーション心理学と呼ばれますが、心理カウンセリング、コーチング、プレゼンテーション、ファシリテーション、家庭の会話、職場のコミュニケーション、セールストーク、マーケティングなど、さまざまな領域で活用されいます。
似たような用語に「アサーティブ」というものがあります。コミュニケーション心理学でよく取り上げられる用語です。日々のカウンセリングでも取り扱うことが多いですね。これは、「自分の気持ちや意見を相手の権利を侵害することなく、率直に誠実に対等に表現する姿勢」のことです。
アサーティブとは、自分も相手も大切にした、コミュニケーションの方法で、攻撃的な侵入から自分を守りながら、他人の「個人の境界」も尊重する態度のことです。
心理カウンセリングでは、カウンセラーとクライアントの間のラポールの構築を第一として、アサーティブなコミュニケーションがはかられていきます。
ちなみに通常のブリーフセラピーや問題解決志向型カウンセリングでは、「この質問をすればクライアントにはどのような反応の選択肢があるのだろうか」「クライアントに着目させたい要素に気づかせるためにはどのように質問したらよいだろうか」ということを絶えず意識しながらコミュニケーションを進めます。ここまで読まれてピンと気づかれた方も多いと思いますが、カウンセリングの手法の多くにNLP(神経言語プログラミング)の活用が広まってきているのが現状です。