精神科治療の現状と分子整合栄養医学による治療の違い | 精神科医:みえしん院長

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おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックの臼井卓士ですニコニコ
三重心身クリニックではこころの病やメンタルヘルス不調に対し、お薬の処方をしたり、カウンセリングでの治療も行っていますが、分子
整合栄養医学という学問に基づいた、栄養素による治療も行っております。
多忙な仕事、とぎれることのない家事、家庭の問題・・・。
ストレスの多い現代社会で、“うつ病”などのメンタルヘルス不調に悩む患者さんが増えています。たとえば平成14年の厚生労働省の調査
では、うつ病の有病率は6.7%であり、15人に1人は生涯に1度はうつ病にかかる可能性があると報告されています。花粉症や高血圧、糖尿病などと同様、「ありふれた疾患:コモンディズィーズ(common disease)」と呼ばれ、非常に多い病気なのです。
一般に皆様が受けられる保険診療では、医師不足などの問題もあり、医療機関は地域のニーズにこたえるためにもより多くの患者さんを診
察する必要があります。それは現在のように患者数が増えている精神科領域でも同じです。なかなか何十分もかけたカウンセリングを行うことは現実的ではありません。またカウンセリングは施術者の習熟度によって効果に大きな違いが出ます。
最近では精神科領域では多くのお薬が開発されてきています。お薬の治療では一定の訓練は必要ですが、マニュアルを活用し、医師個人の
技能に過剰に依存することなく安全で有効な治療を行うことが可能です。そのようなこともあって現在の一般的な保険での精神科治療では、薬物療法が中心になっています。薬物療法では診断のためのマニュアルを利用し、疾患に応じた薬剤を選択していくことになります(アルゴリズムと言います。「米国精神医学会治療ガイドライン」などが有名です)。
一方分子整合栄養医学による治療は、精神症状そのものというよりは、脳も含む身体の栄養状態を調べ、不足している栄養素を見きわめる
ことから始まります。それは脳や身体の栄養状態が悪いと細胞の一つ一つが十分に機能を発揮できないからです。
分子整合栄養医学はまだまだ日本では一般的ではない治療法です。「うつ病」「うつ症状」を例になぜ分子整合栄養医学の治療で症状が改
善するのかこれから説明していきます。
「やる気が出ない」「意欲が出ない」「気分が落ち込む」「不安だ」・・・これらのうつ症状は精神医学的に脳内の神経伝達物質であるセ
ロトニンやノルアドレナリンが不足していることで生じます。脳の神経では電気で信号の伝達を行いますが、2つの神経と神経の連結部(シナプス)では電気が流れません。下の図がイメージになりますが、シナプスではセロトニンなどの神経伝達物質を介し情報伝達を行います。
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たとえば気分が落ち込むようなときには、神経細胞から気分を持ち上げるような信号が出て、シナプスにセロトニンなどが放出されます。シナプスでは次の細胞にセロトニンが伝わり、多くの細胞に信号が伝わることで気分が持ち上がってくるのです。ちなみにセロトニンなどが不足してくるとこのメカニズムが十分機能しないため、気分が落ち込んだ状態が長く続いてしまうのです。
長くなりますので、続きは次回に。

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